vol.117
社会福祉法人 京都市社会福祉協議会
京都市社会福祉協議会は、社会福祉法に基づき、地域福祉の推進を図ることを目的とする住民組織と社会福祉関係者から構成された民間団体として、従来からの地域活動(絆づくり)の充実とともに、相談支援(セーフティネット)、指定管理事業(施設受託運営)という役割も求められています。このような3つの役割を果たすために、市域(市社協)、区域(区社協)、学区(学区社協)という住民の皆様による三層の連携と、それぞれの圏域ごとの関係機関・団体の皆様との連携により、「人に優しく、災害に強い、信頼の絆で結ばれた福祉のコミュニティづくりを進めます」という行動指針で掲げる基本目標のもとで、取組を進めていきます。
その中で、地域に密着した介護保険サービス事業として、京都市内に17か所のデイサービスセンター(通所介護事業所)を運営しています。
久世西老人サービスセンターは、平成5年8月に地域住民の皆さんのご要望により誕生しました。雄大な桂川の流れとJR東海道線に挟まれた、農地と近代的なマンションが共存するのどかな環境にあり、明るくてアットホームな職場です。駅から近く、ショッピングモールもあるので、生活しやすい環境です。周辺には保育所もたくさんあり、小学校や大きな公園もあるので、仕事と家庭の両立もしやすい環境です。
仁和老人デイサービスセンターは、地域の方々の要望により建てられ、おかげさまで11年目を迎えました。私たちの関わりによって、一人でも多くの利用者さんやご家族さんに元気を取り戻してもらえるようにしていきたいと思っています。
職員は現在25名(相談員、介護職、調理員、運転手)おり、うち看護師が3名。概ね毎日2人の看護師が勤務する体制を取ることができています。看護師の業務内容は、バイタルチェック、入浴前後の依頼された処置、皮膚異常等発見時の状況確認、内服確認、機能訓練(歩行訓練など)の提供、その他の介助となっております。
18年になりますので、結構なベテランなんです(笑)病院だと中堅になります。
大阪府堺市にある泉州看護専門学校です。もともと准看護師の資格を持っていたのですが、正看護師を目指して泉州看護専門学校に通いました。
最初は堺市の耳原総合病院です。看護学校に行きながら小児科に勤務し、正看護師免許を取ってからは消化器内科ターミナル病棟に配属になりました。その後、結婚と同時に東京に移り、練馬総合病院の産婦人科に勤務しました。でも、より大きな病院で働きたかったので、就職活動をして、東京医療センターの精神科に入職したんです。そして、出産を機に、地元の京都に帰り、2014年8月まで京都市立病院で働きました。幅広く学びたいという思いがずっとあったので、色々な分野を経験し、多くのことを学ばせていただきましたね。
最初は介護士になりたかったんですが、看護師はどうだと叔父から勧められたのがきっかけです。准看護師からのスタートでした。異動の時期になると、希望の診療科を提出するんですが、苦手な科を書くと必ずその科に異動が決まるというジンクスがありました(笑)。子どもが苦手だったので「小児科は嫌だ」と書いたら、小児科に異動になりましたし、糖尿病も精神科も苦手と書いたのに、糖尿病内科や精神科に異動しましたので、苦手な科を全て潰していただいたと思っています。
インシュリンや食事療法など、血糖コントロールがとても細かく、内容が難しいんです。最初は苦手だったんですが、色々と教えていただきました。今も糖尿病の利用者さんがいらっしゃいますが、理解もできますし、家での生活ではお薬をどうしているのかを聞いたりもしますので、以前の経験が活かされています。
苦手だったはずなのに、とても好きになりました。相手の気持ちになって物事を考えることが私自身の基本でしたから、感情移入してしまうことが怖かったんです。精神科では患者さんに入り込み過ぎると、背負ってしまうものが重くなりますし、患者さんも相手に分かってほしい、背負ってほしいと思っていますので、患者さんから「死にたい」と言われたらどうしようと心配していました。でも、人間の心は複雑なもので、自分の立ち位置が徐々に分かってきて、寄り添いながらも観察するんですね。医師からも勉強させていただき、看護師同士での語り合いをするうちに面白くなりました。鬱病の患者さんの頭の中がぐしゃぐしゃになっているところを、私が話すことで、全て引き出していきます。そして、一つずつ整理しながら戻してあげるんです。社会で色々あった若い患者さんも多いのですが、現実の世界に帰っていただかないといけないので、そういう方々にお話をしていくのは深い看護でしたね。
糖尿病内科、呼吸器内科、腎臓内科です。その後は産婦人科外来、泌尿器科外来へ行きました。
子どもがいますので、生活との両立のためです。病院勤務ですと、どうしても仕事中心に考えてしまうんです。一人目の子どもが生まれたときは子どもを預けて三交代勤務をこなしていましたが、子どもの寂しさを受け止めてやることができず、私も悩みました。夜勤に関しては、子どもに負担をかけたくなかったので、お断りしていました。周りのスタッフは夜勤も頑張っていましたが、私としてはそういう気持ちになれなかったので、デイサービスに転職を考えたんです。ずっと病院勤務でしたから勇気が必要でしたし、どういう看護を求められているのかも分かりませんでした。病院は診療科に分かれていますから、求められている看護の内容は分かりやすいんです。デイサービスで自分の知識や技術がどう活かされるのか、不安が大きかったですね。
こちらと別の施設を受け、どちらからも内定をいただいたのですが、こちらは正社員としての採用でしたし、見学したときの印象がとても良かったので、こちらに決めました。
大病院では中堅看護師が先頭に立ちますし、医師との信頼関係もできていますので、外来での責任感も重いのですが、そういった急性期医療でのプレッシャーやストレスがなくなりましたね。入職後はしばらくは病院での癖が抜けずに、利用者さんの疾患を看てしまっていました。でも、ここは病院ではなく、デイサービスなんだと落ち着いて考えられるようになってきたら、周りが見えてきたんです。病院では退院される患者さんが一人暮らしか、ご家族と同居かぐらいのことしか知らなかったのですが、デイサービスに来てからは利用者さんの生活面や状況を知るように努めていますので、デイサービスの社会的な意義を感じるようになりました。
利用者さんのことを疾患の面からだけでなく、個人として関わりを持つことです。
また、救急搬送が必要な場合もありますので、これまでの経験が活かされていますし、全科を経験したわけではありませんが、ほかの看護師とのやり取りで振り返りをすることもあります。
3カ月に1回、系列のデイサービスの看護師会議があるので、6人から7人の看護師が疑問点を出し、確認し合っています。情報交換ができますし、意志統一に繋がる機会があるのはいいですね。
年に何回か、看護師主催の学習会があります。研修とは少し違うかもしれませんが、自分の持っているものを活かせます。仕事の内容としてはハードルが高いわけではありません。ただ、急変や体調の悪い方への対応については看護師としての判断が求められます。
他職種との連携です。病院では看護師は看護師だけの世界でしたが、こちらではソーシャルワーカー、介護相談員、ケアマネージャー、管理栄養士、調理員といった他職種との関わりが必要とされるので、デイサービスの看護師はその連携をうまく取る必要があります。
病院は各部門ががっちりと構築されており、それぞれ確立された知識を合わせたカンファレンスになりますが、デイサービスはそういった壁がありません。病院だと看護師だけで解決できることでも、デイサービスではソーシャルワーカーの話を聞いたり、家庭環境を見たうえで介護相談員やケアマネージャーと話をしたりと、全体で解決するための連絡を密に行っています。
利用者さんとのやり取りの中で、認めてもらっているのが分かるときです。利用者さんが辛いときに「紺谷さん、ちょっと来て」と言われて、アドバイスすると、「ありがとう」と言われたりします。家庭環境を理解しているとお話が弾みますし、利用者さんの不安を取り除けますから、すっきりして帰られるんですね。「来る前は億劫だったけど、来て良かったわ」と言われるときも嬉しいです。これからも利用者さんの気持ちに応えていきたいと思っています。
人間関係ですね(笑)。看護師はそれぞれがそれぞれの場所で働いてきた経験を持っているので、意見を重ね合わせていくのは難しいです。
デイサービスではソーシャルワーカーが上で、看護師はその下だという位置関係が私にはあり、それを守っているつもりです。こちらに入職して9カ月になりますが、これまでは仕事を覚えるのに精一杯でしたが、次の目標は利用者さんのご家庭の事情を知ることです。介護相談員やケアマネージャーに頼るだけでなく、私自身が理解したうえで、お食事やレクリエーションを楽しみにされている利用者さんや一人では寂しい利用者さんのために働きたいですね。
私はどんな看護師を目指しているのだろうかと常に考えてきたので、まだ理想像はありません。でも、こちらで地域看護に必要なことを学んでいるので、自分の看護観を確立させていくことがとても楽しいです。好きな精神科に戻りたい気持ちもありますが、戻るのはまだ先です。今は地域看護を学びながら、目指す看護を見つけていきたいです。
私もそうでしたので、病院の外に出るのが不安な気持ちがあるのは分かります。でも、出てしまってから「今後はどんな看護をしたいのか」といった可能性を考えてもいいと思います。これまでの経験は必ず活かされますし、地域の中での看護観も深まります。地域の看護師不足は地域に出る勇気をなかなか持てない看護師が少なくないからだと思いますが、経験するうちに不安はなくなります。病院の中で必要とされている以上に地域も看護師を求めているのだと実感できる仕事です。
社会福祉協議会の老人デイサービスは京都市内に17ヵ所あります。高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けられるようデイサービスがあります。西京老人デイサービスセンターもそのひとつです。一度、見学にお越しください!働きやすい所である事がわかっていただけると思います。
病院とは違って、ご利用者様ひとりひとりの力を活かし、よりご利用者様に近いところで、看護がしたいという想いがあって、デイサービスを選びました。
地域にお住いの要支援・要介護の方々の健康管理です。主にはバイタル測定、入浴時の皮膚の観察、歩行訓練時の歩行状態の観察、食事介助、排泄介助などをしています。
在宅で生活をされている方を対象としているので、ご利用者様の持っておられる力、潜在的な力を活かせるというところがやり甲斐です。
ご利用者様の持っておられる力を引き出そうと、できることを探したり、喜んでいただけるレクリエーションや行事を考えたりすることを、職員全員が関わっているところがすごくいい雰囲気だと思っています。
ご利用者様個々の介助方法は、様々ですが、それを職員の間で話し合ったりして、とても刺激的な職場です。
京都市社会福祉協議会の役割を知ることで、デイサービスにも色々な種類があることを知りました。地域とより密接に関わっていることで、認知症の方のサポートや、災害拠点にもなっているということを知り、色々と勉強させていただきました。
ご利用者様の笑顔が見られるところですね。サークル活動、行事、外出など、ご利用者様の間近で、一緒に楽しんで喜べることが、デイサービスの魅力のひとつだと感じています。
今後は、よりデイサービスの看護師というものに近づいていくために、ご利用者様に寄りそった看護ができるようにしていきたいと思っています。
デイサービスは、在宅で生活されている方々の看護を行います。病歴・生活歴、その方の趣味、得意な事、ご家族やご利用されているサービス等、幅広い視野での看護ができます。そして、ご利用者の笑顔もたくさんみられます。ゆっくりお一人お一人と向き合って、看護ができると思います。