vol.112
一般財団法人 操風会 岡山リハビリテーション病院
平成10年に岡山あさひ病院として再出発後、平成19年より病院名を岡山リハビリテーション病院に改め、リハビリ専門病院としての確立に努めてまいりました。リハビリ専門病院としての施設・設備の充実を図るために新病院の建築が長年の夢でしたが、夢が叶い、平成23年11月1日にオープンすることができました。
当院は入院中の回復期リハビリと退院後の在宅支援が2本の柱であり、回復期から生活期(在宅)まで切れ目のない連続したリハビリテーションサービスを提供できる体制を整えております。
3病棟全てを回復期リハビリ病棟として、主に発症・術後2か月以内の脳卒中患者さまを急性期病院から受け入れ、集中的かつ効率的なリハビリテーションを行って生活機能の改善を目指し、できるだけ早期に自宅退院・社会復帰をしていただける体制を整えております。障害を持たれた患者さまにとっては、自宅退院後に希望を持って生き生きとした活動的な生活を送っていただくことが大切です。そのためには退院前に自宅の環境整備を整えると共に、退院後に獲得した生活機能を維持・向上できるように訪問リハビリテーションと通所リハビリテーションによる在宅支援にも力を入れております。
施設やサービス面では、入院中の心を少しでの癒し、将来への希望を持ってリハビリに励んでいただけるように、『人間味のある温かいリハビリテーション病院』を目指しております。
平成23年11月より新病院オープンと共に129床全て回復期リハビリテーション病棟となり、リハビリの専門病院として新たなスタートをきりました。当院は急性期病院からの紹介100%の病院で、環境設定と在宅支援サービスの協力により自宅退院を目指し、人生の再構築実現をチーム医療で担っております。地域の皆様に支えられ地域の皆様と共に成長していく病院です。経営理念にある「職員ひとりひとりが幸せで、やりがいのある病院」にしていくことが私の使命であり、職員ひとりひとりの使命です。
特別の理由やきっかけはなかったですね。それまで看護師になりたいと思っていたわけではありませんでしたが、たまたま高校の衛生看護科に入学しましたので、流れの中で看護師になってしまったようなところがあります(笑)。
私が当院に入職したときには高齢社会が進み、国は在宅へという方針を決めつつありました。私はそういった分野に関わってみたくて、この病院を選んだんです。急性期の看護師には在宅というイメージがなく、患者さんが家に帰ってからの生活を考える機会がないように思います。この病院に来て、患者さんがどんな家に住み、どんな工夫をしたら生活できるのかということを皆で考えるようになりました。看護師一人だけではなく、医師、リハビリスタッフ、介護士、栄養士などとチームを組んで、皆でそれぞれの専門性を発揮できるのは面白いですね。
患者さんと一緒にいて、辛いときでも、どんなときでも時間を共有することです。
住み慣れた社会で、一日でも長く生活してもらう体制を整えていくというのが当院の役割だと思います。
看護師としては全く違うことはありません。ただ、看護処置に関しては注射や点滴、外科処置などは一般急性期病院の方が多いですね。回復期リハビリテーション病院の場合は患者さんの病気ではなく、患者さんご本人や患者さんの日常生活に関わることが多くなります。病気自体は治ることがなくても、回復期リハビリテーション病院では残された機能をどういうふうに活かしていくのかと考える機会があるのが大きな違いでしょうか。
私が入職した頃は新卒の看護師はほとんどおらず、既卒の看護師ばかりでした。教育体制も整っていなかったので、現任教育を導入しました。当時は「何も教えてもらえない」、「リハビリは特殊だ」などと言われることがありましたね(笑)。回復期リハビリテーション病院にはほかの病院ではあまり聞き慣れないことがあり、そういった壁を乗り越えていくために、プリセプター制度を作り、1年の間、先輩プリセプターに気軽に相談できる環境を整えたことで、離職率が低下しました。
今は新卒の看護師も数名いますが、ある程度、急性期病院を経験している方が安心できると思います。急性期病院は在院日数の短縮のために、当院のような病院に早く送ってきますから、急変の時にも対応できるように同じ法人内の岡山旭東病院に研修に行ってもらったりもしています。
福利厚生の一つに、希望する研修会に誰でも参加できる制度がありますから恵まれていますね。病院が交通費も宿泊費も負担してくれますので、さらに利用者が増えればいいと思います。ほかの病院の見学を希望する場合も病院が連絡を取ってくれますよ。
各種認定看護師などの個人資格取得のための研修参加についても支援してくれています。また、残業もほとんどなく、ほかの病院よりも働きやすい環境が整っているのではないでしょうか。
在宅支援や在宅復帰を行っている病院と急性期病院との連携はかなり進んできました。当院も岡山市内のほとんどの急性期病院と連携を取って、看護師同士の勉強会をしたりしています。今後は訪問看護ステーションや医療・介護施設などとも連携を深めていくべく、方法を模索しているところです。
優しい人がいいですね。誰でも障害を持った時点ではひどく落ち込みます。そんなときに看護師が優しくないと、患者さんは辛いままですからね。一方で、チーム医療を行っていますから、皆と協力できる人がいいですね。看護師はチーム医療の中の調整役を務めることが多いので、専門的な他職種のスタッフを上手にまとめることができる人が理想です。
マザーテレサさんのように、どんな人にでも、どんなときでも微笑の中に心も添えることができるような看護師を目指していただきたいと思っています。
看護師になったきっかけを教えてください。
中野:小学生の頃、右手を骨折して近所の医院に通っていたときに、ギプスを外した後のリハビリが嫌で仕方なかったんです。ギプスを外したあとに三角巾をしようとしていたら、先生に怒られて悲しかったですね。でも、看護師さんには「頑張りましょうね」と励まされ、それで癒されました。私もそんな人になりたいなあと思ったのがきっかけです。
岡山リハビリテーション病院に入職を決めた理由をお聞かせください。
中野:総合病院の脳神経外科病棟で10年、働きました。そこで受け持った患者さんをリハビリテーション病院に転院してもらっていたのですが、今度は患者さんの症状が良くなっていく場所で働いてみたくなったんです。一般急性期病院はどうしても時間が限られてしまい、患者さんとのかかわりの時間が短いので、患者さんの回復やADLの向上を看ることができる病院がいいなと思いました。岡山リハビリテーション病院に入職を決めたきっかけは回復期のリハビリ領域があったからです。この病院は全ての病棟が回復期リハビリテーション病棟に特化しており、ほかの病院のように一般病棟や療養病棟があるわけではありませんので、自分のやりたいことと一致していました。どこの病棟に配属されても、自分のやりたい看護ができると考えました。
見学にいらしたときの印象はいかがでしたか。
中野:綺麗な病院なので働きやすそうだという印象を受けました。雰囲気も良かったですし、プリセプター制度があったことも入職を決めるきっかけになりました。
一般急性期病院と回復期リハビリテーション病院での仕事の違いはどんなところにありますか。
中野:一般急性期病院は治療はもちろん、患者さんの安全や安静度が優先されますので、看護師が何でも素早く仕事をしていく感じでしたが、この病院では患者さんがどこまでできるだろうという観点で見守っています。ついつい手伝いをしたくなりますが、患者さんにとっては生活動作の一つ一つがリハビリですから、できるところはやっていただきますし、私達もリハビリのスタッフと一緒にできることを探しています。
現在のお仕事の内容を教えてください。
中野:一日の流れは朝8時から始まりますが、その前に自分の患者さんの情報収集をします。8時には食事介助と食後の歯磨き、トイレ介助をします。9時からはチームのミーティングです。看護師のみならず、医師、介護士、リハビリスタッフ、ソーシャルワーカーが集まってミーティングが行われます。9時半からは入浴介助、褥瘡の処置、吸引、トイレに行きたい患者さんのコールを担当するなどの仕事があります。お昼前には胃瘻の患者さんのための前準備があります。夜は何かがあったら、主治医に連絡を取って相談し対応します。
お仕事のどんなところに遣り甲斐を感じますか。
中野:全員が良くなっていくわけではありませんが、入院時にはベッドから車椅子に自分で移動できなかった患者さんが少しずつでもできることが増えていくと、自信がつきますね。患者さんの表情が明るくなっていくと、私も良かったなと思えます。寝たきりではなく、車椅子で過ごす時間が長くなり、患者さんから「ちょっと気分転換になったわ」というような言葉をいただければ、やり甲斐を感じますし、働いていてよかったなと実感します。それは私一人の力ではなく、チームの皆でささえて出した結果ですし、何よりも頑張られたのは患者さんですが、そういう場面に立ち会えて共有できるのは嬉しいですね。
逆に、辛いことはどんなことでしょうか。
中野:個人的なことを言えば、前の病院は2交代でしたが、こちらは3交代ですので、そのリズムに身体が慣れるまでは辛かったです。慣れれば大丈夫ですけどね。また、様々な事情で、患者さんのご自宅への退院が叶わなかったときや、病気の再発などでリハビリを中断せざるを得なくなったとき、患者さんの「折角、ここまで頑張ったのに」というつらそうな姿を見るとこちらもとても辛いです。
病棟の雰囲気はいかがですか。
中野:明るくて、和気藹々です。色々な年齢層のスタッフがいますが、皆の仲がいいですね。
教育体制について、お聞かせください。
中野:プリセプター制度があります。私の場合はプリセプターが1年ついてくださり、一緒に夜勤もして、指導していただきました。その後は回復期リハビリテーション領域での患者さんの評価方法などの学ぶべき項目があるのですが、それぞれを担当するスタッフから資料をいただいて、説明を受けます。また、教育委員会が企画する勉強会が月2回あり、違うテーマで開催されたので、いい勉強になりました。さらに、FIMなどの回復期リハビリテーション病棟で必要な知識については直接の指導がありますし、院内の勉強会の機会も豊富にあります。
将来の目標をお聞かせください。
中野:当院で働き始めて1年ぐらいですので、大きな目標はまだありませんが、もっと回復期リハビリテーションの勉強をしていかないといけないと思っています。そして回復期リハビリテーション病棟の看護師として、少しでも長く働き続けたいです。
岡山リハビリテーション病院に入職を考えている看護師さんや看護学生にメッセージをお願いします。
中野:当院は病院の名前の通り、リハビリテーション看護について学び、しっかりと実践できる病院です。全員の患者さんには当てはまりませんが、患者さんが少しずつ改善されていく過程を見ることができますし、患者さんにゆっくり関われますので、そういった看護をしたい方は是非、いらしてください。患者さんが少しでも良くなったり、できることを増やしていくためにどんなことができるのかを常に考えることができる看護師さんに来ていただけたら嬉しいです。一緒に考えていきましょう。