vol.146
公益財団法人唐澤記念会 大阪脳神経外科病院
公益財団法人唐澤記念会 大阪脳神経外科病院は、脳神経にまつわる様々な疾患の専門病院として、1985年に大阪北脳神経外科病院として開設し、翌1986年に創設者の唐澤淳前理事長の寄附行為により財団法人大阪脳神経外科病院として認可されました。2013年4月には明治以来110年ぶりの公益法人制度改革に伴い、公益財団法人唐澤記念会 大阪脳神経外科病院として時代の社会ニーズの変化に応え、以下の4つの事業により改めて移行認定されました。
”神経系疾患の診療と研究”
”専門病院としての使命は、高度に専門化し、
専門医を多く集め、研究活力を維持することである”
平成24年(2012年)人口動態調査結果では、脳血管疾患による死亡数は前年より微減の121,602人(前年対比▲2,265人)で推移しています。脳卒中の患者数は現在約150万人といわれ、寝たきりになる原因の3割近くを占めており、2020年には300万人を超すと推定されています。今後、日本の高齢化による問題は2025年以降も厳しさを増し、要支援・要介護者の出現頻度が高くなる75歳以上の高齢者の絶対数は、すべての推計で2053年に最高に達すると2013年8月の社会保障制度改革国民会議で報告されています。その一方で近年の救急医療を取り巻く環境はますます厳しくなっています。時間外救急患者の増加は、この10年間で1.5倍になっているにもかかわらず、大阪府の二次救急医療機関は2004年287病院から2008年248病院へ減少しています。医師看護師不足、救急部門の非採算性という診療報酬体系が大きな障壁となって救急医療供給の減少傾向が止まりません。
脳障害の発生後、神経機能が回復し社会復帰できるかどうかは、いかに早期に確実な治療を開始するかどうかにかかっています。当院では2007年脳血管内治療センターを開設し、脳血管障害急性期診療の専門性を高めるとともに、専門医療職(看護師・薬剤師・理学療法士・言語聴覚士・放射線技師・臨床検査技師・臨床工学技士・歯科衛生士・社会福祉士・事務職員)と密接な連携を保ち、ICT(感染管理)、NST(栄養管理)、R17(入退院管理)など専門医療チームを活用することにより24時間365日の脳卒中急性期診療体制を維持しています。 脳血管内治療とは、細いカテーテルを使って血管内部から脳の病気を治す新しい治療法です。脳動脈瘤や脳梗塞の原因となる脳血管・頸動脈狭窄症に対して有効な治療法です。脳梗塞の急性期治療として、わが国では2005年以降rt-PAの静注法による血栓溶解療法が徐々に普及してきましたが、わずか適応症例の5%にしか施行されていません。また、その効果も限定的です。rt-PAの静注法がほとんど無効な内頚動脈閉塞などの主幹動脈閉塞に対しては、Penumbara®など血栓回収デバイスを使って血栓除去を行うことによって良好な治療結果が得られています。
さらに、当院では脳腫瘍治療においても疾患の病態に応じて従来の顕微鏡的摘出術のみならず、神経内視鏡およびナビゲーションシステムを応用した低侵襲で精度の高い手術を目指しています。 また、2013年から脊椎疾患の専門診療も再開しています。
2007年私が院長に就任した当時の医師数は、大阪大学脳神経外科からの派遣で非常勤を含めて17人でしたが、2016年現在25人になりました。当院創設者である前理事長 唐澤 淳先生のスピリッツを継承し、専門医を多く集め研究活力を維持することならびに神経系疾患診療の最前線で地域医療に貢献していくことが職員全員の目標であると確信しています。
脳神経外科疾患の専門病院として患者様に信頼される看護を提供します。
脳神経外科の専門病院として、脳神経外科看護を1から学べるように勉強会を計画しています。未経験者には、神経症状から脳神経外科の代表的疾患・検査等の勉強会を1年間に7講義/クールを3回実施しています。(中途採用者にも適応します)
新卒は、ガイドラインに基づいた新人看護職員研修を1年を通して行っています。プリセプター制度もあります。他施設合同研修・院外研修にも積極的に参加しています。
新卒・既卒・中途採用等各対象者に合わせた研修のコースがあります。院外研修も積極的に取り入れています。研修費は、全額病院負担もあります。認定看護師支援制度もあります。
現在のところ、病院として特別な復職支援は行っていません。
これまで脳卒中リハビリテーション看護分野で2人の認定看護師が誕生し、現在は1人が在籍しています。
一人ずつに丁寧な指導をすることですね。
准看護師の方は正看護師資格を取られることをお勧めします。教育システムが違いますと、学べることや視点も全く変わってきます。私自身は親から言われて看護師になったという状況で、自分で希望したわけではありません。でも、看護学校に通った3年間で、看護師としての考え方や姿勢が培われましたね。卒業した時点で看護師としての職業人生が始まりましたが、看護師の仕事の良さは仕事をした分だけ、患者さんや社会に貢献できることにあります。企業の仕事は自分がしたことの成果はまずは企業の利益になりますが、やはり医療関係はお金というだけではなく、人のためになりますので、やりがいのある仕事なのだと思います。
今年度は院外の方に向けた教育セミナーや健康教室を外来部門で考えて、実行していきたいと計画しています。全国の看護師が5月の「看護の日」に様々な活動をしていますが、当院でもその時期に入院や外来の患者さんやご家族を含めた形で、そういった教室ができればいいなと思っていますし、発信もしていきたいです。
現在、時間外での勉強会が多いので、時間内に実施したいですね。いかに参加しやすい状況にするかということを検討中です。昨年夏に7:1看護基準を取得しましたので、人材も確保しましたが、有給消化率がまだ低い状況です。看護師のプライベート充実のためにも有給消化率を向上させたいです。夏季休暇期間のみならず、秋や冬にも夏季休暇のような1週間、2週間程度の長期休暇を取ることができればと思っています。
母が「女性の仕事は看護師」だと思っていて、私が小学生、中学生の頃から「あなたは看護師ね」と言っていました。母は自分が仕事を持っておらず、自立できなかったので、自立できる仕事をということで勧めてくれたのでしょう。私は看護学校に行くことを拒否していましたが、最終的に母の言うことに従いました。そのときは看護師の資格を取ったら辞めようと思っていましたが、今も続けています(笑)。
私は独身ですし、看護師を職業として続けていますが、辞めたいと思ったときや違う仕事をしたいと考えたこともあります。しかし、看護師ほど遣り甲斐のある仕事はなかなかないですね。専門職としての技術を活用できたことが続けてこられた理由でしょうか。続けるうちに主任や師長といった役職がついてきます。私自身は役職に就きたいと思ったことはありませんが、続けていく中で次々に課題が出てくるんですね。それをこなしていくうちに、今の状況になりました。皆さんも目の前に来たものを嫌だと拒否するのではなく、自分に与えられたことだと認識して、その課題を消化していけば、自然にステップアップできるはずです。それが嫌だから辞めるというのはもったいないですよ。
患者さんを中心とした看護ですね。患者さんのために何ができるのか、患者さんはどう感じているのかと常に考えることができる人でないといけないと思っています。看護師は忙しいですので、自分の仕事を優先させがちですが、そこで患者さんが自分の家族だったらとか、自分がされたらどうだろうということを考えて行動しないといけないですね。
脳神経外科の急性期病院です。脳卒中、脊椎も含めた救急、頭部外傷、意識障害全般を受け入れています。急性期の脳卒中は緊急治療が必要ですので、緊急手術や血管内治療も多いですね。脳神経外科の患者さんしか来院されませんので、スタッフの受け入れもスムーズですし、短時間での治療が行える施設です。救急に来られた患者さんにすぐに血管内治療や緊急手術を行えます。そういう患者さんの術後の看護や急性期の脳神経外科看護をしたいという方にはとても勉強になりますよ。
広さを確保した寮があります。また、互助会があり、その活動の中で色々なイベントを行っています。看護師には育児補助がありますし、休暇も多い方ですね。4週8休で祝日もお休みで、夏休みもあります。12月30日から1月3日、5月の連休に関しては特別手当があります。エクシブの施設も使えますよ。
第一は脳神経外科看護に興味があって、専門的な看護を身につけたい人です。そこがないと、頑張れないでしょう。技術力がなくても大丈夫ですが、色々なことを素直に受け入れ、行動できる方がいいですね。患者さんに対しての思いやりも大切です。
今の状況に不満もあるかもしれませんが、そればかりを見るのではなく、自分の課題を見つけ、改善していきましょう。皆で協力して働く中で遣り甲斐も出てきます。ここだからできない、こんなところだから楽しくないなど、周りの環境に左右されず、自分に与えられている仕事や自分にできる仕事は何かを考え、より良くしていってほしいです。一生懸命やれば、楽しみや遣り甲斐も見つけられるはずです。環境を変えていけるのは自分の考え方かもしれませんね。
伹田:ハローワークからの紹介です。もともと外科系の疾患に興味があったのですが、脳神経外科には学生の頃は苦手意識があったんです。それでもチャレンジして、最先端医療を実施している病院で働いてみようと思いました。当院をいい病院だと取り上げていた雑誌を見たこともありましたし、ハローワークの職員の方から「人間関係もいい病院ですよ」と伺ったことも大きかったですね。
伹田:部長さんが優しい方で、親身になって悩みや脳神経外科に対する不安などを聞いてもらったんです。大阪には少し怖いイメージがありましたが、部長さんは優しいですし、病院の雰囲気も柔らかかったです。若いスタッフが多く、いきいきしている現場だなという印象を受けました。
伹田:活気があるところ、忙しい現場であることはイメージ通りですね。ただ、忙しさには波があります。脳神経外科のことを知るにつれて、脳神経外科だけでなく、ほかの疾患についても学び、総合的に患者さんを評価しないと脳神経外科看護ができないことが分かってきましたので、深いなと思っています。また、コメディカルスタッフを含め、スタッフ全体の仲の良さは入職以来、ずっと変わらないですね。
伹田:入職して8年が経っていますので、リーダー業務が中心です。情報収集して申し送りを行い、各部署の医師や医療相談員などとの連絡や調整をしています。ご家族への対応や新人の指導、実習指導といった業務もあります。それから委員会ですね。看護の内容自体は一般の病院と変わりません。
伹田:患者さんは脳血管障害があったり、意識がなかった方だったり、麻痺がある方が中心です。そういう患者さんが突然、開眼されたり、指が少し動くようになって、それをご本人が喜んでいらっしゃると嬉しいですね。そういう反応を一番、間近で見ることができるのが脳神経外科の魅力だと思います。
伹田:病院全体でコミュニケーションが取れていますので、各病棟での雰囲気もかなりいいですね。コミュニケーションを密に取っていますし、病院全体での連絡調整で退院の予定なども決めていますので、医師も含めて協力し合っています。
伹田:プレイナーシングの勉強会のコースに入って、1年かけて疾患の勉強を深めていきました。教科書だけではイメージがつかないところもあったので、リアルな話も聞けて、とても勉強になりましたね。
伹田:新卒者や脳神経外科の経験がないスタッフのために病院としてプリセプター制度を導入しています。相談しやすい環境を作りつつ、プリセプター同士での情報交換もして、どんなふうに新人を育てていくべきか、常に評価し合っています。これを継続しながら、技術に関してはチェックリストがありますので、不安な技術をフォローしています。新人の不安が強い間、特に1年間はマンツーマンでの指導を行い、安心できるように、そして脳神経外科は楽しいと思ってもらえるような指導を心がけています。
伹田:現場の師長が回数や仕上がり具合の調整をしていますので、特別な研修はありません。指導役の看護師が1人ついて、一緒に流れを確認します。吸引などの基礎技術ができるようになった時点で夜勤に入りますので、不安なくできているようですね。
伹田:単科の病院ですので、専門知識をつけることができました。さらに、患者さんのバックボーンに関して、総合的に評価しなければならないことが勉強になっています。これができると、患者さんが望む退院後の生活を少しずつイメージし、それに近づけていけるような看護の展開に繋がります。また、高次機能障害や失認失行などの神経症状のある患者さんには十分に目を行き届かせ、様々な気づきをしないと、患者さんに寄り添った看護ができないので、そういったことも勉強になっています。
伹田:近くに寮がありますので、独身の人は利用しやすいようです。住宅手当や交通手当などの面も恵まれていますし、病院の負担で研修に行けるのも有り難いですね。
伹田:教育する立場ですので、スタッフの育成が中心になってきますね。脳神経外科看護の楽しさを知っているスタッフを育成していきたいです。看護を技術だと考えてほしくないですし、看護には看護師の人間性も重要ですので、何が看護かという看護観をしっかり持ったスタッフが多い病院になればと思っています。
伹田:脳神経外科は難しいとか、イメージが湧きづらいといった先入観があるようです。確かに体力的にはハードなのかもしれませんが、当院にはそれをサポートしてくれる環境が整っています。これは大きな利点ですから、安心して来てほしいです。看護師という仕事は資格がないとできないし、教科書に書いてあることだけが看護でもありませんが、看護師は尊い仕事です。看護学校に足を踏み入れたなら、最後まで頑張って資格を取って、自分の中の可能性を引き出してもらいたいです。それを現場に反映させて、患者さんやご家族に喜んでいただきたいですね。中途の方も看護師を目指したときの志を少しずつ思い出して、現場に向けていただけたら嬉しいです。