第21回 ナースは見た / 医療現場の裏側!?

第21回  警察からのナースコール

プルル・プルル―電話に出ると「警察から外線電話がはいています」

えっ!!何?警察?

「もしもし、○○警察の○○と申します。
そちらの病院に80才・女性・Sさんと言う患者さんは入院されていますか??」

イタズラ??と不審に思いましたが「はい、入院されています」と答えると
「助けて欲しい。起き上がれなくて困っていると110番通報がありました」
「はぁ?」状況がまったく理解できない私。
Sさんの情報が頭の中でグルグルしている。。。

「とにかく、Sさんの所に行って様子を確認して来てください」

電話を切って、病室に猛ダッシュしました!!

「助けて~」と病室から聞こえます。
扉を開けるとベットの上で手と足をバタバタさせています。

「どうしましたか??」と言うと「助かった~!良かった」と笑顔で答えるSさん。。。

すぐに体位を整え、バイタルサインをチェックして、転倒はないか?気分は悪くないか? と確認しました。

ここまで来たら冷静さを取り戻した私。。。

Sさんも落ち着いているので、事情聴取を開始しました。
Sさん曰く、冷蔵庫にある水ようかんを取りに行ってこんな事になった。
ナースコールが届かなかったから、警察にお願いしたと。。。

ここで疑問が。。。

疑問(1) 
 1ヶ月前に腰椎圧迫骨折をしてから、痛みが続いているためベットから
 降りる事が出来ないと申し送りで聞いたが。。。

疑問(2)
 私はナースコールの位置を変えていないはず。。。

疑問(3)
  糖尿病で食事制限をされているはずだが。。。

今度は誘導尋問しました。
「昨日のおやつは何を食べたの?」

「息子が持ってきたプリンを食べたよ」と嬉しそうに答えるSさん。

「そうなんだ~息子さんに。。。」私の誘導尋問にひっかかりました(笑)

なんとSさんは、歩けるのです!!しかも自分の都合に合わせて。
だって私、2時間前にナースコールで呼ばれて、トイレ介助して体位変換をしたもん。

消灯後に、糖尿病患者さんが水ようかんを食べていいわけないじゃん!

甘いものを控えるように言われていたので、こっそりおやつを食べて何事も無かったようにするはずが、隣の部屋から看護師の声が聞こえてきて、焦ってしまい上手くバランスがとれず、ベッドから足を半分出したまま寝てしまった。
必死にもがいたけど、手すりに届かないし、ナースコールは枕元にある。
パニックになったSさんは、掴んだ携帯電話で110番通報した。―これが真相です。

たまたま通報された夜勤に勤務していた私は、師長から「病院の恥だ」と説教されてレポートを書かされました。
初めてナースを辞めたいと思った事件でした。

あれから1年、Sさんのおやつへの情熱を笑って話せるようになりました!

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