社会福祉法人恵徳会は神奈川県横須賀市東逸見町の住宅街に位置する。開設は1979年と、横須賀市内では4番目に歴史が古く、介護保険制度の開始前から高齢者福祉と地域福祉に取り組んできた。開設以来、特別養護老人ホーム恵徳苑を中心に、短期入所生活介護、通所介護、居宅介護支援、訪問介護などを展開してきたが、2013年5月には「社会福祉法人恵徳会 在宅医療クリニック」を開業し、医療との連携を密にしている。
今年で創立35周年の歴史を持っており、横須賀市内では4番目に古い社会福祉法人です。逸見地区のみならず、横須賀市内はどこも山や坂、階段が多いんですね。100段から200段といった階段を上がったところに高齢者がお住まいだったりするので、在宅サービスも行っていますし、そのような住環境ですから、通所サービスも送迎を提供しています。
こういった歴史や実績を活かそうと、2013年にはクリニックを開設しました。在宅医療をメインにしたクリニックで、医師自らが居宅や施設に出向いています。介護と医療を連携させて、高齢者の生活を支えています。
1979年に特別養護老人ホーム恵徳苑を開設し、翌年から一時入所事業を開始しました。当時は介護という分野はまだクローズアップされていませんでしたし、養老院というイメージも強かった時代です。介護は家庭で、お嫁さんが一手に引き受けていたんですね。しかし、介護者の方が病気になったり、認知症の高齢者と受験生の同居で家庭不和になったりと、色んな問題が出てきていました。そうした陳情が当時、神奈川県議会議員だった徳間正雄のもとに届き、これからは家庭ではなく、施設で高齢者をケアしないといけないという思いから開設に踏み切ったそうです。
しかし、このあたりは住宅街ですから、開設にあたっては周囲の声は賛否両論ありました。今も建物の窓に目隠しがあったりするのはその頃の名残なんですよ。その後、高齢化が進み、ご近所の方々も高齢者になられたので「ここに施設があって良かった」と言われますね。
1997年には横須賀市立粟田老人デイサービスセンター事業を開始しました。これは横須賀市からの委託を受けた事業で、粟田小学校の空き教室を利用しています。小学校の中にありますから、利用者の方々の安心感に繋がっていますし、地域の方々にもよく知られていますね。定員の30人をほぼ満たしている状況です。
私どもは一言で言えば、真面目な施設なんです。これまで地域の皆様のために良いサービスを追求してきましたが、立地のためなのでしょうか、認知度が高くないのが課題です。2013年にクリニックを併設しましたが、クリニック併設型の施設は珍しいので、これからPRしていきたいですね。
また、建物が古いことも課題です。100床を目指して、移転増床を行いたいですね。現在、用地を探しているところです。
医療だけではなく、介護の現場を知ることができます。施設にしろ、居宅にしろ、現場に踏み込むことで、高齢者の生活の場が分かります。それは病院では得られない、在宅医療ならではの学びになるでしょう。診療や医療とはまた違うんですね。高齢者の介護では、高齢者から教えられることも多くあります。ほかのスタッフとの連携についても学べます。高齢者ご本人からも、介護者からも感謝される喜びが味わえる仕事だと思います。
高齢者のことをよく分かっていて、高齢者を好きな方にいらしていただきたいです。私どもの在宅医療は24時間体制ですから、夜中に電話があったり、居宅や施設に出向いたりもします。そんなときでも、高齢者との関わりが好きな方であれば、苦にならないと思うんです。在宅で介護することの意義を分かってくださっている方であれば、在宅医療が初めての方でも、看護師としてのキャリアにブランクがある方でも慣れるまで指導しますので、ご安心ください。
私自身も小学生の子どもがいますが、当時の施設長に理解があり、ずっと働いてきました。子育てを理由に仕事を辞めてしまうことがないよう、私どもでバックアップします。お子さんがいる職員は看護師にも、介護スタッフにも多く、子どもの具合が悪くなったときでも皆でフォローし合っていますので、子育て中の方も大丈夫です。
クリニックを併設したのは大きなトピックでした。クリニックに医師が在籍しているというのは施設に入居している方も安心のようですね。末期がんの方や看取りの方も増えてきており、横須賀市も在宅医療を推進していますので、私どもでも拡大していきたいですね。拠点をもう1カ所、作ることも検討中です。今後も医療と介護の連携に力を入れていきます。
クリニックの朴正晃院長は在宅医療に関心が深く、看護師への理解もあります。柄川順名誉院長もとても気さくで、先日も家族連れの懇親会を開いてくれたんですよ(笑)。懇親会は和気藹々で「これからも頑張っていきましょう」という雰囲気でした。私どもでは多職種間で協力し合い、在宅での生活を支えています。看取りですとか、しばらく関わりがなかった方が亡くなられたりですとか、厳しいこともありますが、必要性があるからこそ、ご依頼を受けるわけですし、学ぶことが豊富な職場です。成長を実感できますよ。見学はいつでも受け入れていますし、在宅医療の現場も見学していただけますから、お気軽にお問い合わせください。
三井看護師:堅苦しくなく、意見交換ができています。苑長や苑長代理も一緒のミーティングを週に1回、行っています。私はクリニック勤務ですが、特養勤務の看護師とも連携を密にしています。施設にはケアマネージャーも在籍しており、ケアマネージャーの担当の患者さんをクリニックで診ることもありますが、これからのサービスについての意見交換などを活発にしています。
三井看護師:笑いが絶えない職場ですね。看護師の年齢層は30代がメインで、50代のスタッフもいます。色々な年齢層ですので、話題が広がりますし、和やかですね。緩いと感じるときもあります(笑)。30代の看護師はほとんどが幼稚園から小学生までの子どもの母親です。ミーティングでは皆が臆せずに意見を言い合い、院長も看護師の話にじっくりと耳を傾けてくれています。
恵徳苑に入職したきっかけ
前の職場を退職して、次の職場を探していたときに、知人から「新しく在宅医療のクリニックができるよ」と勧めてもらったのがきっかけです。以前は特養や老健に勤めていましたが、その前に在宅医療に力を入れている病院に勤務していたことがあり、訪問看護や訪問診療の経験があったんです。在宅医療ではご家族の背景や生活の様子を知ることができ、病院の医療とは違う面が見えたので、こちらでもやってみたいと思いました。それで2013年2月に入職し、5月に開院の日を迎えました。
現在の仕事内容
外来の診療介助と訪問診療です。訪問先は居宅、有料老人ホーム、グループホームなど、様々ですね。
仕事の遣り甲斐
在宅医療へとシフトしつつある流れですので、当院でもそれに沿っています。がん治療は苦しいので、緩和ケアのみという方も少なくありませんし、看取りも多いですよ。ご自宅で最期を迎えられることはご家族は大変でしょうが、病院よりも人間らしい最期を迎えられるので、素敵なことだと感じています。そこに、私たちの知恵や力をお貸しできるのは遣り甲斐がありますね。
勉強になっていること
一つの疾患であっても、患者さんそれぞれの訴えが異なります。ご家族の対応もそれぞれですから、こちらからの答えも一つではありません。病院では決まった形になりがちですが、在宅医療では様々な治療の方法があるので、勉強になっています。医師からも熱心な指導がありますよ。疾患の説明が丁寧なので、安心して習っています(笑)。
新人へのサポート
不安なままだと楽しく仕事ができませんから、慣れるまではマンツーマンでついています。家庭のあるスタッフがほとんどですし、皆が協力し合っていますから、心配いりませんよ。
福利厚生
有給消化率は100%近いですし、お休みは取りやすいですね。夏休みもあり、年休と合わせて、少し長めに取ることもできます。常勤看護師は全て日勤帯で、夜勤はありません。非常勤看護師は午前のみの人と午後のみの人がいます。常勤か非常勤かは入職のときに選べます。看取りの場合などはオンコール対応となりますが、きちんと時間外手当が支給されます。私は10キロ離れたところから通勤しているのですが、交通費も全て出していただいています。
今後の目標
ご依頼があるところへはどこへでも行きたいですね。自分の技術や力を在宅での生活にお役に立てられればと思っています。今後も多くの方に出会っていきたいです。
入職を考えている看護師へのメッセージ
職場では勉強もしながら、和気藹々と楽しく過ごしています。人間関係の良い職場で、看護師として充実した毎日が送れますよ。是非、一緒に働きましょう。