仁和会総合病院は八王子市の中心部に位置する。 1946年に開設して以来61年間、八王子地域の中核病院として活動をしており現在は193床を有する。 看護部では「地域に根ざした、きめの細かい看護を実践する」という理念の基に日々看護業務に取り組んでおり、看護教育は個々の心理に応じた対応に工夫を凝らし努力をしている。 今回は吉田美穂看護部長にお話を伺った。
◆吉田 美穂 看護部長 プロフィール 1983年日本赤十字中央女子短期大学を卒業後、日本赤十字社医療センターに勤務する。 1988年より仁和会総合病院に勤務し、2001年10月に看護部長に就任。現在に至る。 |
仁和会総合病院は関東で初めて潜在看護師復職支援セミナーを開催した。 開催を決めた理由はいかなるものだったのだろう。
吉田:一番最初に管理部長から話を伺い、面白そうだと思ったのは事実です。
それまで当院でも様々なメディアをつかって募集をかけておりましたが、今ひとつ決め手に欠けるという状況でした。看護配置基準も10:1をとっておりましたが、これを維持するためにはどのような方法が有効なのかと考えていたところでしたので、リンクスタッフさんに趣旨説明をしていただきました。
初めてのことでしたので、様々に逡巡しましたが、理事長、院長の後押しもあり、新人看護師の教育プログラムを応用して、更にリンクスタッフさんから提供された情報をもとに潜在看護師復職支援プログラムをつくりあげました。
今年の6月29日に看護師の復職支援セミナーを開催した。
周辺地域から集まった参加者11名が復職に向けて座学・病棟業務を実習して、大層盛況だった。
開催後の感想を伺った。
吉田:看護師の皆さんがブランクが長い短いに関わらず、職場を離れた時点から非常に不安を抱えているということを実感しました。特にアンケートを拝見して、採血や点滴などの手技的な部分に対しては非常に興味があるのと同時に、不安をも感じていたというのが驚きでした。
私としては新しい医療知識や看護の実際の対応などの方により興味をお持ちであろうと予想していたものですから。指導にあたった師長たちも彼女たちの熱心さに驚いており、逆に刺激を受けたようで、それも新鮮な体験になったのかと感じています。
プログラムの作成から関われたことで有意義な経験ができましたので、得るものは大きかったですね。ノウハウも蓄積できましたので、今後も時期をみて2度目のセミナーを是非開催し、ブランクのある看護師への支援を積極的に行っていきたいと思います。
プリセプター制度を取り入れていたが、今年から一部病棟で固定チームナーシングを導入した。この目的は新卒の看護師への教育をきめ細やかに行っていくこと、またチームに属する看護師全員が患者様に責任を持って看護を提供していくためである。
これによって、新卒の看護師が業務に対してより深く理解するようになり、新卒看護師に対する患者様からの評判もよい。
吉田:今年から一般病棟の一部で固定チームナーシングを導入しました。
新卒で採用した看護師が全て准看護師だったので、一般的な考え方での教育では、こちら側がわかっているであろうと思っていることがなかなか伝わらずに混乱してしまうんですね。そこで原則からではなく心理面からのケアに心を砕き、先輩である看護師それぞれが責任を持ち、お互いに協力をしながら教育の場にもチーム制度を取り入れて、新人教育にあたっています。
良い方向に向かっていると言えますね。 ありがたいことに新人は全て定着しており、取り組みは成功したと実感しています。
今後はこの方式を元に新人教育プログラムの見直しをすすめていきたいと思っております。
もちろん准看護師の向学心を満たすために高看への進学も勧めておりますし、ステップアップには奨学金の利用も可能です。
認定看護師の資格を希望している看護師のバックアップも前向きに進めております。
医療事故防止への取り組みが社会的にもクローズアップされている。仁和会総合病院での取り組みについて吉田看護部長に伺った。
吉田: 安全・感染管理については委員会を既に立ち上げており、専任者は勉強中の段階ではありますが、これから一歩一歩進めていく課題だと考えております。この問題に関しては院長からも可及的すみやかに対処するよう指示を受けておりますので、安心してご来院・ご入院いただける体制作りを進めてまいります。
また、ISOに関しては取得はまだなのですが、医療機能評価の認定を昨年受けましたので、5年後の更新を目指してひとつひとつの課題をクリアしているところです。
現在、2009年秋の竣工に向けて急ピッチで新病院の建設が進んでおり、完成すれば地上20階建の病院が姿を現す。
その新病院建設には看護師の意見をも取り込んでいるという。
吉田:1946年に開業した当院も現在まで地域の中核病院として頑張ってきましたが、八王子市民の皆さんにより一層愛していただけるよう建替えられることになりました。
病院建替えの話を進めるにあたっては、実際現場で働く看護師の意見を取り込んでもらうように働きかけ、特に外来棟については動線を考えたレイアウトを提案しました。什器の配置次第で動線が遮るようなことがあれば、それだけで看護師の対応の遅れに繋がるおそれがありますので、そのようなことのないように配慮してもらいました。この時は全看護師の間でかなり活発な意見交換が行われ、その風景から看護師全員が仁和会総合病院を愛しているんだと実感させられました。
吉田看護部長にアピールポイントを伺った。
吉田:看護部としてはまだまだ発展途上の段階であり、これから教育の面についても見直していかなければならないところはたくさんあります。他に誇れるような教育プログラムは特にはありませんが、和気藹々と楽しく、アットホームな職場環境の構築はできています。
働きやすい職場環境のためか、昨年は出産ラッシュだったんですよ(笑)。
仕事がいくら厳しくて、苦しくても、よい人間関係で困難を乗り越えていける部分はあると思います。スタッフの表情やしぐさを見ながら体の具合の悪そうな者には自然に声がかかったり、病院全体でそういった雰囲気ができあがっています。もちろん私も心がけています。やはりコミュニケーションは大事で、当院の誇れるところはその点につきると思います。
吉田看護部長に今後の展開をお伺いした。
吉田:病院として現在DPC導入の検討を行っているところです。
八王子市には50万人の人々が住んでいます。地域医療に貢献していくために当院には訪問看護ステーション、在宅介護支援センターが併設されております。介護は展開が難しい面もあるのですが、そちらと連携を取りながら更にきめ細かい看護に取り組んでいきます。また八王子市では病診連携の充実を行政課題の一つとしています。
中核病院の一つとして地域の開業医さんとの連携をより一層強化していきます。
看護部は今あるものをフルに活かし、ひとりひとりの患者様に対してあたたかい看護を実践していきます。
院長の方針で今後7:1看護を目指しております。採用活動は今後も積極的に行っていきたいと思いますので、みなさんからのお問い合わせ、ご応募をお待ちしております。
■病院基本理念
良質かつ信頼性の高い医療、看護ならびに介護サービスを提供することにより、地域の皆様の健康保持ならびに福祉に積極的に寄与する。
■基本方針
1. 地域の皆様が安心して、手軽に利用できる医療機関をめざします。
2. 高齢化社会に向けて、高まる看護・介護サービスへの充実した対応をいたします。
3. 病気の予防、健康管理、疾病の早期発見に向けた活動に取り組みます。
名称 | 財団法人 仁和会 仁和会総合病院 |
---|---|
URL | http://www.jinwakai.jp |
住所 | 〒192-0046 東京都八王子市明神町4丁目8番1号 |
電話 | 042-644-3711(代表) |
FAX | 042-646-2556 |
建物 | |
病床数 | 193床(一般:119床、介護74床) |
診療科目 | 一般内科、消化器内科、一般外科、整形外科、形成外科、眼科、耳鼻咽喉科、 放射線科、皮膚科、泌尿器科、リハビリテーション科、歯科、肛門科、婦人科 |
関連施設 | 財団法人仁和会 仁和会クリニック 財団法人仁和会 仁和会訪問看護ステーション 財団法人仁和会 仁和会介護支援センター |
附属施設 |
●JR中央、横浜、八高線 八王子駅より徒歩3分 ●京王線 京王八王子駅より徒歩3分 |