vol.46
独立行政法人国立病院機構 東京病院
当院は昭和初期から結核療養の地として発展してきた、前身の旧国立療養所清瀬病院と旧国立東京療養所時代から引き続き、わが国における結核治療及び医学研究に対して中心的な役割を果たしています。治療法の進歩に伴い、結核は減少していますが、結核症の難治化、患者様の高齢化に加えて、近年では若年層の患者様が増加しています。当院では他の医療機関で対応が困難な患者様が集中する傾向がある一方、当院の医師及び看護技術の専門性や診断、治療設備を活かした結核以外の呼吸器疾患についても精力的に治療を行っています。呼吸器疾患を中心とした基幹施設としての役割のほか、肝疾患に関する専門施設としての役割を果たすなど、国立病院機構としてふさわしい、高度で専門性の高い医療、臨床研究及び教育研修を行っています。なお、2011年4月1日現在、病床数は560床で、看護師数は293名、そのうち男性看護師は19名となっています。
私たちは、患者さまの立場に立った思いやりのある暖かい看護を行います。
専任の教育担当看護師長を配置し、看護の専門家としての知識、技術、態度を発揮できる看護職員を育成するため、基礎から専門に積み上げた系統的教育計画を実施しています。集合教育での学習の動機付けや能力評価が行えるよう、各看護単位で行われている機会教育の現状を把握しながら、段階的に主体的に学んでいけるように研修を計画しています。
指導内容は看護の基礎である知識、技術、態度を確実に実践できるよう新人看護師一人一人の歩みに合わせてステップアップしていきます。指導体制としてはチーム支援型で、スタッフ全員で、それぞれ役割を持ちながら指導にあたります。また教育担当看護師長が専任で新人看護職員の育成に携わっています。
新人教育では職場の早期適応と看護実践の基本を習得します。臨床看護実践は学生時代に習得 した技術だけでは不十分な場合も少なくありません。そこで、当院の新人看護教育では、教育担当師長のもとで各職場の指導者と連携をとりながら看護師のレベルに合わせたきめ細かい実践教育を行います。
当院では認定看護師養成(慢性呼吸器疾患、皮膚管理、緩和ケアなど)、専門看護師養成、医療安全研修、治験養成研修などを通じて看護師のスキルアップを応援しています。現在、4名の認定看護師(感染管理認定看護師、緩和ケア認定看護師、皮膚・排泄ケア認定看護師)が活躍しています。今年度も3名の認定看護師コース(慢性呼吸器疾患看護、皮膚・排泄ケア)の研修受講が決定しています。また、幹部看護師任用候補者研修・選考を経て、管理職へ道も拓かれています。さらに、当院の院内教育の特徴として、呼吸器専門研修コースを設け、呼吸器疾患の専門看護師養成にも力を入れています。
昨年、臨床研究部に看護研究室を新たに設け、臨床に即した看護研究を病院として支援しています。そうした活動を通じて学会発表も行い、学習意欲のある看護師には病院組織としてキャリアップを応援する態勢が整っています。
第一に気持ちの温かい人、第二に向上心を持った人と、患者様のためにともに学びたいと思います。当院は職域の壁を超えてフランクに話し合える雰囲気があると自負しています。常に向上心を持ち、誇りを持って看護に携わりたいという方にとっては働きやすい職場です。
看護師という職業は勤務形態一つとっても厳しい職場ですが、当院は育児休業制度など福利厚生面なども含めて、できる限り働きやすい環境を整備しています。看護師宿舎の住環境も良く、人と人との関係も良好です。人間関係の軋轢は働く人の大きなストレスになりますが、何でも話し合える雰囲気ですので、同僚や先輩に悩みを打ち明けて、解決の道筋を見つけることができるでしょう。また、看護師として向上心を絶やさない方にとっては学ぶための環境も充実しています。私たちは決して看護師を一人にしません。皆で職場を働きやすい環境にしていきたいと思っています。
生涯の職業として医療関係を志し、中でも看護師が自分の中で最も身近な存在でした。看護学校での実習などを通して、患者様一人一人を大切にする看護の素晴らしさを感じました。
患者様一人一人を大切にしたいですね。患者様の社会的・精神的な面から人格を尊重し、看護を押し付けるのではなく、個別を捉えた看護が大切です。そのためには患者様をよく知ることが重要です。患者様の生命力を引き出せる看護ができればよいと思います。前向きに治療しようという姿勢がないと病気は改善しません。患者様の積極的な治療を助けるのが看護だと考えています。
看護は思いだけではできません。医療・看護技術が日々進歩する中で、より病態の深刻な患者様の救命も可能になってきました。そうした医療環境の中で適切な看護を実践するためには常に学ぶ姿勢が求められます。看護技術の向上を目指して、自己研鑽を怠らないことが大切です。一方、看護技術、看護知識が十分でも心が通い合っていなければ良い看護はできません。患者様はもちろん、チームの一員としてスタッフとコミュニケーションがしっかり取れ、人が好きだと思っている人に来ていただきたいと思います。
国立病院機構東京病院の看護職員は「患者様の立場に立った思いやりのある暖かい看護を行う」ことを理念に掲げています。私は「心・知・技」が揃ってはじめて患者様に満足いただける看護が提供できると思っています。患者様やご家族に誠意を持った気持ちよい対応をすることはもちろんですが、 専門職業人として知識や技術を向上させるために、看護職員一人一人が日々努力していくことが重要だと考えています。そのために看護部として、院内研修の充実を図るとともに院外の研修にも積極的に参加できるように支援しています。
東京病院は武蔵野の面影を残す広大な敷地に建っており、季節毎に咲く花々や木々の変化が患者様や職員の気持ちを和ませてくれます。このような恵まれた療養環境を提供するとともに、患者様自身に東京病院で治療、看護を受けて良かったと思っていただけるように、病院で働く全職種の職員と連携を図り、努力していきたいです。
水中:1日見学して、直感的に東京病院で働きたいと思いました。患者さんとスタッフのコミュニケーションに壁を感じなかったのが理由です。
高麗:呼吸器疾患を勉強したいと思っていたので、伝統的に呼吸器疾患に強い東京病院を選びました。それと福利厚生面での充実です。子育て支援がしっかりしているのはありがたいと思いました。
大工原:看護学校時代の恩師に看護教育がしっかりしていると聞いたのがきっかけです。東京都にありながら、緑がすごく豊かなのも気に入りました。
小菅:看護学生の頃に直接、病棟を案内していただく機会があり、働きやすいと感じました。そのときにプリセプターシップ制度で先輩看護師からマンツーマンで指導を受けられるというお話も聞きましたし、私の出身が清瀬市だったことも選んだ理由です。
大工原:昨年、子どもが生れたのですが、男性でも育児休暇をもらえたのがありがたかったですね。一人暮らしのときには看護師宿舎が安価で借りることができたので助かりました。
水中:夏休みもしっかりいただけます。私は独身ですが、プライベートの時間を楽しむ余裕もあるように思います。更衣室に付属して、大きなお風呂があるのがいいですね。同僚とお風呂につかりながら、色々な話ができますし、寮に帰れば寝るだけというのも嬉しいです。
高麗:育児休暇だけでなく、保育園があるので助かっています。私立の保育園に通わせると、それだけでお給料がなくなってしまうという話も聞きますが、比較的、低料金で預かっていただけるので、経済的にも助かっています。
小菅:リハビリテーション科は脳血管障害の患者様がほとんどなので、機能回復のリハビリをされている方が多いです。
大工原:ICUは患者様の状態が良くなると、一般病床に転床されるので、その後の経過を知る機会が少ないのですが、病院の廊下を歩いている姿を見たり、退院されたという話を聞くと嬉しいですね。ICUでは内視鏡にも関わっていますが、ポリープの内視鏡手術をするときなどは治療に関わっているという実感があります。当院のICUでは循環器系の患者様もいますが、主に人工呼吸管理、術後のケアなどが中心になります。
高麗:私の病棟は肝臓疾患の方、あるいは検査入院で消化器系のがんが発見される方などがいらっしゃいます。がんが発見されたときは精神面でのケアが重要になります。
水中:私が担当している病棟は診断目的で入院される方が多いのですが、肺炎、肺がんの患者様が中心です。まだ3年目なので、勉強すべきことに追われていますが、疾患と症状の関係を把握したうえで症状を緩和できるようなケアをしていきたいと思っています。
大工原:病態が変化しやすい患者様が多いので、学ぶべきことが多く、大変ですが、それだけ勉強にもなります。複数の科にまたがる患者様を診る機会も多く、看護の基本的なことは一通り学べるという意味で遣り甲斐のある職場です。
高麗:患者様の「ありがとう」の一言が私たちにとっては何より遣り甲斐につながります。退院後に私たちに元気な姿を見せてくださる方もいて、そんなときは看護の仕事についてよかったと思います。
水中:まだ呼吸器内科での経験が少ないので、学ぶだけで精一杯なのですが、臨床の場で、あるいは文献なども参考にしながら勉強していきたいと思っています。将来は救命救急に携わりたいです。東日本大震災で大変な時期ですが、応援依頼があれば行きたいですね。
水中:看護師同士のコミュニケーションがとても取りやすいというだけでなく、医師と看護師の間でも話しやすい雰囲気があります。医師のほか、栄養士や作業療法士の方なども気さくに話しかけてくださるので、私たちも治療方針などをお聞きするのにあまり躊躇しません。そんな雰囲気なので、職場に慣れてくると周りが見えるようになりますし、切羽詰まった状況のときはフォローもしていただけるので、安心して働ける職場です。
高麗:私も医師やその他の専門職の方とコミュニケーションが取りやすいと感じています。治療方針やケアの方向性などもチームの中で相談しながら決めています。そんな雰囲気なので、安心して勤めていただけるのではないでしょうか。
大工原:私は4月から看護系の大学院に進んで、看護分野のマネジメントを勉強する予定ですが、仕事をしながらキャリアップできるのは大きいと思います。シフトも調整していただけるので、働きながら学べる職場です。仲間の看護師にも協力してもらわなければなりませんが、キャリアアップを目指す仲間がいたら、私も協力して応援したいですね。
小菅:リハビリテーション科は患者様とお話する機会が他の診療科より多いです。どのような診療科でも、それぞれの遣り甲斐があると思いますが、リハビリ科は患者様とゆっくり話したり、またカンファレンスを通じて患者様の社会復帰を支援することができる意味で、とても遣り甲斐があります。社会復帰を支援して、笑顔で退院される患者様を笑顔で送り出すことができる職場です。