職場環境は、その場にいる人によって作られます。前回はリーダーの心のあり方や姿勢について、今回はもう少し具体的な実践について。前回の最後にミーティングのあり方について触れましたが、実際はじめは意見やアイデアが出ず沈黙が続くかもしれません。それは、評価を気にしている、言っても無駄、言ったら自分が責任を負わなければならない等、これまでのチームのあり方が映し出されているのかもしれません。
リーダーが率先して色んなアイデアや思っていることを出すことを根気よくやってみせたり、一言いいたくなっても最後まで聴いてみるなど具体的な行動で、安心して自由に発言できる場の空気を意識することも大事です。
存在価値のある会社(病院)は価値のある人がいるから成り立っていると聞いたことがあります。そもそも存在価値のない人はいませんので、一人一人の能力や個性を認め合って、お互いが助け合えるような役割分担ができると組織は強くなっていきます。
自分の強みを互いに活かす意識を持つと、誰かが上手くできない時も相手を批判するのではなく助けるために何ができるかを考え行動するようになります。
では、認めるとはどういうことなのでしょうか。
自分の色眼鏡を外して、ありのままの相手を見て受け止めること。
褒めることはスキルが必要ですが、ありのままの相手をみることは、色眼鏡を外す訓練はいるかもしれませんが特にスキルは要りません。
「10分前に来ているね。」「慎重に扱っているね。」「赤いメモ帳だね。」「髪を切ったね。」など、そのままを受け止め言葉にする。言葉にすればするほど、相手はありのままを受け止めてもらえている、存在を認めてもらえていると感じます。
色眼鏡というのは、自分の「ものさし」で相手を判断すること。目標に達していない=頑張っていないという色眼鏡はさらにやる気を奪ってしまいます。
頑張っていないのではなくて、どう頑張ればいいのか分からない場合も少なくありません。
本人が両手いっぱい問題を抱えている状態では、こちらからのアドバイスを受け取れないでしょう。先ずはその抱えているものを整理し片付けるサポートをすること。今、こんな事を問題に思っている、こんな事に不安を感じている、目標を達成できなくてこんな気持ちだということを自由に素直に言える場を作ることが大切です。その事をありのまま受け止めると、こちらからのアドバイスを受け取るゆとりが生まれます。自分を認めてくれる相手の話は聴きたくなるものです。そして、部下の本音に職場改善のヒントが含まれている可能性もありますので、しっかりと受け止めましょう。
もしかしたら、上司は常に言いたい事を我慢して相手に合わせて感情を抑えなければいけないとお思いかもしれませんが、そういうことではありません。人には心がありますので必ず何かを感じています。その感情をストレートに伝えることも時には大事ですが、その前に感情のしくみを知った上で伝えると、誤解なく意思疎通ができ、コミュニケーションを取り易くなります。感情は出来事(現象)に対しての捉え方によって決まります。
例えば、「雨が降っている」という現象に対して、「洗濯物が干せない」と捉えると「困ったなぁ」と思いますが、「植木の水やりをしなくてもいい」と捉えると「ラッキー」と思います。
感情でも怒りや悲しみ寂しさは、期待どおりにいかず残念な気持ちから生まれやすいと言われています。「どうして出来ないの?」と言う前に「あなたは出来ると期待していたから残念に思っている」と伝えるだけでも随分違います。
あらゆる組織では何かしらの目標・目的があり達成するために運営されています。その目的を達成することは、困難を乗り越えること。リーダーが率先する姿とチームワークを発揮することが必要です。お互いが認め合っている組織では、困難も一人一人が自分で乗り越えていく意識を持って取り組むから乗り越えていくことができます。リーダーが率先する姿(困難を乗り越えることで人が輝くということ)を近くで見ていると、自分もやってみたくなるものです。憧れもしくは負けん気を刺激します。自己責任を負うことは損をするどころか得られるものがたくさんあることをリーダーの姿勢をとおして伝えることで組織のあり方も変化していきます。