職場改善の相談を受け、お話を伺っていると原因のほとんどが「人間関係」です。部下や後輩との関わり方、または上司や先輩との接し方、お互いそれぞれの視点からストレスを感じているようです。一つは、前回に書きましたコミュニケーションです。些細なことがきっかけでコミュニケーションが取りづらくなり全体のチームワークが乱れ、患者様(お客様)への応対の質にもその影響が及んでしまいます。
今回は、職場に大きな影響を与えているもう一つ理由、リーダーの心のあり方について。
リーダーが心で何を思っているのか?これが組織に大きく影響しています。これは言葉にしなくても、無意識に表情や態度に表れて部下に伝わります。
仕事には障害や困難が付き物ですが、それでも「上手くいくと信じていること」そして、思いどおりに動いてくれない部下を含めて、「一人一人の可能性を信じていること」が重要です。リーダーは、部下の存在を認めることが大事です。居て当然・居ない方が良いのどちらでもなく、意味があるから今ここに居るのです。人には長所と短所、つまり強みと弱みがあります。その人の強みと弱みを心から認めることができているでしょうか。
リーダー自身が完璧であろうとすると、無意識に部下にも完璧を求めています。部下のできていないところばかり目に留まり、いつまで経っても認めることができません。部下は何を頑張っても認めてもらえない上司の下で、さらに自分の能力を発揮できなくなり苦しむようになります。
まず、リーダー自身が自分の強みと弱みがあることを受け入れて、さらけ出すこと。リーダーが自分の弱みを見せることは勇気がいりますが、その先には意外と何もありません。むしろ同じ人間として安心感を与えます。達成したい目標にチャレンジする勇気や自分の弱みを受け入れる勇気を部下にみせることで、変化が起こります。お互いの強みを発揮し、弱みをサポートし合えるチームへの一歩を踏み出すことができるのです。
例えば、ミーティングで話し合う時、「何で~なのだろう?」ではなく「どうしたら~だろう?」と話し合ってみましょう。「何で上手くいかないのか?」と考えると言い訳が出て同じ事を繰り返します。「部下が若すぎるから」「人数が少ないから」「業務量が多すぎるから」など。「どうしたら上手くいくだろうか?」と考えると前向きで現実的なアイデアが生まれやすくなり、具体的な行動につながります。「報告書のフォーマットを変えて時間短縮しよう」「勉強会をしよう」「困ったら抱え込まず誰か言おう」など。
そして、どんなアイデアが出てきても「なるほど」と受け止めて、その場で評価を手放してみましょう。新たな価値観に出会え、仕事の幅も広がります。問題を無くすことよりも、今あるものを活かすために何ができるかを考え自由に意見を出し合える場所を作ることでもお互いを認め合う空気が生まれます。