vol.41
医療法人 信愛会 交野病院
私ども交野病院は、1965年に交野の地に誕生し、交野市民の皆様にご支援いただき、現在173床の病院でございますが、地域に根を張った病院として皆様方にかわいがっていただいております。2008年8月に新築移転をし、交野市唯一の外科系を有する病院として診療にあたっておりましたが、この度、永年の懸案事項でありました増床計画が認可され、2006年3月に新病棟が完成しました。現在は173床の一般病院として運営致しております。前回は1床8㎡以上、総室は4床までとゆったりとしたスペースで心身ともに快適な空間で治療を受けられるように配慮してまいりましたが、今回はベッド増床だけでなく、脳卒中を超早期(2時間以内)に発見でき、またはPET装置のように悪性腫瘍が発見できるPhilips製のMRI(1.5テスラ)の導入等充実した設備を整えました。また、市民の皆様のご要望が多かった24床の透析室の新設も実現し、安心とアミュニティ性を追求した高度な先進医療の充実をはかり、より一層の地域医療に貢献する所存でございます。また、介護保険下のサービスは訪問看護、訪問ヘルパーサービス、サービスプランの作成等を実施しており、2001年1月より旧病院の建物を利用し、老人保健施設「逢々館かたの」(90床)を開設し、デイサービス、ショートステイサービスなどを行っております。
最後に、市民の皆様に満足していただけるよう、健康管理から一般医療、介護保険下での各種サービスまで、職員一同力を併せて更なる充実をはかる所存でございますので、ご支援のほど、宜しくお願い申し上げます。
病院理念
誠実と信頼の医療
「交野病院の基本理念」
交野市唯一の外科系を有する病院であるが、内科、小児科、泌尿器科、眼科、放射線科も充実し、地域住民の健康管理から一般医療までを担っている。医療サービス部門、または専門外来部門でも専門性、継続性を重視した医療に力を注いでいる。
24床を有し、アットホームな雰囲気の中で、ゆったりとした時間を過ごせる。専門スタッフと充実した最新の透析機器を完備し、血液検査、血液濾過透析、血液吸着など、患者さん個々の状態に応じた様々な治療への対応も可能である。
急性期から回復期、維持期まで、どの時期であっても質の高いリハビリテーション医療を行っている。
90床を有し、デイサービス、ショートステイサービスなどを行う。
訪問看護ステーションがあり、介護の必要な高齢者や患者さんの在宅療養を支えている。
終末期医療にも医師と協力して取り組んでいる。ヘルパーステーションも併設している。
患者様の尊厳を守り、安全で信頼される看護を提供します。
看護専門職として、医療、保健、福祉の幅広い知識と技術を習得し、人間性豊かな看護実践できる看護職員を育成する。
新人看護師が職場に早く適応するために、プリセプターシップを中心に援助している。
溝口:マンツーマンかそれ以上に先輩看護師がつきますので、新人が1人になることがありません。夜勤にも必ず指導が入っていますし、通常は夜勤は2人なのですが、新人がいる場合には3人体制をとっています。相談しやすい雰囲気作りをしていますし、十分な教育を行っています。
堤田看護部長:新人でも、中途採用で経験がある人でも、この病院に慣れたと思われるまでは1年間を目途にプリセプターをつけています。早い人では半年で独り立ちという場合もあります。
STEP1からSTEP4に分けた研修を行っている。STEP1は新人、STEP2は1人前、STEP3は中堅、STEP4は達人として、職場適応から、看護業務の習得、役割モデル、管理の視点、専門性の追求まで、段階を踏んだ研修ができる。
各委員会が様々な研修会を計画している。皮膚・排泄ケア認定看護師である溝口さんによる勉強会も頻繁に開催されている。
溝口:呼吸器の機械など、臨床ですぐに使える知識を増やすための研修会をそれぞれのレベルに合わせて行っています。私が主宰している研修会のテーマは基本的なおむつの当て方ですとか、褥瘡の発生要因と予防についてといったものが多いです。褥瘡については、褥瘡委員会のメンバーである看護師を対象にしたものがメインですが、今後は全体の看護師を対象にして行っていきたいと考えています。
大阪府看護協会などが主催する研修会に参加を希望する看護師には病院がバックアップして、参加させている。
溝口:新卒で勤めた北野病院はストーマの患者さんが多かったんですよ。新人時代は勉強不足でよく分からなかったのですが、徐々に興味が出てきまして、極めたいと思うようになりました。理解ができていれば、患者さんにも深く関わることができますし、患者さんに自信を持って接することができますしね。京都橘大学には尊敬する判澤恵先生がいらっしゃったので、志望しました。病院には院外研修という形で支援していただきました。
溝口:午前中は外来で、水曜日にはストーマ外来を行っています。午後は病棟ラウンドで、ストーマや褥瘡の患者さんのベッドサイドを行っています。リハビリのスタッフや管理栄養士と一緒にポジショニングなどのリスク回避について話し合う機会を持つことも多いです。
堤田看護部長は溝口さんのような認定看護師が交野病院に在籍していることを「ほかの看護師がこうありたいという目標になるし、認定看護師がいればほかの看護師の意識も変わってくる」と評価している。2011年はがん性疼痛看護、緩和ケアで認定看護師が誕生する予定である。
溝口:褥瘡でもストーマでもまずは見せてあげると、看護師の反応が違いますね。私としては分かりやすく、飽きさせないように工夫しています。寝ないようにということでもあります(笑)。休憩を入れたり、実践の機会も増やしています。一緒に実践すれば、理解も違いますね。各病棟を回って、フィードバックをすることも心がけています。患者さんが退院されてからも良い状態が続くようなケアを目指していきたいです。
溝口:最初の出産後、このあたりに転居することになり、新しい勤務先を探したのですが、その当時、産休や育休が充実している数少ない病院の一つが交野病院だったんです。交野病院に来てから、2人目を出産しましたが、育児休暇後も復帰しやすかったですね。子育て中の看護師が多いので、助け合う雰囲気があります。2交替制なのも、いいですね。2年に1回、職場旅行もあります。最近では石川県の山中温泉に行きました。旅館を貸し切りにするんですよ。盛り上がりますね(笑)。
堤田看護部長:リフレッシュ休暇も5日から7日ほどあり、有休の消化率もいいんですよ。奈良県内から車で通勤しているスタッフもいますし、働きやすい環境になっています。主婦や子育てをしながら、自分なりの価値観を見出して、自己達成してほしいと願っています。
溝口:患者さんの上辺だけを捉えるのではなく、将来を見越したケアを行えるようなきっかけを作っていきたいです。様々な場面を想定して、問題点を伝えていくことで、看護部全体のスキルが向上するのではないかと思っています。
人と接する仕事がしたかったからですね。それから技術を身につけたいという思いもありました。原体験としては小学生の頃の祖父との思い出があります。祖父が床に臥せっており、両親が介護をしていたのですが、私は「臥せっている辛さって、どんなのなんだろう」と考えていました。このときに、こういう人に関われたらなと思ったんですね。高校のときに進路を選ぶとき、すぐに浮かんだのがやはり祖父の姿と両親の関わり方でした。そこで改めて、人と接する仕事として看護師を目指そうと思いました。
看護師の仕事を嫌だと感じたことがありません。最初は手術室に配属され、3年ほど経ってから脳神経外科の手術など、徐々に難しい仕事ができるようになっていきました。多くの症例を学習することに追われましたが、教育プログラムも整備されており、確認しながらステップアップできたんですね。そのうち、組織の中で定まった役割を果たすようになり、管理業務も始めました。直接介助での手術を成功させるためには準備が大切だということに気付きましたね。様々な職種の特性も学べました。
国立大阪病院には10年間、勤務し、次に看護学校の教員になりました。最初は准看護師課程に携わったのですが、働きながら学ぼうとする看護学生のひたむきな姿に感銘を受ける毎日でした。さらに厚生労働省の看護研修センターの幹部教員養成課程で研修を受けました。家族を残して、1年間、東京で勉強する機会を得たのは有り難かったですね。帰ってきてからは、3年課程を立ち上げました。厚生労働省に書類を提出するなどの作業を通して、自分の考えをしっかり持たないと、物事を通せないのだと痛感しました。無事に開設できて、新入生をお迎えしたときは安堵感で一杯でしたね。その新入生が就職した年に私も交野病院へと移ったんです。卒業生の実践を見たいという気持ちと臨床を違う視点で見てみたいという気持ちがありました。若い学生や看護師の悩みに付き合い、ひたむきさを目の当たりにしながら、若い人たちから多くのことを気付かされたことが私が看護の仕事から離れなかった理由なのだと思います。
教育委員会では看護学生教育、現任教育、プリセプターに分けて活動しています。看護学生の受け入れは2010年に始まったばかりですので、委員会でも担当者を置いて、活動を始めたところです。
私の着任当初、多くの勉強会がありましたが、系統立てて行われておらず、筋道が混乱しているという印象を受けました。そこで、混在していた勉強会を整理し、看護師が共通して学ぶべきもの、専門的に学びたい看護師のためのもの、病院として取り組むべきものなどに分類し、きちんと計画を立てて開催するように改善しました。
私どもでは中途採用の看護師が多いんですね。入職当初はこの病院では新人かもしれませんが、看護実践能力は新人ではありません。それまで勤務していた病医院や施設とシステムが異なっているだけなんですね。中途採用の看護師用のラダーはないのですが、ラダー的なものを想定した場合、その看護師のキャリアがどこにあるのかを見据えないといけないので、これは今後の課題です。
患者さんがよく「優しい看護師さんがいい」とおっしゃいますが、やはり優しさを持ち合わせていることが大事だと思います。しかし、優しさというものは難しく、何が優しさなのか、常に自分に問わないといけません。患者さんを感じる気持ちを受け止められるように、私も窓を開けておきたいですね。患者さんを感じる気持ちをおろそかにしたら、何も理解できなくなってしまいます。
また、教員時代に看護理論を教える中で、学生と一緒にナイチンゲールの覚書を読んでいました。内容はシンプルですが、看護の本質ですので、折々に思い出すようにしています。
2010年から看護学生を受け入れました。看護師が自分のしてきた看護を後輩にしっかり伝えようという気持ちになってほしいと願っています。それはきっと患者さんへの看護にもいい影響を与えるはずです。それから看護部という組織の一員であることを意識して仕事をする喜びを見出してほしいです。活気やまとまりがさらに出てくるようになれば、患者さんからも評価されるようになり、看護師同士が評価し合うようになるのではないでしょうか。
看護学校や看護学部を受験するときに、人と接する仕事をする人としてふさわしいかどうかは選別されています。しかし、その後、人との関係に満足することは命ある限りはないでしょう。悩むこと、迷うこと、自分を未熟だと思うことがあっても、自分が駄目な人間だとは決して思わないでください。患者さんから逃げずに、患者さんと向き合う気持ちを持つことができれば、患者さんが方向性を示してくださったり、助けてくださるはずです。
交野病院に勤務している看護師の方からお声を掛けていただいたのがきっかけです。私自身も職場を探していたときだったので、ちょうどいいタイミングでした。見学に来て、よく片づけられた清潔感のある病棟だと好感を持ちました。スタッフの人員にもゆとりがあるのか、ばたばたしていない印象でしたね。スタッフの多くが子育て中で、皆が頑張って仕事と両立しているので、私も安心しました
違和感なく入職しましたが、本当にイメージ通りですね。手術室に勤務していますので、手術前訪問でベッドサイドに伺うのですが、整理整頓されていて、環境整備がきちんとなされています。病棟はゆとりがあって、明るい雰囲気ですね。
午前中は外来です。手術室には5人の看護師がいるのですが、そのうち2、3人は手術の準備に回ったり、中央材料室で仕事をしたりしています。午後は手術で、手術終了までが勤務時間です。子育てと両立しやすい勤務時間だと思います。
以前の病院でも一緒だった上司から、「子育て中の生活のペースに合わせて仕事ができる」と勧められて、手術室に配属になりました。でも、それまでは外来と病棟の経験しかなかったので、手術室は全く初めてだったんです。そこで、手術室のスタッフから手術前の準備や書類の書き方など、ひたすら教えてもらいました。自分でも「回復とは…」に始まって、色々な勉強をしました。
何でも言い合えて、仲良く仕事しています。アットホームな雰囲気ですね。仕事以外の時間も仲良くしてもらっています。
手術室に配属された当初は皆に迷惑をかけないようにということばかりを考えていたので、仕事を覚えるまでは辛かったですね。
臨床工学技士さんによるME機器の勉強会などに出席しています。かなり専門的な内容ですので、勉強になっています。
看護師の仕事は本当に遣り甲斐のある仕事で、仕事をした分だけ自分の技術も向上しますし、達成感もあります。先日、手術前訪問で患者さんに手術の内容を説明に伺ったところ、「徹底しているね」とお褒めの言葉をいただきました。その言葉を伺って、私も手術の後まで頑張らないといけないなと強く思いました。そういった患者さんからの言葉を大事にしていきたいですね。枚方市には枚方市民病院がありますが、交野市にはないので、交野病院は市民病院的な存在として頑張っています。救急の患者さんも多いですし、地域に必要な病院の一員として、私も努力していきたいと思っています。