vol.66
国家公務員共済組合連合会 立川病院
国家公務員共済組合連合会(KKR)立川病院は人の心(KoKoRo)を大切にし、質の高い、思いやりのある、患者さんの目線に立った医療を実践することをモットーとしています。 しかし、それには患者さんからのご協力も不可欠です。
現在、当院は新棟建設を予定しており、その準備も着々と進んでいます。是非、期待してください。 新棟建設後も立川および、その近隣地域の方々のための市民病院的な役割を続けていきます。
院長 篠原 幸人
質の高い、思いやりのある医療の実践。
1.患者さんの権利を尊重し、笑顔と優しい言葉で接する
2.医療事故防止を徹底し、安全な医療を提供する
3.質が高く信頼できる医療提供のため、職員は日々研鑽する
4.地域医療連携ネットワークを重視した医療を提供する
立川病院は立川市の市民病院的な役割を担いながら発展し、現在は18診療科を有しています。
病床数は500床で、一般病床391床、亜急性期病床40床、精神病床63床、感染症病床6床となっています。
2008年に東京都地域医療支援病院、2009年に東京都地域救急医療センターの承認を受け、また、地域医療連携業務を推進するために、地域医療連携センターを設置し、地域医療機関と連携を深めながら、それぞれの機能と役割を担って患者様を見守り支えることができる病院となるよう努めております。
患者と共に歩む看護
立川病院は地域医療連携ネットワークを重視しながら、地域住民に愛される病院として存続していくことを目指しています。看護部は診療部やそのほかの医療スタッフと協働しながら、患者さんのQOLの維持、向上を図るためにチーム医療の中心的な役割を果たしていくことが大切です。
患者さんが納得して、療養生活を送れるように人権の尊重や安全な看護実践を行うとともに、医療や社会の変化に対応した看護が提供できるように自己啓発、自己研鑽を行い、患者さんの最も身近な専門職として役割発揮をしていきたいと思います。
2012年度看護部の目標
1.人材確保
(1)中途採用者の支援
(2)実習環境の調整
2.標準化
3.看護の専門性を活かした退院支援
1.多摩地域の基幹的な急性期病院として患者さんの持てる力を引き出しながら、ともに歩む看護を目指しています。
2.新卒看護師でも転職や復職の看護師でも、様々な教育研修制度を活用してキャリアアップを図ることができます。
3.立川病院看護部は離職率が低く、経験豊富な看護師が大勢おり、安心して働くことができます。
全国に34あるKKRの病院での共通のラダーに則って目標設定をし、さらに落とし込んだ形で、それぞれの研修を行っています。ラダーは5段階、レベルは4まであります。レベル1は新人から2年目までが対象です。
プリセプター制度を導入しているほか、入職後2週間は1日おきに技術研修を行っています。以前は入職前に1日で全て行っていましたが、1日で全てを終わらせるとなると、どうしてもばたばたしてしまいます。今は半日をかけて、少しずつ、ゆったりと取り組んでいます。1日おきですので、同期の職員と頻繁に顔を合わせられるのがいいみたいですね。同期で親しくなることはリアリティショックの軽減にも繋がります。集合研修は1カ月おきにあり、同期同士で確認し合って、学んでいます。フォローアップ研修は1カ月、3カ月、6カ月、12カ月後にあります。それぞれがどう成長したのか、同期と分かち合っていますね。6カ月経ったら、皆の顔つきが変わっていますし、患者さんの視点に立って、物事を考えられるようになっているんですね。教育委員の私たちもモチベーションが上がります(笑)。
少人数教育を徹底していますので、個人ごとの特性を把握することが可能です。新人が配属された部署に限らず、病院全体でフォローできる職場だと思います。
その人に合ったプリセプターをつけています。復職の方は様々なキャリアがあったり、ブランクの長さもまちまちですので、画一的な指導はしていません。復職の方は経験があるだけに、当院のやり方に納得できないこともあるでしょうが、これまでの経験を当院で十分に活かしていただけるような工夫をしています。希望があって、タイミングが合えば、新人トレーニングに入っていただくこともできますよ。現在は部署ごとのローカルルールを集約化して、標準化に取り組んでいるところですので、ブランクがあった方も復職しやすい環境になるはずです。
これまで独自に行っていましたが、教育委員会に吸収されましたので、バージョンアップを図りました。外部講師を2人に増やし、研究的視点の育成に力を入れています。外部講師からは臨床看護師が看護の質を高めるために、研究することの意味や現場の課題を研究的に取り組み、改善していくことの重要性を伝えていただいています。研究の成果を発表する機会が院内だけに限られてしまいますと、モチベーションが上がらないので、KKR病院全体での発表会や看護学会で発表してもらっています。
当院は都心の大学病院に比べますと、スタッフの年齢層は高く、平均年齢は35歳前後です。新人もいますし、人生経験のあるスタッフも多いです。中高年であっても、看護師としてのキャリアが浅い人もいます。そういうスタッフにはこれまでのキャリアについて、まず尋ねます。皆さん、素晴らしい経験をしてきているんですね。そのため、患者さんを生活者として見る視点が優れています。若いスタッフのように次々に目標を設定することはできませんが、そういった長所やこれまでの経験をどう活かすのか、主体性を持って患者さんにあたることができるようになるためにはどういう研修が必要なのか、ともに考えて目標を設定し、無理のない教育を行っています。
当院は急性期病院であること、地域医療支援病院であることを求められています。ワーク・ライフ・バランスの時代の中で、ワークの部分をどう頑張っていくか、看護師としてのやり甲斐や目標をどう持ってもらうのか、教育委員や師長としてどう指導するのか、常に考えています。
当院の特色は急性期病院であり、地域医療支援病院であることなので、急性期から慢性期に移行する患者さんが多いんですね。そういった特色を考慮し、高度で複雑な医療の中で患者さんの命を最優先に考えることの大切さについて、教育を通して根付かせることが目標です。病院で完結せず、地域に帰った患者さんのQOLを低下させないために、看護師が病院で何をすべきか、看護師にどういったことが望まれているのかを考えなくてはいけません。そこで、倫理綱領に沿って仕事ができるよう、倫理教育に力を注ぐ予定です。レベル1からレベル4まで、全ての段階で倫理教育を行っていきます。
女性として自立したかったので、専門職に就きたかったというのが看護師を目指した理由です。とは言え、この道に入ったものの、最初は看護師の仕事のイメージがあまり湧かず、色々な葛藤がありました。看護学校で勧められる専門書が好きになれなかったし、看護職は狭い場所で働いていると誤解していたのです。ところが、看護師になって患者さんと接することで、考えが変わってきました。
患者さんの人生や生き様を学ぶことのできる仕事だからですね。看護師という仕事は生活の糧ではありますが、ケアをしながら患者さんから教えていただくことが多くありました。私が新人の頃はまだ戦争体験のある患者さんが少なくありませんでした。シベリアで抑留された話など、私たちの世代からは想像もできない世界でしたね。そういう患者さんが残された時間をどう生きたいのかと話してくださると、私もどういう生き方をするべきなのか、考えさせられました。生きることや死ぬことといった死生観は一般のOLさんではあまり触れることはないでしょうし、かけがえのない職業に就いたのだと思っています。
私も何度も挫折がありました。でも、オリンピックのように4年に一度の転機があったんです。長期研修や進学、執筆など実践的な課題を学び、管理者スキルを向上させました。ここで、4ねんごとに自分を振り返る機会がありました。そのたびに成長の確認と課題について考える機会を得られたのは良かったです。
大それたことよりも、看護者が笑顔で生き生きとしていることが患者さんの最大の癒しになると考えています。看護師自身が満足している状態で、患者さんに注意を向けて、ケアに臨まないといけないということをスタッフにも言っています。立川病院の理念も患者さんとともに歩むことにありますし、患者さんの残存能力を最大限、引き出しながら患者さんの生活を組み立て、看護職という専門職種として関わることが大切です。
私の両親はまだ健在なのですが、病者体験は持っています。父からの手紙に「看護師は心の処方箋を切れる存在であるべきだということを、管理者であるあなたは認識しないといけない」とありました。父自身の病者体験を通して看護師に求めていることなんでしょうね。この教えを白衣を着ている間は忘れずにいたいです。薬の処方箋ではなく、心の処方箋というのは癒しや共感であり、患者さんの状況によって変えていくだけの選択肢を持たなくてはいけないと思います。
立川病院は1943年に設立された、歴史のある病院で、地域密着型の急性期病院として、地域の方々に周知されています。地域医療支援病院の指定を受けていますので、医療機関と連携をとりながら機能を果たしています。
機能的な特徴としては精神科病棟が挙げられます。身体合併症のある方のための病棟で、心の病を持ちながら急性腹症などの手術を受ける患者さんが入っておられます。また、東京都内に10病院しかない、認知症疾患医療センターの指定も受けています。このセンターでは、認知症の診断、専門医療相談などを実施するとともに、地域の保健医療や介護関係者などとの連携・調整などを行っています。認知症の人が地域で安心して生活できるよう、地域における支援体制を構築しています。
全国に34あるKKR病院で統一したキャリアラダーがあり、それを用いての指導が特徴です。女性が多い職場ですので、ライフステージにおいて仕事に重きを置けない時期もあります。仕事と生活の調和のとり方は様々です。しかしながら、人と接する仕事である以上は自らの生活体験から患者さんに還元できることがあります。そういった、人間としての成長を大事にしながら支援していきたいですね。
それぞれのレディネスを叶えられるよう、院外研修にも参加しやすいように支援を行っています。
院内研修はキャリアラダーの中で行っていますが、また、専門認定看護師の受講に関しては経済的支援を行っています。
女性にとって働きやすい職場を目指しています。出産・育児や介護の支援制度を充実させています。
院内保育室の「さくら」も週に3日の夜間保育や休日保育をおこなっています。
新病棟建築が具体的な設計の段階に入り、当院はこれから変革期を迎えようとしています。今後は看護師の増員を図りながら、ハード面とともにソフト面も充実した体制にしていきたいとおもっています。専門職として自立したスタッフであってほしいと願っているので、教育には特に力を入れていこうと思っています。
元気で、明るく、前向きな人がいいですね。チャレンジ精神や創造性を持って、「こんなことに挑戦したい、ここを変えたい」というアイディアを出してくれる人は一緒に働いていて、楽しい存在です。失敗を恐れず挑戦し、失敗しても何かを得て、次の成長に繋げられることが大事だと思います。
私が看護師を長く続けてきた理由でもありますが、看護師という職業はほかの職業では味わえない醍醐味があり、遣り甲斐に繋がる仕事です。続けることで分かることもありますので、辞めないでほしいですね。
看護師を目指したきっかけはどのようなものだったのですか。
高校時代、人のためになる仕事がしたいとは思っていたものの、どんな仕事が向いているのか分からなかったんです。そこで、母が「手に職をつける意味でも看護師がいいんじゃない」と勧めてくれたこともあって、看護師を目指そうと思いました。
認定看護師取得までのキャリアについて、お聞かせください。
外科病棟で働いていました。外科病棟で人工肛門のケアに携わるうちに、専門性が高く、難しい分野だなあと思うようになり、認定看護師を目指すきっかけとなりました。
いつから皮膚・排泄ケア認定看護師を目指していたのですか。
人工肛門ケアの知識や技術を深めていきたかったので、入職して3年目の頃には目指したいと思っていました。立川病院もこの分野の認定看護師はいなかったんです。でも、受験資格を得た頃に結婚し、その後、出産もしたので、復職してから改めて目指すことになりました。
認定看護師コースの受講はどちらでされたのですか。
実家に子どもを預けて通えるところを探した結果、宮城大学の認定看護師スクールに通いました。半年間、宮城大学に通い、東京に戻ってきてから看護協会で試験を受けました。
スクールでの勉強はいかがでしたか。
レポートが多かったですね。大変でしたが、好きな分野ですので、楽しいという気持ちの方が強かったです。
実習はどちらでされたのですか。
福島県立医科大学附属病院で行いました。立川病院にない施設やシステムも多く、大学病院は市中病院とはスタイルや雰囲気、規模が違うのだということが改めて分かりました。学ぶことの多かった実習でしたね。
認定証を受けて、どんなお気持ちでしたか。
やらなくてはいけないことが山積みだと思い、緊張感で一杯になりました。
皮膚・排泄ケア認定看護師として、どういうお仕事をなさっているのですか。
外科に所属しています。人工肛門、褥創、創傷、失禁のケアが仕事の中心です。病棟のスタッフから相談を受け、患者さんに直接、ケア提供する機会もあります。また、褥創委員会に所属していますので、メンバーで回診を行い、必要としている患者さんにケアをしています。スタッフも悩みながら働いているので、専門的な知識やケアを一緒に考えながら、行っています。
お仕事のどんなところに遣り甲斐を感じますか。
患者さんと看護部のスタッフの力になれることでしょうか。病院の中で明らかな成果が出たとはまだ言えませんが、これから変えていければいいなと思っています。
苦労、課題についてはいかがでしょう。
皮膚・排泄ケア分野は扱う内容が幅広いので、全てを網羅しようとすると、中途半端になってしまうので、苦労しています。課題に関しては、看護部のスタッフに内容や領域を把握してもらうことですね。人工肛門については知られていますが、失禁や褥創ケアも範囲なのだということを知ってもらえるよう、認知を広めていきたいです。
立川病院にはどんな分野の認定看護師がいらっしゃるんですか。
私のほかは、緩和ケア、感染管理、がん化学療法看護、手術看護、がん性疼痛看護の分野で認定看護師がいます。最近、この6人で委員会を発足しました。今後、院内で認定看護師をどう活用してもらうのか、考えていただくきっかけになればと思います。認定看護師の輪番制で新聞を発行したり、公開講座を企画することなどを考えているところです。
認定看護師を目指す看護師へメッセージをお願いします。
好きな分野ができると、それを究めていくきっかけになります。認定看護師は大変な中でも遣り甲斐と楽しさを感じることのできる仕事ですよ。認定看護師の分野も広がってきましたので、好きな分野がある人は是非、目指してください。
立川病院に入職を決めた理由をお聞かせください。
立川病院は看護学校の実習病院だったんです。私はほかの病院で実習したのですが、立川病院で実習したクラスメートが「良かったよ」と言っていたので、気になっていました。そこで見学に行ったのですが、先輩方が生き生きと働いている姿が印象的でしたし、案内してくれた先輩も親切で、この病院で働きたいと思いました。以前から立川という場所も好きでしたし、西国立駅からすぐという立地にも惹かれました。
現在のお仕事の内容を教えてください。
5階病棟で働いています。5階病棟は脳神経外科、婦人科、耳鼻咽喉科、眼科の混合病棟です。急性期の患者さんがメインですが、手術の患者さん、化学療法を受けていらっしゃる患者さんのケアもあります。脳神経外科の手術後に状態が落ち着くまでの患者さんもいらっしゃいますし、多様な看護が要求されますね。手術件数が多い日は大変ですし、入退院も多いので、忙しい病棟です。
お仕事のどんなところに遣り甲斐を感じますか。
患者さんが元気になって退院されたり、元気になっていかれる過程に出会えると、遣り甲斐があります。患者さんと話すのはもちろんですが、ご家族の方ともお話ししますし、患者さんが元気になられると、ご家族の方も元気になって、笑顔が出るんですね。そういうご家族の笑顔を拝見すると、嬉しさに繋がります。
病棟の雰囲気はいかがですか。
スタッフ同士が活発に話し合い、意見交換をしています。意見があれば、なるべく口に出して言っていこうという雰囲気ですね。そのため、問題が起こっても、解決までの時間が早いです。スタッフの年齢層は幅広く、30代が多いですが、20代から50代までいますよ。先輩方の意見も、若いスタッフの意見も新鮮です。
立川病院に入職したとき、どういう研修があったのですか。
看護学校で研修してきた技術があっても、やはり新人ですので、病院でみっちりと研修があります。患者さんから見れば、新人でもベテランでも同じ看護師です。技術がないと患者さんに向き合えないですから、技術研修はカリキュラムの中にきちんと組み込まれています。そして、入職して3カ月、6カ月、12カ月後にフォローアップ研修があります。フォローアップ研修はほかの病棟に配属された同期と話すことのできる場でもあります。私は社会人経験があったからか、病棟でのリアリティショックはほとんどありませんでした。それでも悩みがないわけではなく、フォローアップ研修で同期と会って、悩んでいるのは私だけではないと思えて、安心しました。
立川病院での勤務で、どんなことが勉強になっていますか。
診療科ごとの疾患や治療方針、治療内容です。しかしながら、患者さんは一人一人違いますので、同じ治療であっても、患者さんが違えば、看護師の対応は変わります。そうした柔軟な対応の仕方も勉強になります。
佐藤さんは寮にお住まいなんですよね。
すぐ近くですので、歩いて通勤しています。最初は実家から電車で来ていたのですが、雪の日に電車が遅れたことがあったんです。遅刻できない職場ですので、近い場所に住みたいと思い、寮に入りました。職場と家が近いと、体調管理もしやすいです。少し古いですが、収納スペースもたっぷりあって、快適ですよ(笑)。
将来の目標をお聞かせください。
自分が健康で、仕事を続けていくことがまずは目標です。そのうえで、患者さんが慣れない入院生活を少しでも安心して過ごしていただけるように、看護を提供していきたいです。具体的な理想の看護師像は模索中ですが、認定看護師には憧れますね。最近、認定看護師主催の勉強会に出席して、刺激を受けました。
立川病院に入職を考えている看護師さんや看護学生にメッセージをお願いします。
学校を卒業したばかりの若いスタッフや、ばりばりのキャリアウーマン、ママさん看護師など、幅広いスタッフが働いている病院です。日勤だけの勤務やパート勤務、妊娠中のスタッフは夜勤免除など、働き方も選べます。長く勤めているスタッフも多いので、働きやすい病院だと思います。是非、見学にいらしてください。