緑に囲まれ、時がゆったり流れる当院は、重症心身障がい医療、地域医療および子どものこころ医療を三本柱として、広い視野に立った医療を行っています。
重症心身障がい医療は入院のみならず、ショートステイおよび通園事業等の在宅支援にも力を注いでいます。地域医療は、慢性疾患および終末期の患者さんに "わが家が見える病院"として家族との絆を大切にした医療環境をつくり、患者さんのQOL(人生の質)と尊厳を大事にしています。発達障がい等の小児科の患者さんには若槻養護学校と連携して、入院しながら学び育つ環境を提供しています。
職員一同、たゆまぬ意識改革を行いながら、患者さんの目線に立った医療を提供したいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
東長野病院長 小林信や
-あたたかく信頼される病院-
・安全で質の高い医療
・情報の共有化とチーム医療
・地域と社会に貢献
・向上心と健全な病院運営
名称 | 独立行政法人国立病院機構 東長野病院 |
---|---|
住所 | 〒381-8567 長野県長野市上野2丁目477番地 |
TEL/FAX | TEL:026-296-1111 / FAX:026-295-5139 |
沿革 | 昭和14年2月 傷痍軍人長野療養所として設立 昭和20年12月 厚生省に移管、国立長野療養所として発足 昭和46年4月 国立療養所東長野療養所として発足 平成16年4月 組織改編のため独立行政法人国立病院機構東長野病院として改称 |
環境 | 長野市の北東に位置し、長野駅から9.5km標高412mの緑豊かな丘陵地にあります。 東方には志賀高原連山を、西方遠くには日本アルプスの連峰を望み、眼下には千曲川が流れ善光寺平が広がり、自然に富み、閑静にして空気清澄、四季折々の景観は心身に安らぎを与え、病気療養には好適な地にあります。 |
医療法承認病床数 | 一般223床(うち重症心身障がい病棟120床) |
標榜診療科 | 内科・呼吸器科・消化器科・循環器科・アレルギー科・小児科・外科・整形外科・耳鼻いんこう科・放射線科・リハビリテーション科 |
東長野病院シンボルマークの解説
東長野病院(Higashi)の頭文字である「H」を基本とし、花瓶のイメージで構成。
病院周辺に多く咲く「さくら」をモチーフに、中心の円(患者様)をハート型の花びら5枚(医師、看護師、メディカル、事務職、技術職)が温かく包み込み、全体を包む輪は、職員全体が力を合わせて病院を支えていくことを表しています。
(1)重症心身障がい児(者)医療
重度の身体障がいと知的障がいを併せもつ児童および成人の医療と福祉介護を行っています。児童は隣接する長野県若槻養護学校での小学部、中学部で義務教育を受けています。また平成11年度から高等部訪問教育が開始されています。
(2)内科
糖尿病等の代謝内分泌、神経、消化器、および感染症の診療、生活習慣病健診を実施しております。
地域の医療機関および施設と連携をとり、それらの要請に応えております。隣接する清女学院大学の検診も行っております。
(3)呼吸器科
呼吸器感染症(肺抗酸菌症を含む)、閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘息、間質性肺疾患、肺癌等、呼吸器疾患全般の診断および治療を行っています。
慢性呼吸不全の患者さんに対する在宅酸素療法(HOT)や在宅人工呼吸器(NPPV)の導入、および呼吸器リハビリテーションにも力を入れています。
肺癌・結核検診で要精検とされた方の二次検診(CT、喀痰、必要に応じて気管支鏡検査等)や、肺年齢測定(肺機能検査)等も行っています。じん肺・石綿の健康診断では、北信地方で唯一の指定医療機関として、毎週木曜午前に専門外来を設けています。
(4)小児慢性疾患
腎炎、ネフローゼ、気管支喘息の小児慢性疾患と近年増加している不登校、心身症の子どものこころ診療を行っています。
隣接する長野県若槻養護学校で小学・中学および高等部の学生は教育を受けています。また、肥満や低身長に対する医療相談、精密検査も積極的に行っています。
(5)整形外科
関節症、慢性リウマチ、脊椎疾患等の整形外科治療を行っています。
(6)外科
甲状腺疾患を専門とし、併せて一般外科治療も行っています。
(7)所轄保健所
長野市保健所
(8)養護学校
長野市保健所
新人として働きはじめてまだ日は浅いですが、先輩たちの丁寧な指導のもとアットフォームな雰囲気の中で働いています。
長期に入院されている患者さんも多いため、一人一人に合ったケアを考えながら、コミュニケーションを大切にし、看護しています。
【院内教育の概要】
教育目的は、看護課の理念と方針に基づき専門職業人としての知識、技術、態度を学び質の高い看護提供できる看護師を育成するとしています。当院は、一般医療と重症心身障がい児(者)の医療を二本柱としており、看護も同様に対象となる患者さんに看護課の理念である「わたしたちは、看護を必要とする人の生命の尊厳と人権を尊重し思いやりのあるあたたかい看護を提供します。」をどのように実践していくかをテーマに、企画・運営しています。キーワードは、「患者の尊厳」「看護倫理」であり、定期的に研修コースに必ず組み入れ、キャリア(経験)に応じ、「その時の自分はどう考えるか?」を自身に問いかけ、振り返る内容としています。
【教育・能力開発系(特に中途採用の特徴)】
独立行政法人 国立病院機構(全国144施設)では、独自の「看護職員能力開発プログラム」を作成しており、このプログラムに沿って病院の特徴を加えた教育プログラムを立案・実施しています。このプログラムの概要はこの下に表示している「看護職員の教育・能力開発体系図」にまとめています。
医療従事者としての知識・技術・態度を発揮できる看護師を育成するため、基礎から専門に教育目的を設定し「能力開発プログラム」に沿って集合教育とOJTをフィードバックさせ段階的に学べるよう組み立て支援しています。中途採用者に対しては、「中途採用者看護実践スクリーニング評価票」を活用し、個々に応じた技術支援を実践しています。
また、平成23年度より「院内認定重症心身障がい児(者)看護師」研修を開始し、初年度は6名受講、4名の院内認定重症心身障がい児(者)看護師が誕生しました。今年は、活動元年とし、各看護単位での学習会の開催をはじめ、院内研修(摂食・嚥下、ポジショニング、トランスファー等)でも講師を務めるなど、活動が期待できます。
椅子に座って過ごすような仕事は向いていないと思っていましたし、家庭に縛られるのではなく、自立できる仕事に就きたいとも考えていました。そんなときに看護師をしている父の従姉から「患者さんがありがとうと言ってくれたときに、仕事の遣り甲斐を感じる」と聞き、一生の仕事として看護師を目指すようになりました。
新人看護師時代に外科病棟と救命センターに勤務していました。亡くなっていく方が多い病棟でしたので、「生きるとは」、「死ぬとは」に直面し、患者さんやご家族から多くのことを教えていただきました。生死について、そこでとことん考えたことが今まで看護を続けてきた一番の理由だと思います。また、働く仲間に恵まれ、日常的に看護について語り合えたことも大きかったです。
看護師は患者さんの自己治癒能力の働きを助けることが仕事であり、患者さんの経過に良い影響を与えるのは看護師の能力にかかっています。自己研鑽を重ねて、看護の知識や技術を向上させる努力が必要だと考えます。また、病院は治療の場ばかりでなく、24時間を過ごす生活の場でもあります。患者さんが安全に安楽に過ごすことができるよう、患者さんに向き合い、何ができるかを考えていくことが重要です。
風光明媚な高台に立ち、一般病棟と重症心身障がい児(者)病棟を中心に「わが家が見える病院」として、重症心身障がい児医療、地域医療、子どもの心の診療を3本柱に掲げ、治療と療育を行っています。 地域連携の強化の結果、一般病棟の入院患者さんも増加してきました。多職種が共同して患者さんに関わる環境が整っていますので、お互いを尊敬し、それぞれの専門的知識を結集して、さらにチーム医療を推進していきたいです。ご家族との絆を大切にし、じっくりと患者さんと向き合う病院を目指しています。
宿舎や保育園があります。また、野球チームやバトミントンチームなど職員の交流が盛んです。長野県の夏祭り「びんずる祭り」では院長から新人まで同じハッピを着て、踊ります。団結力が高まりますよ。
当院の看護理念である「私たちは、看護を必要とする人の生命の尊厳と人権を尊重し思いやりのある、あたたかい看護を提供します」を理解し、共感してくださる方ですね。当院の患者さんは、一般科病棟でも重症心身障がい病棟でも言語的コミュニケーションができない方が多くいらっしゃいます。そのような方の人権を尊重し、真面目で誠実に看護に取り組んでいこうとする方を望みます。
専門職業人としての看護師の役割拡大が推進されています。看護は一生勉強です。学んで獲得した知識は看護師としての世界を広げてくれます。当院では国立病院機構、そのほかの研修以外に、院内認定重症心身障がい児(者)研修を企画し、看護師のキャリアアップを支援しています。当院の重症心身障がい児(者)病棟の患者さんにはほとんど褥瘡がありません。これは当院の自慢です。看護研究発表にも力を入れています。是非、どうぞ見学においでください。
冨澤:学生時代に当院の重症心身障がい児(者)病棟の見学実習があり、看護師や保育士などスタッフが生き生きと働いており、障がいを持った患者さんの看護をやってみたいと思いました。
藤澤:学生時代に当院の重症心身障がい児(者)病棟の実習があり、重症心身障がい児(者)と関わる事が多くありました。そこで障がいを持った患者さんには様々な症状があり、日々ゆっくりではありますが、成長していることを感じました。そして重症心身障がい児(者)看護の奥深さを感じ、重症心身障がい児(者)看護をやってみたいと思いました。
冨澤:当院での勤務は20年以上になりますが、やめたいと思ったことはなかったです。特に重症心身障がい児(者)病棟勤務が長かったですが、患者さんは障がいがあっても素直で明るく、私自身もその明るさやエネルギーをもらって、楽しく看護をすることができました。また重症心身障がい児(者)の看護は深く、医師、PT、保育士、指導員、養護学校の先生方などのスタッフと連携して行うチーム医療の大切さを学びました。
藤澤:重症心身障がい児(者)の看護はこれで良いということがなく、これをしたら患者さんが楽になるだろうか、あれを試したら患者さんは笑顔で過ごすことができるだろうかと考えながら看護を行っているので、毎日が充実しています。また、重症心身障がい児(者)には様々な職種が関わっており、他職種と連携を図ることで患者さんの生活がより充実したものになっていく達成感も感じています。
青柳:2011年度から院内認定 重症心身障がい児(者)認定看護師制度が設けられ、冨澤さん、藤澤さんのほかに2名、合計4名が30時間の研修を受講し、合格しました。研修は大変でしたか。
藤澤:いいえ、大変とは思いませんでした。研修は日々の看護に役立つ内容で、自己のスキルアップにつながり、充実した研修期間でした。
冨澤:私は副看護師長の役割もあり、スケジュール調整が大変なときもありましたが、 研修内容が幅広く、充実していたので、楽しみながら学ぶことができました。
青柳:重症心身障がい児(者)認定看護師となり、具体的にどんな活動をしていますか。また、今後どのような活動をしていきますか。
藤澤:重症心身障がい児(者)認定研修では重症心身障がい児(者)とは、リハビリ、養護学校、療育などについて学びました。その学びを基に研究を行ったり、病棟スタッフに向けた研修会を開催したりしています。また重症心身障がい児(者)においてのリハビリの大切さを実感していますので、患者さんにとって安楽なポジショニングの実際を病棟スタッフに掲示していきたいと考えています。
冨澤:私は現在、内科病棟に勤務していますが、認定研修で学んだポジショニング、排痰の技術、摂食機能療法など日々のケアで使うことが多いので、重症心身障がい児(者)の看護だけでなく、研修を受けたことが看護師として大きな財産になったと思います。内科病棟のスタッフにも、患者の安楽を考えたポジショニング方法、有効な排痰方法を伝達し、誤嚥しやすい患者さんには機能評価を行い、安全に食事が摂れるようにしていきたいと考えています。
青柳:冨澤さん、藤澤さんの生き生きとした表情を見ていると、重症心身障がい児(者)認定看護師研修を行った甲斐がありました。認定看護師として、専門的知識、技術を広め、看護師全体のレベルアップにつなげてほしいと思います。今後の活躍に期待しています。
冨澤、藤澤:はい、頑張ります。
冨澤:今年3月から内科病棟に勤務になりました。寝たきりの患者さんが多い病棟ですが、看護の基本的援助がしっかりと行えるように頑張っています。
藤澤:看護の基本となる観察、生活の援助を中心に、呼吸器をつけて学校生活を送っている患者さんの看護を行っています。また、食事を取ることが難しい患者さんに工夫しながら食事介助を行っています。
冨澤:重症心身障がい児(者)の患者さんや脳梗塞後遺症の患者さんなど、自力でセルフケアのできない患者さんが多く、特に看護の力が必要な病院です。
藤澤:重症心身障がい児(者)など、慢性期の患者さんが多く、看護師、保育士、学校の先生などの様々な職種が患者さんが日々充実した生活が送れるにはどうしたらよいか考えながら関わりを持っているところです。
冨澤:工夫や色々なアプローチをしていく中で、重症心身障がい児(者)の患者さんが今までできなかったことができるようになったときですね。
藤澤:汗をかきながら食事をしていた重症心身障がい児(者)の患者さんが、体位の工夫やリラックスする方法を考えたことで楽に食事ができるようになったときや、苦しそうに呼吸をしていた患者さんが呼吸リハや体位変換のあと、楽に呼吸ができるようになったときなどです。
青柳:私は以前、言語的コミュニケーションの図れない患者さんとの関わりの中で、分かり合えたと感じたとき、とても感動しました。患者さんとの関わりは発見の連続で、とても遣り甲斐を感じます。また、小児から老年まで幅広い知識や看護が求められる病棟でもあるので、大変な面もありますが、遣り甲斐を感じられる病棟でもあります。今後、認定看護師の皆さんと力を合わせて、さらに患者さんの役に立てるようにしていきたいと思っています。