vol.126
医療法人社団明芳会 板橋中央総合病院
板橋中央総合病院には3つの大きな使命があると考えています。一つは地域の急性期病院として患者さんのニーズを第一に考えた医療サービスを提供すること、一つはエビデンスに基づいた医療を豊かな人間性の中に提供できること、一つは臨床研修指定病院として良質な医師を育成することです。私たちは多くのグループ病院を有する利点を十分に活かし、これらの目標を高い水準で達成することを約束します。
日本の医療システムは転換期にあります。しかし、板橋中央総合病院はそうした中でこそ『安全で最適な医療を提供し、「愛し愛される病院」として社会に貢献する。』という基本理念をしっかりと温めて活動します。医療スタッフ一人一人が信用を共有財産とし、常に新しい知識と技術を求め、医療提供者としての良心に基づいてチームワークを発揮します。先進的な医療を安全に提供できる病院として患者さまや地域の医療機関など、私たちと関わる全ての人たちから信頼され、愛される医療サービスを提供していきます。
院長 新見 能成
安全で最適な医療を提供し、「愛し愛される病院」として社会に貢献する。
東京都板橋区小豆沢に1956年に開設された病院である。現在、内科(総合診療科)、腎臓内科、血液内科、リウマチ科、糖尿病内科、神経内科、脳血管内科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、耳鼻咽喉科、外科、消化器外科、呼吸器外科、心臓血管外科、整形外科、脳神経外科、泌尿器科、産婦人科、リハビリテーション科、麻酔科、放射線診断科、放射線治療科、皮膚科、形成外科、美容外科、眼科、小児科、精神科、病理診断科を標榜し、病床数は579床を有する。
板橋中央総合病院の附属クリニックとして、患者さんへのサービスの向上を計る目的で開設された。皮膚科、形成外科、美容外科、眼科、小児科を標榜している。
内科、消化器内科を標榜し、レントゲン、超音波検査、心電図検査、血液検査、尿検査を行っている。また、精密検査、入院、手術の必要な患者さんは板橋中央総合病院と連携を取ってフォローしているほか、検診や訪問診療にも力を入れている。
認知専門棟を有する独立型の介護老人保健施設である。地域住民の方々との交流を大切に、高齢の入居者の早期家庭復帰に向けて、専門スタッフがケアしている。看護、介護、療養を通じて、明るく家庭的な雰囲気を提供している。
内科、透析科、整形外科、リハビリテーション科、循環器科、皮膚科を標榜する板橋中央総合病院の附属クリニックである。質の高い医療の提供を目指している。
看護師や保健師が患者さんの自宅を訪問し、健康状態の観察と助言、日常生活の看護、リハビリテーション看護などを行っている。血圧測定など、病状や健康状態の観察や食事、排泄、清拭、入浴介助といった日常生活の看護、医師の指示による医療措置など、ケアの内容は多岐に渡る。
在宅介護をサポートしている。寝たきりや痴呆の高齢者の介護方法などについて、ケースワーカー、看護師が在宅医療に必要な療養、生活相談や助言をする。また、在宅介護を支援する様々なサービスについての情報を提供している。
「人間の生命と人格を尊重した看護を提供する」
病院の基本理念に基づき、「患者さま・ご家族さまから信頼と満足を得るために」患者さま中心の看護を目指しています。
板橋中央総合病院独自の教育システムであるICNES(イクネス)を2015年度から導入しています。「3年で一人前」という病院が多い中、当院では「5年で一人前」としているのが特徴です。
最初の3年を前期、次の2年を後期としていますが、前期では現場の状況を踏まえながら、看護師になるための基礎作りに主眼を置いています。「何となく看護師になった」ではなく、目指すものを持ってほしいんですね。どういう看護師になりたいのかを考えてもらうための3年間でもあります。前期が終わったときにキャリア面接を行います。所属長と教育担当師長が同席し、目指す看護師になるために、後期の2年間で何を学ぶかを決めていくのです。これにより、最短の5年で認定看護師を取得できる人が登場するかもしれません。5年目以降のキャリアを考えていけるのがICNESの特徴です。
当院はイムスグループの病院なので、イムスグループ本部が看護協会のガイドラインに従って作成した「アイナースプログラム」という研修プログラムもあります。グループの研修内容と当院での研修内容を常にリンクさせています。
2年目の後半から3年目にかけて出向研修も可能です。これはグループ病院の強みですね。当院は急性期病院ですが、2年目の後半にもなると、より専門性に特化した病院に行きたいという人もいます。そういう看護師は面談の うえ、グループ内の脳神経外科病院やハートセンターでの研修をしてもらっています。
また、ブロック研修もあります。イムスグループの施設は北海道から東京までありますが、いくつかのブロックに分けているんです。ブロックごとに教育委員がおり、そのもとで研修を受ける機会があります。横の繋がりができますし、1年目の看護師は情報共有の場にもなっているようです。
勉強会の回数はほかの病院と比べてもかなり多いと思います。新人のみならず、全職員対象のものも豊富です。私が新卒で入職した病院ではここまでありませんでしたね(笑)。教育委員がテーマを絞り込んでいますが、最近では口腔ケアについての勉強会がありました。また、リハビリテーションのスタッフが講師になって、移乗やポジショニングについての勉強会をしたり、認定看護師による褥瘡の勉強会もありました。
当院ではセカンドキャリア教育という形をとっています。中途入職者は自分の病棟のことしか分からず、横の繋がりを持ちにくいので、年に2回の研修を企画しています。そこで、悩みや不安、困っていることを聞いたり、当院に来て、どう感じているのかなどを話してもらっています。看護師として求められるスキルは全国共通ですが、「病院ルール」というものがありますので、できることとできないことのチェックは大切ですね。当院ではチェックリストを作り、配属先に持っていって、そこで伸ばしてもらっています。産休、育休明けの看護師にも同様で、不安なく職場復帰できるようにしています。私が8年前に入職したときも既にこのシステムがありましたので、有り難かったですね。
現在は6人の認定看護師が在籍しています。内訳は脳卒中リハビリテーション看護2人、皮膚・排泄ケア1人、感染管理1人、がん化学療法看護1人、救急看護1人です。2015年の新人看護師は認定看護師になりたいと希望している人が多いので、頼もしいですね。希望者が安心して目指せるよう、病院として資金面などをバックアップしています。
それぞれの経験に合わせた指導を心がけています。私も数カ月前までは病棟にいましたが、当院は若いスタッフが多く、一方的に叱ると心が折れてしまうようです。それで誉めて伸ばそうとしていましたが、それだけでもいけないと気づきました。叱るのは苦手ですが、伸ばすことが求められているのですから、何が悪いのかを分かってもらうためにも指導方針を変えていかなくてはいけないと考えているところです。
学生さんに病院の雰囲気を味わっていただこうと、積極的に受け入れています。見学会では昼食時に先輩看護師が入り、現状を伝えてもらっています。そして、希望する病棟の見学をします。当院では希望の配属先を第3希望まで出してもらいますので、希望がほぼ通る状況です。希望する病棟で働くことで、ミスマッチを軽減できますね。
ICNESを始めたばかりですので、まずはこれに則って進めていきます。今までの教育システムが悪かったわけでは決してありませんが、3年での離職が少なくなかったのは次のステップアップへの課題がなかったからだと捉えています。このシステムにどう乗っていくのかを考えれば、キャリアラダーの見直しも必要です。これまではラダーの進み方が遅く、IIIで6年かかっていたので、IやIIで終わる人が多かったんですね。今後は3年目でIIIを終わらせて、ステップアップを促していきます。イムスグループ本部でも統一の方向で進んでいますので、グループとリンクさせながら、当院のシステムも整備します。
母が病気がちで、週に1回ほど通院していたんです。今から思えば胆嚢炎だったんでしょうね。私が小学校に入学するかどうかの頃ですが、私の家にはお手伝いさんがいて、母の代わりに家事をしていました。私は「丈夫なお母さんだったら良かったなあ」と思っていましたね。母について病院に通っているうちに、医師になりたいと考えるようになりました。人の支えになりたいというよりも、母を支えて、母を楽にしてあげたかったんです。でも学力などの理由で断念し、医師のそばにいた看護師を目指すことにしました。医療に関わっていれば、病態も理解できるようになるだろうという理由でしたね。
仕事を辞めようと思ったことはないですね。手に職があるというのは経済的なメリットでもありますし、遣り甲斐のあることです。私は医師になる夢をなかなか断念できなかったんですが、結婚して、子どもを産み、子どもを医師にしようと思ったんです。仕事もしたいけれど、結婚して母親にもなりたかったので、仕事と家庭のウェイトを同じように置きました。当時は育児休暇はなく、私は8週間の産後休暇のみで復帰しました。子どもは保育園に入れましたが、星が出ている時間にしか迎えに行けないので、「星組」と言われていました(笑)。
その子どもは私の願い通りに医師になり、母が胆嚢炎だったからか、専門を消化器外科にしました。子どもから「いい病院とは看護師をきちんと教育している病院のことだよ」と言われたこともあり、病院の質を上げていくためにも、看護師の教育に力を入れているところです。
記憶に残る看護をしたいとずっと願ってきました。私たち看護師の記憶に残ることはもちろんですが、患者さんの記憶に残っていきたいものです。貧しい人も豊かな人も、年老いた人も生まれたばかりの赤ちゃんも生命の尊さは同じだという倫理観を持ち、患者さんとの信頼関係のうえに成り立つ、質の高い、分け隔てのない看護を目指してきました。
全ての病棟が急性期であり、スピード感のある病院です。公的な病院は議会などの承認が必要だったり、意思決定に時間がかかりますが、民間病院はスピード感が特徴の一つですね。年功序列もないですし、やる気次第で成長していけます。忙しい病院ではありますが、穏やかな季節は割と落ち着いていますし、厳しい冬は患者さんが多くなるといったメリハリがあります。敷居が低く、地域に密着していることも大きな特徴でしょう。
有給休暇の消化率も向上していますし、退職時には全て使い切ってもらうようにしています。有給休暇が貯まっているということはそれまで病院に貢献してくれたということですしね。また、時短勤務なども充実しています。
院内保育所もありますよ。対象は0歳児で、24時間体制です。1時間100円ほどの自己負担で、差額は病院が負担しています。
大きな特徴として挙げられるのは医療費減免制度です。一定の限度額はありますが、本人と一親等までは医療費がかかりません。最近は子どもの医療費は無料だという自治体が増えてきましたが、高齢者はそういうわけにはいきません。当院が所属するイムスグループには老健などもありますし、入所費用が減免できたり、老健への転勤もできます。家族の中に病人が出たら大変です。当院ではそうした環境を整備し、働きやすい職場になるように努めています。
長く働き続けられるような職場であるよう、職場環境を充実させていきます。誰にでも光が当てられ、活躍の場が与えられている看護部にしたいですね。その意味で、認定看護師が師長である必要はありません。看護管理は別なのです。師長は管理のプロフェッショナル、認定看護師は専門分野のプロフェッショナルであってほしいです。
当院はまだ認定看護師が不足しています。全分野に渡って認定看護師が揃えば、看護や医療の質の向上に直結します。奨学金制度もありますので、認定看護師を増やす努力もしていきます。
嘘をつかない人、やる気のある人です。正直で誠実な人がいいですね。そして、やる気があれば成長しますし、自分のことよりも全体を優先して物事を考えられるようになります。また、看護師という仕事を一生、続けていける人にも来ていただきたいです。
看護の仕事は面白いです。長い間、やっていても、終わりがありません。生まれるときと死ぬときに医療が関わるのはもちろんですが、親が倒れれば介護をしなくてはいけませんし、自分も患者になることもあります。人の生き死にに必ず関わっていく職業ですから、遣り甲斐の持てる、いい仕事ですよ。頑張っていきましょう。
古川:私は東京の病院に就職したいと思っていて、大学病院を中心に見学をしていたんです。大学病院の看護師さんはきびきびと働かれていましたが、私の考えていた看護は患者さんとゆっくり会話したいというものだったので、少し違うかなと思いました。患者さんとの会話を楽しむためには笑顔が欠かせないものですが、見学に行った中で看護師さんの笑顔が一番多く見られたのが板橋中央総合病院だったんです。
川田:私は板橋中央総合病院の新人教育の体制に惹かれました。温かく育てていこうというシステムになっていて、この病院なら成長できそうだと感じました。
古川:とても良かったです。見学会では先輩看護師の皆さんと昼食をいただいたり、病棟を回らせていただきました。
川田:先輩との昼食はとても楽しかったですね。先輩も「何でも聞いていいよ」と気さくに言ってくださって、いい雰囲気でした。
古川:イメージ通りですね。見学会で感じた雰囲気の良さは間違っていなかったです。
川田:見学会で感じた通り、先輩方は優しく、頼りになります。いざというときに支えていただいています。
古川:循環器科病棟で働いています。「受け持ち」の日は1部屋を受け持ち、午前中は患者さんのケアをし、午後は患者さんの状態を看つつ、入院の患者さんが入ってこられた場合や患者さんが他病棟へ移られる場合はその業務を行っています。たまに、リーダーの日もあります。リーダーの日は患者さん全員の情報を把握したうえで、気をつけるべきことなどを「受け持ち」の看護師に指示したりします。
川田:私はCCU勤務です。「受け持ち」の日は申し送り前に患者さんの情報をとって、午前中はケアを行います。午後は検査の付き添いをしたり、時間があればベッドからの離床を促したり、足浴をしたりしています。
古川:循環器科ならではだと思いますが、患者さんの回復の過程が見えることです。寝返りも打てなかった患者さんが1週間後には車椅子に乗っていたり、さらに1週間後にはリハビリで歩行されていたりします。そういう回復した姿を拝見すると、貢献できたかなという気持ちになりますね。希望通り、循環器科に配属になって良かったです。
川田:私もCCUは希望していた部署でした。急性期ですので、入院直後の患者さんは「苦しい、苦しい」と言われます。でも、状態が安定してくると笑顔になって、冗談も出てきたりするんです。笑顔でお話をされていると、本当はこういう方だったのだなと思いますね。患者さんの笑顔を見ることができると、とても嬉しいです。
古川:いいですよ。先輩方も事細かく教えてくれますし、皆で助け合って頑張ろうという雰囲気です。ほかのスタッフが今、何をしているのかを把握できているので、助け合えるんですね。
川田:CCUもそうですね。誰がどの患者さんに何をしているのかが分かっているので、手が空いたときにはすぐにフォローし合えています。入院の患者さんがいらっしゃったら大変ではありますが、分担して頑張っています。
古川:最初は医療安全や感染などの座学研修があり、技術研修もありました。輸液ポンプの研修なども全体で受けて、病棟に持ち帰ったあとで病棟の先輩からも習います。病棟の先輩に見ていただきながら覚えていって、「合格」をいただいたら独り立ちができます。
川田:病棟配属は6月と、遅めなんです。5月はローテーション研修があって、複数の病棟を回りました。配属後のCCUでは循環器科病棟と合同の勉強会がありました。
古川:1年目の看護師用のスケジュールがあり、疾患の勉強をします。課題をある程度、調べておいて、プリセプターに提出します。また、循環器科の医師による勉強会もあります。当時は大変でしたが、今から思うと充実した内容でしたね。
古川:私たちの頃は6月から始まり、最初は月に1回程度でした。回数は徐々に増えていって、秋には月に5回ぐらいになります。受け持ちの患者さんが多いとパニックになってしまいますが、少しずつ慣れました。通常の夜勤は2人体制ですが、新人が慣れるまでは3人体制で、基本的にはプリセプターがつきます。
古川:普段から医師と看護師の仲がいいので、勉強会以外の場所でも気軽に質問できるんです。丁寧に教えてくださいますし、疾患についての知識が増えますね。
川田:最近はリーダーとしての仕事です。CCUは重症の患者さんが緊急入院されますので、一杯一杯になってしまいがちですが、先輩方も助けてくださるので頑張っています。リーダーは患者さん全員の情報を頭に入れたうえで、今後のことを見越して、医師と調整したり、スタッフに声かけをしないといけません。余裕を持って全体を見ることの難しさを実感しています。
古川:電車で1駅離れた場所にある寮に住んでいます。休みの日に病院が見えないという、絶妙な場所ですね(笑)。希望の日に休みも取れますし、3連休もあります。夏休みにはベトナムに行きました。
川田:私はハワイに行きました。私も寮に住んでいますが、同期が多く住んでいるので、お互いの部屋を行き来しやすいですし、安心です。
古川:しばらくは今の病棟で勉強したいと思っていますが、私は保健師の資格も持っていますので、将来は予防医学にも携わりたいです。循環器科病棟では糖尿病などの生活習慣病の患者さんが多いので、この病棟での経験を予防医学に活かしていきたいです。
川田:CCUの患者さんは少し安定したら一般病棟に移られますので、私は移った先のことを十分に学んでいないんです。今後は一般病棟を経験して、退院後の生活を視野に入れたうえで患者さんと関われる看護師になりたいです。
古川:板橋中央総合病院の良さは同期との繋がりが厚いことです。イムスグループ内の全職種の新人が埼玉県の武蔵嵐山で2泊3日の研修を受けるのですが、そこで皆と親しくなります。その後も職員旅行などのイベントが多く、職種を超えて仲良くなれるんですね。医師、技師、事務スタッフと顔見知りなので、仕事がしやすいですし、職場が楽しいです。
川田:見学会には遠くからも来院されますが、一人暮らしや寮生活についての質問をよく受けます。板橋中央総合病院は全国から看護師が集まっていますので、全く不安に思うことはないですよ。教育も充実していますし、是非、いらしてください。