当院は1950年に開院し、1958年から精神科として地域医療に取り組んでいます。現在、精神科、心療内科(漢方外来含む)、小児科、歯科を標榜し、自閉症、児童思春期、そううつ病、アルコール依存症、認知症、精神科一般と、幅広い医療を行っております。
入院部門は精神科急性期治療病棟、認知症入院病棟、精神療養病棟に機能分化され、症状に応じた療養環境を提供しています。また、措置入院・司法鑑定入院の受入れや、熊本県精神科二次救急医療の輪番病院として日曜や夜間の救急対応を行っています。
在宅部門は精神科ショートケア・デイケア・デイナイトケア、認知症デイケアを中心とし、訪問看護や行政、福祉との連携により社会復帰を支えています。
一方、退院後の社会復帰支援として、地域活動支援センター、指定相談事業所の設置のほか、グループホームや共同住居を提供、自立支援法の就労訓練施設(レストラン「大河」、パン工房「まりも」、農園「グリーンサム」、喫茶「ジャスミン」)の運営を行っています。
院長 犬飼邦明
医療法人ましき会は、患者さんとそのご家族に対し最善のプロフェッショナルサービスを提供し、精神科医療の責任ある担い手として、地域の医療・福祉・文化に貢献します。
適切な医療の提供
医療チームの充実
地域との関係作り
健全な病院運営
私たちは患者さん一人ひとりを大切に想い、やさしさとぬくもりのある看護を提供いたします。
入院から在宅支援まで、患者さんに今必要な支援は何かを考える益城病院の看護。病院理念の「患者さん中心の医療」を理解し、「より質の高い看護をしたい」という熱い思いを持つ多くの先輩たちが取り組んできた歴史と実績があります。
その歴史を誇りとして組織を継続し発展させていくために、私たちは、常に社会の変化に対応した医療・看護を創造していかなくてはなりません。
看護部は、医療チームの一員として倫理観を高め、安全で安心な治療環境と、確かな技術に裏付けされた看護の提供を目標としています。
病院職員、そして看護職員として必要な基本姿勢と態度・看護技術について、1年を通じて研修プログラムを作成し実施しています。
1)入職~1カ月
精神保健福祉・個人情報保護法・院内感染対策・医療安全管理・医薬品の安全使用などの医療法に関する研修と、接遇研修・職員倫理・チーム医療での個人の役割・精神科看護の特徴など、医療人としての基本姿勢について研修を行います。また、看護部以外の各部署において、業務や患者さんとの関わりを通して、各部署の特性や支援の違いを学び、益城病院の治療体系を理解します。
2)1カ月~1年
各部門に配属され、職場の指導や教育を受けます。1カ月に1回の新人研修では、精神科看護技術到達目標に沿った研修を行います。
3)現任者研修
1年間の研修プログラムのもと、職員全体研修・看護技術研修・医師による疾患の特徴・院外講師による接遇研修などを行い、医療の質・看護の質向上に取り組んでいます。また院外研修参加後は定期的に伝達会を行い情報の共有を図り自己研鑽の場となっています。
4)看護研究(症例発表)
年に4回程度、各部署で看護研究を行った院内事例研究会を実施しています。内容により病院の推薦を受け、院外の研修会で発表することができます。
当院で働きながら看護師の資格をとる職員のために・・・
☆益城病院奨学金制度が利用できます。
☆学校のカリキュラムを優先した勤務を組みます。
☆昼間・夜間・通信制いずれも利用可能です。
育児室 Enfant(あんふぁん)のページをご覧ください。
小学生のときに父が入院したのがきっかけです。私は子どもでしたが、父にも、私たち家族にも優しく接してくださった看護師さんを見て、憧れに似た感情を持ちました。すごい田舎だったので、就職の際にほかに選択肢がなかったというのもありますけどね(笑)。
外科病棟で働いていたときに、小さなお子様のいらっしゃる若い男性の末期がんの患者さんを担当していました。その患者さんに「1日でも早く良くなって、仕事ができるようになりたい。家族を守らないといけない。でも、どうしてこんなに苦しいのか」と言われましたが、私はその方の悩みを聞くことはできても、ほかには何もして差し上げることができませんでした。それを当時の師長に相談したのですが、師長からは「自分が何かしてあげる、何かできると思うこと自体がおこがましい」と言われました。「あなた方は聞くのが仕事、患者さんに寄り添う存在になることが仕事なのよ」と言われたのを良く覚えています。
現在の職場である精神科の病院で働くことを決断する際に、その経験が私の気持ちを後押ししてくれました。当院の看護部の理念に「患者に寄り添う」を見つけたときは嬉しかったですね。相談いただいた患者さんの気持ちやニーズに応えられたときは精神科看護師として喜びを感じます。自分一人で解決できないことも多い中で、力を借りられる職場の仲間がいること、仲間と分かち合える喜びがあることも精神科ならではの良い部分です。一喜一憂しながらも、日々の小さな出来事を楽しんでいます。
生活環境まで含めて支援する精神科の看護職はとても大変です。患者さんがその人らしく生活していく自信がつくまでには長い時間がかかります。各専門職が多方面からサポートをして、状態が良くなって退院が決まっても、「良かったですね」と、私たちが喜べる方々ばかりではありませんので、退院される環境に思いを馳せて、気が重くなるときもあります。
精神科の看護師は患者支援の過程で思い悩むことが多いのですが、当院の職員は私が感心するくらい仲が良く、お互い声を掛け合って支え合いながら仕事をしています。医師のほかにも専門職が多い職場ですが、それぞれの専門職が皆、病棟配属という形になっています。病棟の看護師、作業療法士、臨床心理士、精神保健福祉士、介護士などの相互理解ができていて、それぞれの領域で支え合いながら仕事ができる環境になっています。
全員が同じ会議や研修に参加するという方針ですので、よくある職種ごとの壁や隔たりといったものは少しも感じられません。これはとても良いことだと思っています。研修はできるだけ全員参加型にしていて、内容について同じ理解、同じ成長を目指しています。研修自体もグループによるディスカッション形式で行うことで、今まで気付かなかった現場での悩みや問題点に気付かされるようです。最近は意識的にこういった機会を増やしていくようにしています。
また、働く場も病棟だけでなく、地域で生活する方を支援する外来やデイケア、あるいは就労支援相談など幅広くありますので、専門職としての資格と個人の趣味や特技を活かすことが可能です。育児室の歴史も古く、1971年から存在しています。女性スタッフにとってはとても助かります。育児室で育った子どもが大人になって、親子2代で当院で働いた例もあるんですよ。
積極的に行っていきたいと考えています。看護師の資格以上に普通の主婦の感覚や特技が患者支援に役立つときがありますし、それが精神科看護師を続けていこうと決心するきっかけになることもあります。ちなみに、私は患者さんに「あんこ」の作り方を教えてもらって、主婦として成長してきました(笑)。
当院の教育プログラムの特徴としては看護部門に特化したものではなく、精神科に携わるスタッフとして必要な知識を皆で吸収して、皆でレベルアップを図っていこうというスタンスです。そのため、職種を問わず参加できる全員研修とそれぞれの部署や職種ごと、経験年数ごとなどの研修が行われています。精神科にはなかなか新卒の入職はないですが、入職時の講義研修や職場研修などを通して、部署に配属されるシステムですので安心です。
新しく入職した看護師に関しましては、最初は1カ月、3カ月、半年、1年後にレポートを提出していただきます。また、毎月1回、接遇、医療安全、看護記録の書き方や会議記録、報告書などの事務的な作業のやり方、電子カルテやPCの操作方法などの新人研修を行って、基本的な業務も段階的に覚えていってもらっています。
一般的なプリセプターとは違うかもしれませんが、入職した新人を先輩看護師が1年間、責任を持って教育する制度を採っています。またチャレンジシートを活用して、何ができて、何ができていない、何に悩んでいて、何に挑戦したいと思っているのかなど、面接しながら上司が応援し、現状を共有することに努めています。
勉強会は基本的には研修委員会が企画し、院内で行っているほか、院外研修なども積極的に参加しています。ケースカンファレンスでは看護師をはじめ、作業療法士、臨床心理士などの他職種の視点で、どうやったら患者さんにもっと満足してもらえるか、気持ちよく帰っていただけるか、ご家族に対してどうケアしていくかなどを話し合います。それら全てが学びの場になっていますね。
患者さんが今、何を必要としているのか、それに対して、どういう対処が迅速にできるのかを、自身で考えて実践できるような看護師を育成していきたいです。精神科の専門的な内容は当然ですが、心と身体の不調には密接な関係があることを理解して、どちらも看ることができる看護師が理想ですね。
精神科・心療内科(漢方を含む) 小児科(児童思春期)・歯科
210床
1病棟(認知症病棟 53床)
2病棟(精神科療養病棟 53床)
3病棟(精神科療養病棟 52床)
橘病棟(精神科急性期治療病棟 52床)
熊本県認知症疾患医療センター
指定相談支援事業所 「アントニオ」
地域活動支援センター 「アントニオ」
院内保育施設「あんふぁん」
共同住宅「i ハウス (アイハウス)
Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ・Ⅹ・ⅩⅠ・21、宇宙(そら)」
高齢者グループホーム「ふるさと」
就労継続支援B型事業所「健味健食園」
・レストラン「大河」
・パン工房「まりも」
・農園・グランドゴルフ場「グリーンサム」
・喫茶「ジャスミン」
常勤医師 : 9名 非常勤医師 : 10名
看護師 : 106人 療法士 : 17名 薬剤師 : 3名 栄養士 : 20人
放射線技師 : 1名 事務員 : 35名 その他 : 88名
熊本市電健軍電停より車で約10分、産交バス木山線中惣領バス停前
阿蘇熊本空港より車で約15分
JR熊本駅より車で約40分
九州高速道路・益城熊本空港ICより車で約5分
後藤:私はもともと精神科に興味があり、前の病院でも精神科の病棟に勤務していたんですが、精神医療の知識や経験をさらに高めたいと思い、益城病院に入職しました。益城病院が患者さんにケア付きの住居を提供したり、レストランやパン工房にて就労訓練を行ったりするなど、地域との関わりを重視している点に惹かれました。
藤屋:高校生のときに体験実習で病院を何軒か回らせていただいたのですが、ある病院の精神科で男性の看護師さんに出会い、その人の対応や仕事の仕方を見て、その看護師さんみたいになりたいと思ったのがきっかけとなり、益城病院に入職しました。
高橋:学生のときに、自分には精神科が合うのではないかと漠然と思っていたんです。そのときの指導教官から「精神科に入職するのであれば、内科や外科などの科で経験や人生経験をある程度積んでからでないと、患者さんを支えることはなかなかできないよ」とアドバイスを受けまして、10年ほど色々な科で看護師として経験を積んできました。10年経って、やっと精神科に入職して、益城病院に20年勤めています。
後藤:患者さんの笑顔が見られたとき、ご家族からお礼の言葉をいただけたときです。
藤屋:やはり患者さんが笑顔で退院してくれたときですね。私がそれまでやってきたことが患者さんにとって意味があったんだと感じ、とても嬉しくなります。
高橋:私は主に在宅看護を行っています。一人の患者さんを在宅で支えるためには院内の色々な職種、院外の事業者、患者さんのご家族の方々などと連携がしっかり取れていないといけません。この連携がスムーズにできて、患者さんが無事に生活できて、入院を未然に防ぐことができたとき、この仕事ならではの醍醐味、喜び、楽しさを感じます。患者さんを在宅で支え、患者さんと苦楽を分かち合い、充実している毎日です。
後藤:私は認知症病棟に配属されていますが、初めて認知症の患者さんを担当したときに、叩かれたり、担当することを拒絶されたりしたことがあって、とても辛かったです。しかし、成長するために自分自身で勉強をしたり、先輩たちの対応を見ながら学んでいます。まだ未熟ですが、しっかりとした対応ができたときなどに、この仕事をやっていて良かったと嬉しく思います。
藤屋:どうしても病状の変化があるのですが、ほかの看護師が対応したときに、自分の対応では落ち着かなかった患者さんの病状が落ち着いたりするのを見ると、自分の力量不足を感じ、情けなくなり、とても辛いです。
高橋:壁を乗り越えたという部分で思い出すと、精神科での勤務を始めて2年目頃に在宅に異動し、デイケア、訪問看護などの業務の立ち上げを経験しました。当然、経験も浅かったので、試行錯誤したり、疑心暗鬼になったりと大変でした。しかし、そのときの上司が「責任はこっちで取るから、自分が思うようにやってみなさい。何よりも自分自身が楽しく仕事をしないと、患者さんも楽しくなくなるので、病状も良くならないよ」と言ってくれました。辛かった時期に仕事に対する見かた、考え方を前向きに変えることができ、とても楽になったのを覚えています。
後藤:前の病院ではなかったんですが、当院には家族教室という取り組みが年間4回あり、高齢の患者さんのご家族を対象に、普段、聞けない悩みを聞いたり、交流を図る機会として、とても勉強になっています。
藤屋:私は病棟での勤務が長いのですが、それ以外で携わったものとして「もの忘れ相談」があります。在宅で認知症なのか、そうでないのか、判断し難いときなどに、相談という形で心理検査などを行って病状を見出し、外来に繋げていくという取り組みを行っています。これは3年目になります。
高橋:在宅部門には精神科デイケア、認知症デイケア、外来、訪問看護、地域連携室などがあります。朝礼では全員集合し、情報交換をしてから、それぞれの持ち場に行くようにしていますので、必ず「連携を取るように」ということを伝えています。訪問看護は外来やデイケアの職員が交代で訪問し、デイケアや就労支援などに関わるスタッフがそれを必要とする患者さん宅を訪問して、前もって顔なじみになってもらってから来ていただくように努めています。また、寝たきりになりそうな患者さんのお宅へ作業療法士に訪問してもらうこともあります。今年はレストランやパン工房での就労支援だけでなく、種蒔きから収穫までを経験して稲を育てる農業体験も行いました。生活支援センターに関しては、行政と協力して利用者さんの生活支援に取り組んでいます。
後藤:職員同士が仲が良く、上司も話をよく聞いてくれるし、自分の意見を伝えやすい環境です。病院のサポートでスポーツクラブを運営していますので、健康維持のために利用することができます。また、育児室があるので、自分の将来の生活を考えると、とても安心して働けます。
藤屋:私は初めて入職したのが益城病院なので、他院と比べることができません。14年間、この病院で働いていますが、どこの現場でもスタッフ同士のサポートが本当に行き届いているので、とても働きやすいですね。職員同士が仲が良いと言っても、プライベートに踏込んだ仲という意味ではなく、職員同士が良い距離感で悩みを相談し、それぞれの役割を果たしています。それが私が14年間、勤務し続けることができた理由であり、この病院の良さではないでしょうか。
高橋:精神科は他の科よりも職員全体がそれぞれの現場で連携を取っていかないといけない診療科です。私は20年、勤務していますが、最近はその連携がとても充実してきましたね。福利厚生も、社員旅行やスポーツクラブの利用などを含め、息抜きができる環境が整っていると思います。
後藤:入職後は新人研修で各部署を回り、1年間でそれぞれの部署での仕事を学びます。また、社会人としてのビジネス研修や電子カルテなどのパソコン研修、接遇サービスの研修などがあり、院外研修にも積極的に参加させてもらえるので、しっかり学べる環境が整っていると思います。
藤屋:私が入職した頃に、ちょうどパワーアップ研修が始まったんですが、将来のリーダーの育成、職場での連携の取り方など、こと細かに半年かけて研修を行います。その研修で職場での自分の立ち位置や意識などが変わり、とても有意義だったので、続けていってほしい研修ですね。私は今も勉強中です。
高橋:当院では新人、中堅、管理などそれぞれのレベルで色々な研修があり、私は指導する側として職員さんたちが頑張りすぎて疲弊しないように、そして、できるだけ皆が研修に参加できるように、院外の研修も含めて開催の頻度を考えながらバランスを配慮しています。
後藤:当院はスタッフ同士が仲良く、和気藹々としていますので、働きやすいです。患者さんたちに心地よく生活していただくために一緒に頑張りましょう。
藤屋:精神科で培ったノウハウは人生を豊かにしてくれます。始めは緊張すると思いますが、働く環境や先輩看護師に関して、当院は本当に恵まれた環境があります。尊敬できる先輩看護師を早く見つけ、自身の看護観などを是非、育てていってほしいです。分からないことがあっても、聞きやすい環境ですし、何よりも職員同士がこれまでずっと仲良く働いてきた歴史があるので、新人であろうが、中堅であろうが、きっと楽しく働いていただけるはずです。それが結果として、患者さんたちのためになります。是非、一緒に頑張りましょう。
高橋:精神科の看護に関して、ご自身が実現したいことなどがあれば、一緒にやれる環境があります。当院に興味を持っていただける方を、職員一同、お待ちしています。