vol.131
特別養護老人ホーム パラダイム港南
ダイトミグループに属する社会福祉法人大富福祉会が経営する特別養護老人ホームである。1999年4月に開所以来、多くの入所者に支えられてきた。横浜市営地下鉄ブルーライン下永谷駅から徒歩8分の横浜市港南区下永谷に位置する。
地下1階、地上4階建ての建物で、1人室18室、2人室3室、3人室9室の計18室を有志、定員は60人となっている。機能回復訓練室でのリハビリテーションにも力を入れているほか、ショートステイの受け入れも行っている。
ショートステイを入れて60床ですから、規模としては小さめの施設です。20床ずつの3フロアに分かれているので、全ての入所者さんのお名前を覚えるのが容易ですね。フロアごとにスタッフの顔ぶれが違いますが、連携をきちんと取っていますので、働きやすい職場環境です。
特徴の一つとして、終末期ケアが挙げられます。訪問診療の医師と早い段階からコミュニケーションを取り、入所者さん、ご家族の要望を伝えたり、医師からは最後に向けての取り組みなどを伺っています。横浜市のゆう在宅クリニックと連携し、夜間のオンコールを含めて24時間体制で管理していますし、医師同士もネットワークを組んで情報を共有しています。
介護保険開始前の1999年に開所しました。開所以来、取り組んできたのが終末期ケアです。特別養護老人ホームですし、終の棲家として行うべきだとの考えがあったんですね。そのため、入所者さんが入所された日からそこに向けてのお話をご家族とさせていただいています。新しく入った看護師はそういったコミュニケーションの取り方を心配しているかと思われますが、きちんと研修しますので、大丈夫です。
高齢化、重病化が進む現状に対し、より積極的に取り組んでいかなくてはいけません。特に医療連携ですね。病院や施設で診ていた方の受け入れ先として選んでいただけるよう、医療面の人員の確保が課題です。看護師が確保できれば、介護スタッフへ喀痰吸引などの指導ができるようになりますから、継続的に募集していきたいと考えています。
終末期ケアのほか、特養ならではの高齢者との関わりを通して学べることは多いです。私どもの入所者さんの平均年齢は80代から90代で、中には100歳を超えている方もいらっしゃいます。高齢者看護に携われることは医療面はもちろんですが、人間的な意味でも学べますね。ケアワーカーが主導ではありますが、高齢者の活動性を向上させることを目指して、お一人お一人に向き合ってほしいです。「何かあったら救急車」ではなく、入所者さんに「慌てなくて大丈夫だから」と安心の日々を提供できるよう、スタッフ一同で頑張っています。
高度なことよりも当たり前の看護をきちんとできる方を求めています。そして、介護スタッフ、介護相談員、栄養士と協力し合える方がいいですね。大きな組織ですと「看護職はこうなんです」と言えるのかもしれませんが、私どもの規模でしたら他職種と歩み寄らないといけません。看護師としての基本がしっかりできたうえで、ぶれない部分を保ちながらも、他職種との積極的な連携ができる方が理想です。
人手不足が悩みではありますが、基本的なスタンスは今後も変わりません。人材育成を行いつつ、質を高める努力をしていきます。医療や介護に携わる人は人を育てていく義務があると思っています。新人に「まだ無理よ」と言うことなく、オープンに向き合って教え、お互いが目指すものを磨いていきたいですね。それが社会全体に広がっていければと願っています。
私どもは間もなく開所17年目を迎えます。大きな時代の波を乗り越えた気がしていますが、長く働いていたスタッフの定年退職や寿退職などがあったので、看護職も介護職も募集しています。これを機に、法人として新たに施設を作り上げていきます。今後はケアワーカーを中心に、特養であるパラダイム港南とグループホームのソフィアライフとの協力関係を強めていきます。より地域に開いた存在になるように頑張っていきますので、お力を貸していただけたら、嬉しいです。
増村看護師:食事委員会、排泄委員会、入浴委員会、褥瘡委員会、安全介護委員会、感染症委員会など、看護師が関わっている委員会活動が多くあります。介護職のみのレクリエーション委員会もありますし、月に1回ずつ、それぞれの委員会を開いていますので、そういった場で活発に意見を交換しています。
増村看護師:看護師であるかないかを問わず、皆の仲はいいですね。医務室には介護職、事務職、栄養士など、他部署の職員も気軽に入室しています。
これまでは急性期病院や透析専門のクリニックで勤務していました。両方とも治療や診察を目的とした場ですが、私としてはより時間をかけて入所者さんに向き合いたいと思い、特別養護老人ホームを選びました。その中でパラダイム港南に決めたのは施設内を見学させていただいたときに、職員の挨拶がとても心地よかったからです。特別養護老人ホームに勤務するのは初めてで不安もありましたが、皆さんに助けていただいて、7年目を迎えたところです。
主に入所者さんの健康管理です。内服薬の管理、入所者さんの状態に応じての指示出し、創傷処置などですね。勤務帯は3つあります。8時15分から17時まで、8時45分から17時30分まで、9時15分から18時までで、シフト制になっています。これは常勤も非常勤も変わりません。また、オンコールの日もありますが、電話で済むことがほとんどですね。感染症のシーズンは体調が不安定な方が増えますので、少し忙しくなります。
個人的な意見ですが、早期対応を行うことで重病にならずに、安楽な日々を過ごしてもらえる状態を維持していくことに遣り甲斐を感じています。
高齢者の方々と接することは本当に勉強になりますし、楽しいですね。そして、小規模施設ならではの看護師の役割についても知ることができました。
OJTが基本です。先輩看護師がずっとついて、一つずつ教えていきます。研修会などで資料を作って報告するような機会はないですね。その場で教えられたことを習得できれば研修終了です。仕事にあたっては新人看護師が覚えやすいところから渡していきます。分からないことはきちんと教えますし、難しいことにはゆっくり取り組んでもらっていますので、安心してください。
シフト制ですが、休み希望があれば前もって言っておくと希望日に取れます。皆で話をしながら、譲り合っていますね。各種の保険にも加入していますし、夏休みは5日間あります。交通費は月に3万円まで支給されます。また、車での通勤も認められています。車通勤の職員の交通費は電車に乗った場合の半額となっています。賞与は年に2回で、初回は勤務後半年を経てからです。
人員が増えれば、今の状況では手や目が行き届かないところをしっかりとケアしていきたいです。
看護師は30代から40代ですが、介護職は20代から30代のスタッフが中心です。若い人たちと連携を取りながら働いています。楽しいことばかりとは言えませんが、看護という仕事の重要性を日々、感じられる職場です。是非、見学にいらしてください。