vol.124
地方独立行政法人山形県・酒田市病院機構 日本海総合病院
(使命)
山形県・酒田市病院機構は、全ての職員が医療人として職責を自覚するとともに、公平・公正な医療を提供し、地域住民と地域社会に貢献することを使命とします。
(行動指針)
佐藤:クリニカルラダーを導入した教育ツールがあり、その中にキャリア開発プログラムに応じた教育を行っています。1年目の新人だけはエントリー制ではなく、看護技術を中心にした教育などを必修で行います。レベル1からレベル4まではエントリー制です。ライフスタイルがそれぞれなので、出産や育児などで忙しい人はお休みできるようなシステムです。レベル4までは毎年、チャレンジする人が出てきていますね。産休や育休以外の看護師の80%はエントリーしチャレンジしています。
佐藤:最初のオリエンテーションのあと、病棟の部署の主任や副師長が主にサポートしていきます。「レベル1から一緒にやりましょう」という雰囲気にしていますが、子育てが大変でエントリーできない人もいますので、そこに全体研修を入れ込んだりしています。「皆で学びましょう。一緒に頑張りましょう」という感じですね。
佐藤:ブランクの空いた看護師の教育や採用もいつでもウェルカムです。日時の指定などもありませんし、ご都合に合わせて来ていただいています。2日から3日かけて知識・看護技術を研修しています。
佐藤:認定看護師を取りたいという意志表示があれば、こちらで話を聞き、その後の受験まで病院が全額をサポートします。入学金、授業料に加えてアパート代ですね。もちろんその間のお給料も保証されます。看護教員の養成も同様です。このあたりには認定看護師取得のための学校や施設が少ないんです。がん放射線療法看護分野での認定看護師は久留米大学の教育センターでないと取れないので、今年6月から2人が行く予定になっています。
佐藤:認定看護師は専従になってもらったり、色々な委員会のトップとして活動してもらったりしています。お金をかけていますから、しっかり働いてもらわないともったいないですからね(笑)。全面的に病院がサポートするということは看護の質を上げるためにも大事なのだと言って送り出していますので、皆が意欲的です。認定看護師が病棟勤務の場合、日常業務に流されてしまい、せっかくの知識や技術など活かしきれず、なかなか専門的な仕事ができないという問題もありますので、当院では月に2日間は活動日を設け、認定看護師が活動しやすいようにしています。看護教員についても資格取得後は、当院の看護部が酒田市立酒田看護専門学校の教育部門を担っているので、そちらに異動も出来ますよ。
佐藤:小さい頃から多少具合が悪くても病院に行った記憶があまりないんです。これは祖母が助産師で母が保健師の影響でしょうか。日常の中に予防看護が自然に行われていたのだと思います。看護師になりたいという強い意思は正直言うとそれほどなかったのですが、祖母や母を見て医学的な知識があることは実生活にも役立つと思いましたし看護の勉強が面白そうだと思い国立病院附属の看護学校に進学しました。しかし看護学校の同級生はみな志が高く、私がここで学んで良いのだろうかと気後れしながら通学していました。
ところが、実習が始まって患者さんとの一対一の関わりがとても魅力的で、人の命の大切や、人間関係、信頼関係が大事な仕事だと言う事がわかり、看護師はすばらしい仕事だと思うようになりました。人生の先輩でもある患者さんとの出会いは私の宝物となり、看護師としての私を育ててくれました。また祖母や母もそんなふうに頑張ってきたことに気づきましたね。
佐藤:辞めたくなったこともありますよ。どうしても自宅にいたいと言う父を在宅で17年間介護しました。合併症を併発し段々ADLが低下し入退院を繰り返すようになると、介護で眠れない日が続き時間的にも体力的にも厳しかった時期がありました。それでも看護師を続けてこられたのは、仲間や上司の支えがあったからだと感謝しています。私は父の介護を通して多くのことを学び気づかされたように思います。看護師の何気ない一言がこれほどまでに患者さん・ご家族に影響するのだということも体験しましたし、それ以来患者さん・ご家族の気持ちや感情にとても敏感になったような気がします。自分の看護観もとてもリアリティのあるものに変わりましたね。今思えば、あの介護の経験は父が身をもって、私に看護師としてのあり方を教えてくれたように思えて、この学びを現場で活かさなければと思い今に至っています。
佐藤:私は神経内科に6年、小児科に3年勤務したほかは外科系の病棟が多く、外科・脳神経外科・整形外科を経験しました。スキルに関しては専門的知識・技術を取得した看護師が、状態と状況を判断し、根拠に基づいたケアが実践できることが求められていると思います。しかし、そのことはもちろん大切ですが、一番は目の前の患者さんにどれだけ思いを寄せることが出来るかに尽きるような気がしますね。
佐藤:もともと公立の病院ということもあってか、福利厚生はかなり手厚いです。有給休暇や夏季休暇はもちろんですが、30・40・50歳の節目の年にはキャリアアップ休暇という5日間の休暇もあるんです。院内にはコンビニエンスストアのローソンやおいしいと評判のパン屋さんもありますし、全ての病棟の休憩室には給茶機が設置されていていつでも飲み物を飲めるんですよ。また子育て支援として、育児休暇は当然ありますし、育児時間の取得の制度もあります。敷地内には24時間対応の保育園があり利用出来るほか、併設されている病児病後児保育所も利用出来ます。また、看護休暇や介護休暇も取得できるように努力しています。お子さんの体調が悪くなれば、その段階で迎えに行って、お休みするということは普通にありますね。地域性からか、ご両親が近くでサポートしてくださっているご家庭が多いので、「4時間ほど抜けます」というぐらいで済む場合もありますし、「1日、休ませてください」という人もいます。そういうときに駄目とは言わず、柔軟に対応できる看護部にしていきたいと思っています(笑)。
佐藤:師長や部署から報告が上がってきますので、私が話をしなくてはいけないときには2人で話し合うことはあります。院内にもメンタルヘルス相談窓口を作ってはいますが、活用している人はあまりいないですね。私のところで話をして、対応することがほとんどです。一緒に働いている仲間で支え合うことが大事だといいうことを話していますし、そのためにもスタッフをよく見ていて下さいねとも、師長たちにお願いしています。
佐藤:看護部の理念が、私の看護観でもあります。「患者さんとご家族に信頼していただける看護・安心感を持っていただける看護をしましょう」ということですが、それを具現化するのは私ではなく看護部を構成する一人ひとりのスタッフです。看護部長になったのは今年の4月からですが、病院の統合再編後より副看護部長として教育を担当してきましたので、これまでの経験を活かして人材育成に力を注ぎたいと思います。当院のキャリア開発プログラムとして「目標管理」と「クリニカルラダー」を設定し、継続教育に取り組んでいます。スタッフ一人ひとりを『人財』と認識し、いきいきとした組織作りをしていきたいと考えています。
佐藤:当院は看護師の育成に力を入れています。それぞれの看護師がキャリアデザインすることを支援する研修プログラムになっていますので遣り甲斐がありますし、意欲と向上心がある看護師であれば、だれでも達成感や充実感を持って働ける病院だと自負しています。一緒に働きましょう。私達はみなさんの看護師としての成長を応援します。
冨樫:まだ県立病院のときに新採用でこちらに入りまして、3年間は病棟勤務をしていました。最初の病棟勤務は心臓血管外科で、退院指導や手術に送り出したり、術後、集中治療室から受け入れたりという仕事が中心だったんです。そこで心臓血管外科に特化した集中治療室を経験してみたくなったんですね。それで、一旦退職して、仙台の病院に移って2年働いて、戻ってきました。そこで2年経験させていただいたのですが、親のこともあって、地元に帰ろうと思いました。仙台での経験を活かして、地元に貢献できればと考えましたね。
冨樫:両方、していません。大学が石川県で、ここまで電車で8時間から9時間かかるぐらい遠いですし、卒論も忙しかったんです。でも地元の病院ですから、私自身にも受診の経験があり、雰囲気は分かっていました。仙台に行くときは親が「折角、県立病院に就職したのに、なぜ辞めるの」と反対していて、自分の勢いだけで行った感じでしたので、見学していません(笑)。でも、当院の心臓血管外科の医師と仙台の病院に知り合いの医師がいて、内容や雰囲気は聞いていましたので、不安はありませんでした。
冨樫:外来や病棟は患者さんが主体であり、集中治療室は重症な方や全身麻酔をかけたうえで何時間も手術をした方が入ってこられますので、治療が中心になります。集中治療室では看護師が主体となって、患者さんに安全に治療ができるかなど、患者さんの全身状態を観察したり、ケアしていくところが大きな違いですね。
冨樫:あまりならなかったです。交代勤務なので、勤務時間とオフのメリハリがありますし、大変なときでも自分一人が大変ではなく、皆が大変ですしね。
冨樫:実は循環器は苦手分野だったので、むしろ大丈夫かなと思っていました。でも、プリセプターや主任、師長が一生懸命に教えてくださったり、自分が関わったぶんだけ、患者さんがいい笑顔で帰っていかれるうちに面白さが分かるようになりました。循環器の患者さんとより多く関わるにあたって、集中治療室での重症な方への看護も勉強したかったですし、それを活かしながら働けています。色々な積み重ねがあって、楽しくなってきました。充実していると言い切ってしまえますね。
冨樫:私の病棟は循環器内科と心臓血管外科、内科の患者さんが入っており、チームとしては心臓血管外科、心不全、心筋梗塞などの虚血性心疾患の3つがあります。私は慢性心不全看護認定看護師なので、心不全チームに所属しています。疾患に特化してチーム分けされているので、患者さんの特徴もチームごとにそれぞれありますから、スタッフが疾患を理解するための勉強会をしたり、スタッフから相談を受けて指導をしています。そういう意味では、受け持ち制をとりながらチームで患者さんの看護ができるのがいいところですね。1年ごとにチーム編成がありますので、ほかのチームの患者さんのことを分かりにくくなるという欠点もありますが、情報を共有することで補えていますね。意欲や向上心が高く、勉強熱心なスタッフが多いです。
冨樫:一杯あります(笑)。病院全体で心臓リハビリテーションに力を入れていて、4年ほど前から外来での心臓リハビリテーションを行っています。私も集中治療室にいたときや認定看護師としての活動日に携わっているのですが、今年は心臓リハビリテーション指導士という資格を取りたいです。看護師は運動面に弱いので、そこを勉強して資格を取ることで、理学療法士と共同してやっていければと思っています。
冨樫:まだ子どもがいないので、大変さはそんなに感じていません。独身時代よりは大変かもしれないですが、子どもさんがいる先輩が多いので、色々と聞いています。休みの日にこうしておくといいとか、食事をまとめて作っておく方法など、参考になりますね。悩みがあれば、自分でも考えますが、師長さんに相談したり、同じ悩みを持っていそうな先輩に話したりしています。
冨樫:したいことがあるスタッフが多いことですね。私も含めてですが、こういうことをしたい、こうしたらいいのではという案が看護部のみならず、他職種からもよく出ますし、病院・看護部がそれを後押ししてくれます。案を上に上げていくときに、「詰めが甘い」と言って、厳しく評価してくれたり、ベストな方法を一緒に考えてくれる師長もいて、良い指導もいただいていますので、遣り甲斐を持てる病院です。
冨樫:看護師は良いことばかりではない仕事で、大変なこともあります。でも、今の私の職場を思い浮かべますと、皆で笑ったり、楽しんだり、感激して泣いたり、悩んだりしています。そういうところで働きながら、皆で一緒に成長していければと思います。大変なこともありますが、とても遣り甲斐があるので頑張っていきましょう。