vol.161
ケアーズ訪問看護ステーション 中原
神奈川県川崎市中原区に位置する訪問看護リハビリステーションである。中原区、高津区、を中心に訪問看護やリハビリテーションを行っている。患者さんが安心して療養できるよう、またご家族にも安心してもらえるように24時間体制でサポートしている。居宅支援事業所も併設しているため、ワンストップでの在宅ケアが可能である。
■療養上のお世話
身体の清拭、洗髪、入浴介助、食事や排泄などの介助・サポート・指導を行います。
■医師の指示による医療処置
かかりつけ医の指示に基づく医療処置を行います。
■病状の観察
病気や障害の状態のチェック、血圧・体温・脈拍などのチェックを行います。
■医療機器の管理
在宅酸素、人工呼吸器などの扱いの難しい医療機器の管理を行います。
■ターミナルケア
がん末期や終末期などでも、自宅で過ごせるよう適切なお手伝いをします。
■床ずれ予防・処置
床ずれ防止の工夫や改善や指導を行います。床ずれの手当てをします。
■在宅でのリハビリテーション
拘縮予防や機能の回復のための運動やリハビリ、嚥下機能訓練等などを行います。
■認知症ケア
認知症で発生しやすいさまざまな事故の防止など、認知症介護の相談・工夫をアドバイスいたします。
■ご家族等への介護支援・相談
専門家から見た介護方法の指導やアドバイス、機器管理の方法や取り扱いの説明のほか、さまざまな相談にも対応いたします。
■介護予防
低栄養や運動機能低下を防ぐアドバイスを行います。
今後、介護度が増えてしまわないように、早い段階での訪問看護を利用しアドバイスを受けることが重要です。
優しいスタッフが揃っているのが特徴です。訪問看護ステーションの看護師は限られた時間でケアしないといけないため、利用者さんやご家族に「こうした方がいいよ」というアドバイスや口調が強くなりがちだと言われています。しかし、私どもの看護師は利用者さんやご家族への対応が優しい口調だとケアマネージャーさんたちに評価していただいています。「ケアーズさんだったら、この利用者さんご家族に、気に入ってもらえる」とご紹介されることが多いですね。
この場所に開設して丸3年半が経過したところです。私は訪問看護が未経験でしたが、最初から所長として入職しました。スタッフも病棟勤務だった人が多いですね。開設後、何人か変わりましたが、開設時より増えています。
10人足らずの利用者さんでスタートしましたが、60人ぐらいまで増え、今は40人ぐらいに落ち着いています。
最近まで常勤は私だけという状態でした。今後はさらにスタッフを増やし、利用者さんを獲得していきたいです。また、スタッフ個々の技術向上も課題ですね。
看護師が働ける場所は多彩ですが、圧倒的に多いのが病棟、そしてクリニックを含めた外来です。訪問看護ステーションで働く看護師はまだ数%だと言われています。しかし、訪問看護ステーションでは病棟や外来よりも利用者さんの生活に寄り添った看護を学べます。病院に入院する時は、病状が悪い時がほどんどで、それぞれの医療施設のやり方で病状の安定を図ります。医療者がベストを尽くすという感じですね。でも、訪問看護は看護師がベストを尽くしすぎると、利用者さんは緊張しますし、ご家族も負担が増えてしまいます。利用者さんの個別性を大切にして、住み慣れた家で今までの生活に寄り添えるような療養環境を整えていくことが求められますし、私どもで学べる大きなことだと思います。
利用者さん一人一人の価値観を大事にして、寄り添える方です。また、チームワークができる方に来ていただきたいです。基本的に訪問するときは一人ですが、複数の看護師で関わることもありますし、担当看護師が休みの日には別の看護師が訪問しています。チームで働いている意識を持ち、気持ちと技術を高めていける方が理想ですね。
訪問看護ステーション全体の底上げを図り、規模を大きくしていきたいです。
訪問看護に一歩、足を踏み出すのは勇気がいるかもしれません。訪問看護に対して、様々な先入観のある方もいるかと思います。病院で経験を積んでから訪問看護に転職したいという方もいますが、そこまで病院での経験が必要でない場合もあります。私どもにはビデオ研修などの教育体制が整っていますし、説明会も開催していますので、お声をかけてください。
杉山看護師:病院のように他職種といつも一緒にいるわけではありません。病院に勤務していたときの同期から「先生、いないんでしょう?」と聞かれますが、クリニックの医師とは電話で頻繁に連絡を取り合い、臨時の往診や、追加の指示のお願いなどをしています。また、訪問看護は介護に関わる機会が多いので、ケアマネージャーやヘルパーとの情報共有にも努めています。
杉山看護師:人数が少ないこともあり、アットホームな雰囲気ですね。昼休みは事務所に集まって、一緒に食事をとっています。顔を合わせて、利用者さんの話だけでなく、プライベートなことも相談し合ったり、雑談で盛り上がったりもしています。
こちらの代表がカイロプラティックの治療院を経営していて、私は元々そこの患者だったんです。代表との話の中で私がゆくゆくは訪問看護ステーションで働きたいという話題がよく出ていました。私は看護学校に通っていた頃、在宅看護論の授業を受けていました。その中で数日間ですが、訪問看護ステーションに実習に行ったんです。それ以来、訪問看護に興味があり、いつかは経験してみたいと思っていました。それで、代表に声をかけてもらい、立ち上げのときから参画することになりました。
1日に4、5軒のお宅に伺います。1軒あたり、30分から1時間、長いときは1時間半ほどかけますね。私は車や自転車で回っています。「訪問看護は車の免許が必須でしょう」とよく質問されますが、中原区は道が平坦なので、自転車でも大丈夫なんです。体温や血圧を測ったあとの業務はそれぞれの利用者さんごとに異なります。褥瘡の処置やお風呂の介助などですね。在宅酸素の利用者さんのお風呂の介助を看護師が行うと、身体を看ながらできますので、ご家族に喜ばれています。
病院よりも利用者さんに寄り添える時間が長く、密に話すことができます。利用者さんと良い関係性を築くと、その方の人生に深く関わっている実感が持てますね。責任は重いですが、面白味のある仕事です。
利用者さんが好きだった歌、生きてきた中で大事になさっていること、戦争体験などの辛かったこと、病気の受け止め方など、その方ごとのヒストリーを伺いながら関わっていけることです。
最初は先輩看護師に同行します。経験がある人もいれば、ない人もいますし、仕事を身につけるスピードもそれぞれ違いますので、同行回数は一律ではなく、平均4、5回といったところでしょうか。同行では訪問看護の内容やどういう順番でするのかなどを確認してもらいます。1回目は見学だけで、2回目からは「こことここはしてね」という形で、徐々にメインとして独り立ちできるようにしていきます。
ブランクが長かった人には新しい看護技術を教えますし、病院と在宅では異なる看護技術も研修します。ケアーズ全体のサポート会社がありますので、ビデオ研修のほか、集合研修もあります。
一般的な福利厚生は整っています。
訪問看護にも特定行為研修制度や認定看護師などの制度が増えてきました。常勤看護師が増えるなど、私どもの状況が落ち着いてきたら、訪問看護師としてステップアップできる勉強を始めていきたいと考えています。
大変なこともありますが、遣り甲斐のある仕事です。移動が前提ですので、体力は必要ですね。私は若いうちに始めて良かったです(笑)。「緊急の電話対応が大変でしょう」と聞かれますが、心配いりませんよ。日中の定期訪問時にご家族に「こういうときはこうするといいですよ」と指導したり、デイサービスのスタッフやヘルパー、ケアマネージャーに先回りして伝えておくと大丈夫です。最近はステーション全体の技術力が上がってきているので、ターミナルの利用者さんを除けば電話はないですね。
子育てが落ち着いた方、結婚する前の方にお勧めですが、子育て世代も多く働いています。私どもでは「お互い様」と協力し、支え合って、勤務日や勤務時間を調整しています。病院勤務だとずっと病院にいなければいけませんが、訪問看護は中抜けして授業参観に行くこともできるんですよ。
川崎市には市の看護協会もあり、訪問看護に関する研修を積極的に行っています。私どものサポート会社でも未経験者向けの企画をしていますし、説明会に是非お越しください。将来は病院から在宅へとシフトしていきます。訪問看護は重要な役割になっていきますので、世の中の動きのさきがけとなる看護師が増えたらいいなと思っています。恐れずに飛び込んできてください。