第43回 ナースは見た / 医療現場の裏側!?

第43回  サクラサク!?

看護学生さんの実習を受け入れていらっしゃる病院は多いと思います。
私のバイト先の病院でも、数名看護学生さんを受け入れています。
正直、この病院で実習をして何の学びがあるのか全く分かりませんが。

今回は来春卒業を迎える三回生の学生さんのお話です。

三回生と言えば、ICUなどの緊急度の高い部署や、重症度の高い患者さんを受け持たせて頂いて実習に追い込みをかける(語弊はありますが)イメージが強かったのですが、当院は超の付く程の慢性期病院。
彼らが受け持つのは、その中でもほぼ日常生活の自立している患者さん達。
他人事ながら、「この子達、こんな所で2年も実習して働ける病院なんてあるのか」と心配になります。

ある日、こんな事がありました。
朝のカンファレンスの時間になると、学生さん達は毎日その日の実習目標を発表します。
派遣アルバイター、ましてや夜勤バイトのみの私は特に直接関係は無いので、何の気なしに学生さん達の目標を聞いていました。

とある学生さんの目標発表の順番が来て、それを聞いていた私は一瞬時が止まってしまいました。

「今日は○○さんの関節可動域を考慮しながら、口腔ケアをします。」

…………。

○○さんは、自分でスタスタ歩いて自分でシャカシャカと歯を磨ける患者さんです。
一瞬、患者さんの名前を聞き間違えたかな?と思ったのですが、彼女の担当患者さんは間違いなく○○さん。

をいをい。
いきなり関節の動きを確認されて、歯磨きなんてされたら、○○さん驚くよ…。
しかもまるで繋がりが解らんし。
まさか学生さん、貴方の関節の動きを考慮しながら歯磨きをする訳じゃないよね?

と、思いながら黙ってソレを聞いてたのですが、今回の問題はソコじゃありません。
いや、卒業目前でそんなトンチンカンな事言ってちゃ大問題なんだけど。
それでもまだ彼女は学生さん。
ソレを聞いてた師長なり、担当ナースなりがそりゃオカシイぞ、と注意しなけりゃいけません。

が。
待てど暮らせど師長はじめ、ナースの皆様は注意どころか何も言いません。
よくよく見てみると、皆揃って「うんうん」と頷いていらっしゃる。
「そうねー、今日はそれで実習を進めましょうか。」と。

をいをいをいをい。
「うんうん」
じゃないよ!Σ( ̄□ ̄;)
結局患者の○○さんは、訳のわからんまま腕やら足やらの間接を動かされ、良くわからんまま歯磨きをされたとの事です。

後日、私と同じアルバイトのナースさんに聞いた話ですが、ウチに実習に来る学生さんの大半がウチの病院に就職するらしいです。

なるほど。

確かにトンチンカンな事を言っても注意されない病院で育った学生さんが、いずれ学生さんの指導に立つ立場になったとしても、そりゃ同じことを繰り返すわな。 まさに負のループ。

実習先を選べない学生さんはある意味被害者なのかも知れないな…とは思いましたが、やっぱり一番の被害者は患者さんでしょう。
たいしたエビデンスも無く、なんとなくの看護を延々受けなきゃならんのだから。

患者になったらそんな事まで病院選びで注意しなきゃいけないなんて、ホントに勘弁して頂きたいですね。

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