先月書かせて頂いたバイト先の病院でのお話を引き続き‥。
数々のカルチャーショックを体験させて頂いたこの病院。
今回もそんな体験のひとつをご紹介させて頂きます。
皆様ご存知の尿道留置カテーテル。
病院では無くてはならないアイテムのひとつですが、コイツはごくごく初歩的な管理を怠ると、トンデモナイ凶器に成り代わります。
夜勤バイト初日のオムツ交換の時間、驚きの光景を目にした私は真夜中にも関わらず奇声を発してしまいました。
「ひっ‥、ひゃぁ~!」
と。
私が奇声を発した理由。 それは‥
尿道留置カテーテル挿入中の男性患者さんの大事な部分‥もとい陰茎が、根本まで真っ二つに裂けていたから。
そう、サックリと。
そう、パックリと。
これを読んで下さっている男性の皆様は、アイタタタ‥と思わずご自分の股間を押さえてしまうかも知れませんが‥まぁ、言わずもがな、痛いです。
なったこたー無いですが、間違いなく痛いです。
しかも、真っ二つに裂けていたのはこの患者さんだけでは無いところがミソ。
あっちでもサックリ、
こっちでもパックリ。
尿道留置カテーテルというのは、陰茎を腹側に向けて固定するという初歩的な管理手技がございます。
んなこた言われんでも分かっとるわ!と皆様おっしゃるかと思いますが、言わせて下さい(原稿の字数の問題です。)
何故腹側に向けて固定しなくてはいけないかと申しますと、尿道の解剖学的な問題で足側に向けてカテーテルを固定してしまうと、尿道に強い屈曲が発生するため、そこで炎症やら感染やらを起こしやすくなります。
それが原因で尿道から皮膚に穴が空くという現象が起こる訳です。
んなこた言われんでも分かっとるわ!と皆様おっしゃるかと思いますが、言わせて下さい。
(お付き合い頂き有難うございました。原稿の字数クリアです。)
で、まさにこの「尿道から皮膚へ通り抜けフープ」現象が、あっちやらこっちやらで起こっていた訳です。
しかもよくよく見て回ると、カテーテル留置患者さん誰一人として固定すらされとらんじゃないか。
ノン固定。
カテーテルがあっちへプラプラ、こっちへプラプラ。
めちゃめちゃフリーダムな状態。
そら、穴も空く。
そら、穴どころか真っ二つに裂ける。
真夜中に一人、エッコラエッコラとカテーテルを固定して回る羽目に。
とてつもなく虚しい気分になると共に、私、ココでバイト続けられるかな‥と言う一抹の不安には気づかないふりをして。
朝の申し送りの時間、常勤の「ベテラン」ナースさんにお伝え申し上げました。
「あの‥○○サンと□□サンと△△サン‥尿道カテーテルで瘻孔が‥」
すると「ベテラン」ナースさんからのお返事は、
「あぁ、あれな。裂けてんねん。」
裂 け て ん ね ん
て、アンタ。
見りゃ分かるわ。
眩暈がしそうになるのをグッと堪えて、
「何か治療は‥?」
と聞くのが精一杯。
「あぁ。○○サンはオロナイン塗ってるよ。」
アルバイターナース‥Knock Out。
ベテランナース‥Win。
ひび、垢切れに重宝するオロナイン軟膏。
一家におひとつオロナイン軟膏。
あのさ‥
ひび、垢切れにしちゃーちょっと溝が深過ぎやしないか?
そう感じるのは私だけですか、そうですか。
オロナインも、まさかこんな使い方されるとは思っても見なかっただろうて。
患者さんも、手荒れ対策に持ってきたオロナインを、まさか自分の股間に塗ったくられるとは思っても見なかっただろうて。
そんな医学の「い」の字も無い病院でしたので、アルバイトドクター、アルバイトナースの間では
「家庭の医学病院」だの 「昭和レトロ病院」だのと呼ばれていました。
皆様も病院選びにはくれぐれもご注意下さいませ。
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