プルル・プルル―電話に出ると「警察から外線電話がはいています」
えっ!!何?警察?
「もしもし、○○警察の○○と申します。
そちらの病院に80才・女性・Sさんと言う患者さんは入院されていますか??」
イタズラ??と不審に思いましたが「はい、入院されています」と答えると
「助けて欲しい。起き上がれなくて困っていると110番通報がありました」
「はぁ?」状況がまったく理解できない私。
Sさんの情報が頭の中でグルグルしている。。。
「とにかく、Sさんの所に行って様子を確認して来てください」
電話を切って、病室に猛ダッシュしました!!
「助けて~」と病室から聞こえます。
扉を開けるとベットの上で手と足をバタバタさせています。
「どうしましたか??」と言うと「助かった~!良かった」と笑顔で答えるSさん。。。
すぐに体位を整え、バイタルサインをチェックして、転倒はないか?気分は悪くないか?
と確認しました。
ここまで来たら冷静さを取り戻した私。。。
Sさんも落ち着いているので、事情聴取を開始しました。
Sさん曰く、冷蔵庫にある水ようかんを取りに行ってこんな事になった。
ナースコールが届かなかったから、警察にお願いしたと。。。
ここで疑問が。。。
疑問(1)
1ヶ月前に腰椎圧迫骨折をしてから、痛みが続いているためベットから
降りる事が出来ないと申し送りで聞いたが。。。
疑問(2)
私はナースコールの位置を変えていないはず。。。
疑問(3)
糖尿病で食事制限をされているはずだが。。。
今度は誘導尋問しました。
「昨日のおやつは何を食べたの?」
「息子が持ってきたプリンを食べたよ」と嬉しそうに答えるSさん。
「そうなんだ~息子さんに。。。」私の誘導尋問にひっかかりました(笑)
なんとSさんは、歩けるのです!!しかも自分の都合に合わせて。
だって私、2時間前にナースコールで呼ばれて、トイレ介助して体位変換をしたもん。
消灯後に、糖尿病患者さんが水ようかんを食べていいわけないじゃん!
甘いものを控えるように言われていたので、こっそりおやつを食べて何事も無かったようにするはずが、隣の部屋から看護師の声が聞こえてきて、焦ってしまい上手くバランスがとれず、ベッドから足を半分出したまま寝てしまった。
必死にもがいたけど、手すりに届かないし、ナースコールは枕元にある。
パニックになったSさんは、掴んだ携帯電話で110番通報した。―これが真相です。
たまたま通報された夜勤に勤務していた私は、師長から「病院の恥だ」と説教されてレポートを書かされました。
初めてナースを辞めたいと思った事件でした。
あれから1年、Sさんのおやつへの情熱を笑って話せるようになりました!