Vol.11【クレーム応対について(上)】看護師の職場でも活かされる!

平岩裕子の離職防止コラム【職場働きやすいをつくるリーダー力】

Vol.11  クレーム応対について(上)

スタッフ研修で病院やクリニックなど医療機関に伺いますと、人材育成の他にクレームに関する質問を受ける機会が多くあります。

まず、クレームが発生した際のガイドラインを作り、組織としてどう対応するのかを明確にすることは必要ですが、クレームを防ぐ為に何か対策を練るという考えはお勧めできません。なぜなら、患者様応対や仕事全般の判断基準が「クレームを起こさないため」
つまり自分達を守る為に業務に取り組むことになりかねません。仕事の前提は「相手に喜んでいただくため」であり、その姿勢が患者様(お客様)に伝わります。ですので、クレームを起こさない為に仕事をしていると、更にクレームを引き寄せてしまいます。

仕事とは、目の前の患者様(お客様)に尽くすことです。喜んでいただくために何ができるだろうと思いを馳せて、自分ができることを実践しチームワークで取り組みます。時には誤解が生じたり、期待に沿えずクレームが発生することもあるかもしれませんが、日々「どうしたら満足いただけるだろう?」という姿勢で取り組んでいると、業務の見直しや改善のチャンスにつながっていきます。

クレームの根本は、期待した以下の結果や応対に対して起こる怒りの感情です。医療機関は制約が多いうえ、患者様の事前期待も高いので「思っていたのと違う」という気持ちにさせてしまう場面が多いかもしれません。しかし、その不満の気持ちを声に出してくださるのは全体の4%のみで、残りの96%はサイレントクレーマーです。言っても仕方がないという残念な気持ちのまま過ごされたり他の医療機関へ移られる等、こちらも患者様の心に寄り添うことができないままになってしまいます。

ですので、クレームを上げてくださる事は非常に有難く貴重な機会なのです。ただ、クレームにも種類がありますので、3つのうちどの種類なのか認識し、それによって応対を工夫する必要があります。「苦情」は、不利益を感じた時に不満を抱くこと、「クレーム」は法的な根拠に基づいた主張、「クレーマー」は極端に自己中心的な行動や要求です。

クレーム応対の基本5か条

【第一印象を味方につける!】最初の数秒で勝負が決まります。
【傾聴の気持ちは、表情・姿勢・言葉で表す!】対面でも電話でも第一印象は相手の記憶に最後まで残ります。
【お詫びの言葉に心をこめる!】その一言がクレームを小さくします。
【求められているのは相手に合わせた話し方!】クレームは組織で受け止める
【人・場所・時間を変える!】

怒りの感情を受け止めることは誰もが避けたいことです、盥回しにしたり一人で解決させようとすればするほどに事態が悪化します。クレームは組織で受け止めること、そして第一対応者の応対によって大きく左右することを認識しておきましょう。

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プロフィール

平岩裕子やまとなでしこ塾主宰。
短期大学卒業後、大手百貨店に就職、人材コンサルティング営業、国際線客室乗務員、美容系サロンマネージャーなど、さまざまな角度から人と接する現場経験を積む。
「マナーは方法ではなく心を伝えること」を念頭に、現場経験を活かした実践事例に基づいた講演は、幅広い年齢層の女性からの共感・支持を得ている。
やまとなでしこ塾他、企業や公的機関、医療機関でのマナー講座、接遇サービス研修などを実施している。

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