vol.134
医療法人 沖縄徳洲会 湘南厚木病院
湘南厚木病院は2005年9月に新設された許可病床253床の中規模病院です。24時間オープン、救急を断らないという方針のもと、地域医療に貢献してまいりました。2007年9月に臨床研修指定病院に認定され、3年後には日本病院機能評機構の認定を受けました。
2015年3月末までに初期研修医9人、後期研修医1人が卒業しました。また、研修の質を評価していただくためにNPO法人卒後臨床研修評価機構(JCEP)の認定を受けています。
当院は救急医療を柱に、高度先進医療から高齢者医療まで、地域医療のニーズに応えるべく、日々発展できるように努力しています。特に、救急を断らない急性期医療、少子高齢社会における魅力的な医療サービスの提供、がんの早期発見、早期治療から終末期ケアまでの一貫した治療の3つの柱を掲げ、地域の皆様が安心して最善の治療が受けられる病院を目指しています。
日本は2025年には後期高齢者が2200万人に達し、4人に1人が後期高齢者の超高齢化社会が到来します。今後、ますます問題となる高齢者医療に対しても地域包括医療制度を積極的に導入していきます。
まだ開院して10年足らずの病院ではありますが、近隣の医療機関とより一層の連携を図り、地域医療に貢献できるように邁進する所存です。今後も宜しくお願い申し上げます。
院長 黒木 則光
生命を安心して預けられる病院 健康と生活を守る病院 いつでもどこでもだれもが安心して最善の医療を受けられる地域社会を目指しています。
湘南厚木病院は2005年9月に新設された病院で、内科、循環器内科、消化器内科、腎臓内科、神経内科、外科、呼吸器外科、消化器外科、乳腺外科、気管食道外科、肛門外科、整形外科、脳神経外科、形成外科、腫瘍外科、小児科、皮膚科、産婦人科、リハビリテーション科、放射線科、病理診断科、麻酔科を標榜し、病床数は253床の中規模病院である。24時間オープン、救急を断らないという方針のもとで地域医療に貢献している。また、がんの早期発見、早期治療から終末期ケアまでの一貫した治療にも定評がある。
患者さま中心の質の高い看護を提供します。 常に患者さまの立場で考え、行動できる看護を目指します。
当院は新しい病院ですので、実習に来た看護学生がそのまま就職するという流れがなく、既卒者中心の採用を行っていました。しかし、2015年に当院にもともとあったラダーシステムを整備し直し、新しい体制での教育を開始しました。現在、新卒3年目までの看護師がこのシステムに乗り、研修を行っています。ラダーシステムに乗せた方が成長の過程がよく分かりますね。それぞれのキャリアの看護師に対し、必要なことや足りないことをチェックしながら進めています。
3年目でリーダーシップレベルに到達させ、プリセプターとして1年目の看護師を指導できるようにしています。そして、5年目でジェネラリスト、専門分野の看護を究めたり、管理分野に精通して看護チームを支えるエキスパートといったコースに分かれることが特徴です。
最初は集合研修で、病棟で役立ちそうな内容を教えます。全てを網羅してしまうと、病棟での業務に必要ないことも出てきますので、あくまでも病棟で必要な内容になるように工夫しています。グループワークが中心で、何が不安なのかをとにかく出してもらい、その不安への対策を考えています。
病棟に配属後は月に2回の集合研修を1日かけて行っています。一度に全てを教え込むのではなく、小出しにした方が習得しやすいようですね。
3年目からはプリセプターをするので、プリセプター研修も行います。開院以来、しばらくは「他院育ち」のプリセプターでしたが、今は当院で新人研修やプリセプター研修を受けたプリセプターになっています。
月に1回、各科の医師を講師にした勉強会を行っています。教育委員会がテーマを決めて行う勉強会もありますね。また、看護協会主催や徳洲会主催の研修会に行った看護師がパワーポイントを使って、研修での成果を発表する「伝達講習」も行っています。皆の前で発表するのはいい経験になっているようです。
まずは来院していただき、事前に不安に思っていることや知っておきたいことを伺っています。そのうえで、どういうスタッフが関わっていくといいのかを考え、担当を決めます。入職後は病棟での見学から始めます。10年のブランクが空いた人もいましたし、注射や点滴といった技術に不安のある人もいましたが、教育体制が整っているので、心配なく働いていますよ。
がん性疼痛看護認定看護師が1人いたのですが、このほど感染管理認定看護師も1人誕生しました。これに影響されて、認定看護師を目指したいスタッフが増えてくれることを願っています(笑)。皮膚・排泄ケアで目指したいスタッフは何人かいますので、支援したいですね。当院は認定看護師の取得に関わる費用は全て病院負担となっています。
感染管理認定看護師は日頃は病棟にいますが、院内PHSで常に連絡が取れるようになっていますので、対応が早いです。感染管理委員会の活動も活発になりましたし、外から入ってきたニュースを当院でどう展開していくのかというマニュアル策定でも相談しやすくなりました。認定看護師の一言は説得力がありますね(笑)。
同じやり方でやってみて、伝わらないようでしたら、分かってもらえるように、こちらのやり方を変えていこうと思っています。そのためにはやり方のバリエーションが必要ですね。どこかで伝わると信じて、粘り強く接しています。
提携している看護学校の学生や就職支援セミナーなどで申し込んでくださった看護学生を対象に1日単位でのインターンシップを行っています。それぞれの興味ある部署を選べるんですよ。外傷センターでしたら、入院、オペ出し、術後管理までを見ることができます。参加者からは「手術の現場まで見られるとは思わなかった。勉強になった」と好評をいただいています。
現在はまだ3年目の看護師までしかラダーシステムが展開されていないので、今後は他病院の良いところを取り入れつつ、当院独自の教育を行っていきたいと考えています。ジェネラリストももちろん必要ですが、何かに特化したエキスパートも必要ですので、エキスパート養成に力を入れていきます。そういう環境になれば認定看護師も誕生しやすいですし、それぞれの希望を聞きながら、いい教育を行っていきたいです。
伯母が看護師でしたし、入院した祖母のお見舞いに行ったときに看護師さんの姿を見て、こういう仕事があるんだなあとは思っていました。母は主婦で、パートでの仕事をしていた程度でしたので、私は自立できる仕事がしたかったんですね。高校に入学すると、周りの友人たちの中には大学か看護学校かで迷っている人が多く、私も看護学校が選択肢の一つになりました。最終的には人のお世話をする仕事に憧れ、看護師を目指すことにしました。
人と人との関わり合いに魅力を感じたからです。患者さんから苦情をいただいたりすることもありましたが、退院できるまでの結果が繋がったり、継続して外来に来ていただいたりすると充実感がありました。
管理職になってからは患者さんとの関わりが減ることに悩みや寂しさもありましたが、引き受けたからには私のやりたい看護を後進に伝えていきたいと思うようになりました。それによって、病院が良くなれば理想です。人材を育成し、看護の質を向上させるのは喜びですね。また、患者さんからのお声やお電話、投書、アンケートなども、「利用していただいているんだな」という励みになっています。
「看護師である前に人間であれ」ということですね。患者さんであれ、スタッフであれ、人に対して真摯に対応していきたいものです。患者さんを一人の先輩と思いながら話を伺い、心を通わせ、いい方向性を引き出せるように努めています。徳洲会では「心に届く看護を」と掲げていますが、本当にその通りですね。知識や技術の習得は当然ですが、それだけでは患者さんの心に届かないものです。
徳洲会の病院ですから、「いのちだけは平等だ」の理念のもとで患者さんを断らない医療を24時間体制で行っています。患者さんの状況を常に把握し、「治療が必要ないから、すぐにお帰しする」のではなく、必要であれば入院もしていただいています。
院長が外科医ということもあり、外科系の患者さんが多いのも特徴です。整形外科の外傷センターは地域にあまりないこともあって、四肢切断などの患者さんに対し、24時間体制で手術可能です。最近では地域の救急隊にも認知が広まってきたため、静岡県は裾野市からの患者さんがいらしたこともありますね。
産婦人科も24床を持ち、地域医療を担っています。当院はフリースタイル分娩が特徴で、ほとんどの方が畳の上での分娩を選択されています。ご家族が立ち会われ、新しい命の誕生を喜び合えるのがいいですね。今後は産婦人科もさらにアピールしていきたいです。
主に新卒者を対象にした寮があります。病院から徒歩10分の場所です。オートロック付きのマンションタイプで、とても綺麗な寮ですよ。やはり住むところは大事ですね。見学に来た人からは「あの寮に住めるんですか」と聞かれますし、新卒の社会人が住むにしてはリッチな雰囲気です(笑)。
奨学金制度も整備しています。看護学校が3年制か4年制かによって異なりますが、徳洲会で統一している制度で、利用者は多いですね。今年も新卒者のうちの8人が奨学金制度を利用しています。
また、上限がありますが、本人と家族が当院にかかった場合は医療費を補助しています。
看護部は現在、看護師と看護助手を合わせると150人の組織です。2016年春には休床している病棟を開き、外傷センターを移動させます。現在の外傷センターの場所は一般病棟として使う予定です。当院は厚木市立病院と東名厚木病院に挟まれた立地にありますが、必要としている患者さんにできるだけ利用していただくため、いつでも入院できる体制を整備していきたいです。患者さんからは「明るい病院だ」とよく言われますし、さらに地域密着の姿勢を打ち出していきます。訪問看護や在宅診療の看護師を増やすことも課題ですね。
教育体制や組織づくりは途上にあります。職員が安心して働ける環境にしていきたいですね。現在、院内保育所は週3日が24時間体制なのですが、週5日に拡大すべく、保育士さんの増員を検討しています。職員がハッピーであれば、患者さんもハッピーになると信じています。
まずは正直な人ですね。そして、笑顔でいてほしいですし、しっかりした目標を持って頑張れる人とともに働きたいです。
看護学校の実習では1対1で患者さんを看ますが、看護師になってからはチームで仕事をしていくことになります。その意味で、コミュニケーションは大事です。先輩だからと言って恐れることなく、自分の意見をしっかり言えるようになっていただきたいですね。皆、性格が違うわけですから、向いている病院も違います。大学病院、救急病院、患者さんとじっくり関わる病院など、様々な病院がありますから、インターンシップに積極的に参加し、自分に合う病院を探してください。頑張りましょうね。
梅津:新卒で東海大学の病院に勤務したあと、小樽の病院で働いていたのですが、こちらに戻ってくることになりました。それまで循環器に関する部署でしか働いたことがなかったので、循環器に強く、手術が多い病院ということで当院を選びました。入職にあたってはICUを希望し、希望通りに配属していただきました。
梅津:湘南厚木病院は外来棟と病棟の建物を分けているので、病棟の建物がとても静かなんです。あまりにも静かなので、見学に来たときには「本当にやっているのかな」と思いましたね(笑)。でも、今はいい環境だと思っています。
梅津:入職したときにはICUがまだなかったので、イメージ通りというわけではありませんでした。ICUの立ち上げメンバーに加えていただき、全てゼロの状態から作り上げていったんです。スタッフが揃わず、苦労もありましたが、患者さん一人の状態から始めました。その結果、何とかスムーズに立ち上げることができ、達成感を得ましたね。
梅津:現在は外傷センターに勤務しています。外傷センターには手術が必要な整形外科の患者さんが来られます。指を落としたり、トラックに足を轢かれて挫滅しているような患者さんが救急外来に運ばれてきますので、患者さんを受け入れ、オペ出しをして、術後の管理や傷の処置、リハビリを行うのが主な仕事です。
梅津:管理職ですので、病棟を安全に保てているときに遣り甲斐を感じます。また、患者さんが笑顔で退院されるときは、「大変だったけど、やっていて良かったな」と思いますね。外傷センターですから、入院されたときは介助が必要だった患者さんが歩いて帰られるところを見られると嬉しいです。
梅津:医師3人、看護師14人、看護助手3人の職場ですが、医師ともコミュニケーションが取れていて、活発な雰囲気です。
梅津:私の場合は既卒でしたので、入職当日に病院の仕組みや電子カルテの使い方を教わったぐらいです。次の日からは病棟に行き、必要なことを覚えていきました。
梅津:今年は3人の新卒者が配属されました。それぞれにプリセプターがつき、1対1で研修します。1週間の目標を立て、その達成度を踏まえて、次の1週間の目標を立てていきます。その際、ほかのスタッフにも「○さんの今週の目標はこうです」と伝えて、スタッフ間で共有するように努めています。8月から夜勤を経験させ、独り立ちさせることを目指し、それまでに教え込んでいけるようなスケジュールになっています。
梅津:既卒者は経験や力量の違いを踏まえて、研修内容を決めています。新卒者は5月、6月は「お試し夜勤」で、患者さんの半分を受け持ち、残りの半分を先輩看護師が担当します。7月は全てを担当しますが、必ず先輩看護師が一人つくようになっています。8月は独り立ちです。ただ、最初は心配なので、土曜日や日曜日といった比較的、負担の軽い日を選んでいます。新卒者は初めての夜勤に緊張していたようでしたが、「実際にやってみた方が分かった」と言っていました。
梅津:東海大学病院時代から管理業務を始めてはいましたが、当院では最初から管理業務を担当していますので、人の動かし方やコスト面などのマネジメント業務は勉強になっています。
梅津:有給消化率は高いですね。最近、新しい寮が完成し、新人職員はほとんど入居しています。当院は九州、沖縄、青森など、遠方からの入職者が多いんですよ。皆、暮らしやすいと言っていますね。院内保育所もあり、私も利用しています。月、水、金曜日は24時間体制で、子どもも40人近くいます。保育士さんも増えており、何かあれば連絡をくれますし、私も様子を見に行きやすいので助かっています。
梅津:管理業務は管理業務できちんと行っていきたいのですが、現場の看護師としての仕事も充実させたいです。看護師の業務と管理職の業務は相反することもありますが、両立させることが目標です。職場としてはまたICUで勤務してみたいですね。ICUでの仕事の楽しさは頭をフル回転させて予測を行ったり、予測が外れたときにどう対応するかを考えることにあります。あっという間に時間が経ってしまう、魅力ある職場ですね。
梅津:再就職の方、当院にも既卒者が多く働いています。悩みは人それぞれですが、打ち明けられる環境ですので、一緒に盛り上げていきましょう。新卒者の方、当院も教育の土台ができてきました。当院で働いている先輩看護師を見たら、1年後、2年後のご自分の姿を思い浮かべることができると思います。それぞれに合った研修プログラムを用意しますので、安心していらしてくださいね。