vol.147
特別養護老人ホーム 四季の里
JR常磐線の柏駅からバスで10分の場所に1999年に開設された特別養護老人ホームである。四季の里の運営母体である社会福祉法人真和会は葵会グループに属している法人で、1997年に設立された。「特別養護老人ホーム 四季の里」は介護老人福祉施設に150人、短期入所生活介護に18人の定員となっている。デイサービスセンター四季の里、ヘルパーステーション四季の里、ケアハウス四季の里、四季の里指定居宅介護支援事業所、なごやかデイサービス四季の里を併設している。また、医療法人社団葵会の介護老人保健施設である「葵の園・柏」とも連携を行っている。
東葛地区の中では規模も大きく、歴史もある施設です。社会福祉法人ですから、地域の皆さんの困ったときの「駆け込み寺」的な存在でありたいと思っています。地元の方を重視したサービスを行っています。柏市役所に近いこともあり、認知症の方を保護するなど、行政機関からのご依頼もありますね。
介護保険のない時代に開設しましたので、施設への認知がまだ足りなくて、「養老院」だと言われることもありました。この辺りは古くからの土地で、同じ名字の方が多いのですが、私どもは屋号を覚えて、屋号でお呼びするなどして、地元に馴染み、信頼を得る努力をしてきました。今は「じゃ、四季の里に行こうか」と言われるぐらい、地元に溶け込んでいます。
開設当初は特養50人、ケアハウス50人という規模で、当時の一般的な規模でした。ところが、介護保険が始まってからは特養で70人という規模が当たり前になってきたので、私どもでは2012年に100人にまで増築したんです。施設を継続していくうえで、色々な改革を行ってきましたが、地元に根づく施設でありたいという願いは一貫していますね。
職員には「社会福祉法人の職員たれ」と話しています。ただの看護師、介護士としてサービスするのではなく、そこに困っている人がいれば手を差し伸べ、その人が必要なものを理解して接してほしいと思っています。
職員教育や研修の機会を増やしたいです。外の世界を見ることができれば、自分の仕事を客観的に見つめ直せます。そういった機会に参加する時間を作れるだけの人員確保が課題ですね。
一言で言えば高齢者福祉の内容です。医療従事者はどうしても「治す」ことを優先させがちになりますが、施設では「見守る」ことが大事です。見守る中でどのようにアプローチし、どう関わるのかといった実践が求められることが病院との大きな違いなんですね。見守るタイミング、受診していただくタイミングも学べるはずです。病院には医師、看護師、看護助手といった序列がありますが、私どものような施設では序列はありません。看護師は技術職ですが、サービス業の従事者なんです。利用者の方がいらして、サービスに対しての対価をいただいていますので、そこを理解してほしいですね。
看護師でも、介護士でも、同じ匂いのする方にいらしていただきたいです。面接ではそれまでの経歴についてなど、私と30分ぐらいお話をしますが、同じ匂いの方は分かるんです(笑)。私もこの施設のほか、病院や老健でも働いてきましたので、多くの看護師さんと接してきました。施設では医療行為は少ないですが、サービス業にふさわしい態度や物腰を求められます。キャリアがあっても、人間性が備わっていないといけません。利用者の方に迷惑をかけない方、利用者の方を蔑ろにするような行動をとらない方に来ていただきたいです。
職員がずっと仕事を続けていける職場作りを行っていきます。今、入居していらっしゃる方の8割の方がご自宅で過ごすべきところを、あえて私どもを選んでくださっているので、ご負担にならないような住まいを提供していきたいですね。現在は看取りをしていないのですが、厚生労働省の指針にもありますし、私どもでもいずれは行うべく、職員の理解を得ながら、医師と看護師の体制を構築中です。
私もできることなら早く仕事をリタイアしたいですよ(笑)。でも、職場に来て、いつものメンバーと仕事するのが楽しいんです。そして、そんな場所だと皆に感じてもらえる職場にしていきたいんです。軋轢、いざこざ、わだかまりの芽は早めに摘んでいきますし、稼働率や売り上げを現場に求めることはせず、グループ内で及第点を取れる施設であるよう、私も努力します。こんな場所で働きたいと思ってくださる看護師の方、まずは見学にいらしてください。
宮地看護師:看護師が上だということなく、看護師はサポートする立場だという認識をしっかり広めています。看護師は医療用語をつい言ってしまいがちになりますが、それを介護スタッフが「それ、何」と気軽に尋ねられるような関係になっています。プライベートでも仲良しですよ。仕事中でもちょっとした変化に気づいて、「髪の毛、切ったんだね」などと話したりしています。
宮地看護師:職員の年齢層は20代から60代までと幅広いですが、和気あいあいで明るい職場です。介護スタッフとは休憩時間が異なるのですが、すれ違うときに声をかけ合ったりしています。
新卒で入職したのは精神科の単科病院でした。それから結婚、出産で、7年のブランクがあったんです。子どもも大きくなりましたし、自宅も引っ越しをしたので、自宅の近くで仕事先を探したのがきっかけです。施設長に面接していただいたのですが、人当たりの良い方で、「こういう方の下で働けるのはいいなあ」と思いました。入職後7年経ちましたが、施設長の印象は変わらないですね(笑)。
普通の日は8時半から17時半まで、遅出の日は10時から19時までの勤務です。リーダー制をとっており、メンバーをフロアごとに分けています。3階建ての建物ですので、それぞれ1、2人のメンバーがフロアに配置されます。私はリーダーを務める日が多いのですが、リーダーの日はまず他職種との朝礼に出て、次がユニットごとの朝礼です。そこで1日の受診の流れを確認します。冬場はインフルエンザなどの感染症対策についての注意や伝達もありますね。そして1階から3階までをラウンドし、体調不良の方がいらしたら、メンバーの看護師に受診の指示を出します。午後もラウンド中心ですね。急変があればその対応もしますし、処置もします。受診のお手伝いもありますね。最後に夜勤者に申し送りをして、退勤します。
入居者の方が健康でいてくださること、体調を崩されても笑顔を見せてくださることが遣り甲斐ですね。「頑張ってるね」、「ありがとう」という言葉をいただくと、この仕事をやっていて良かったと思えます。また、多くの職員の中で仕事をしていますので、助け合ってフォローし合えたり、チームワークを感じるときも嬉しいです。
福祉施設は病院とは違います。病院は医師がいて、看護師がいて、介護スタッフがいるという指示の流れがありますが、福祉施設では介護スタッフがメインになりますので、介護スタッフを手助けしつつ、介護スタッフが仕事をしやすいよう、医療職としてのフォローを行います。そういった仕事の仕方は勉強になりますね。また、高齢者への関わり、訪問診療の医師との関わり、入居者の方と医師の間にどう入るかということなども学んでいます。
福祉施設に慣れていない新人が大半です。面接のときに施設長から「福祉施設は病院とは違う。病院目線にならないように」というお話もあるのですが、現場に入ってみて改めて直面することがあるので、そこに気をつけてフォローしています。皆、看護師としての経験はありますので、技術指導などはほとんどないですね。
シフト作りは現場に任せていただいています。希望休はほぼ100%、有給休暇取得率も高いです。子どもが小さいスタッフが多いので、そういうスタッフが働きやすいように、皆で助け合っています。定期的に食事会もありますし、料理好きなスタッフの自宅に集まって、ホームパーティーをしたりしています。
朝、職場に来ることを嫌だとは思わない、よし頑張るぞと思いながら出勤ができる職場環境を作っていきたいです。職員の和を大切に、介護技術、看護技術を高めていける環境も整備し、それを継続できればと思っています。
和を大事に、仕事をしやすい環境を整えている施設です。子どもさんが小さい方、ブランクがある方、どんな心配がある方でも安心していらしてくださいね。