職場において人が育ち長期的に能力を発揮し続けるために、短期的な変化より変化を繰り返し土台が作られていくものではないかと思います。
条件や制度などを見直すことも大切ですが、それだけでは条件のために仕事をする人が集まりかねません。やはり根源に心のこもった支援が必要です。
昨年の春に出会った会社員Aさんは、将来への漠然とした不安から転職を考えていました。
条件や仕事に大きな不満はないが、職場に自分の存在価値ややりがいを見出せず、職場環境を変えることで何か見つかるかもしれないと思っていました。しかし、Aさんの周りの人や上司は、Aさんの行き届いた丁寧な仕事のおかげでお客様から喜ばれ安心信頼を得ており仕事の効率も上がっている等、Aさんのことをとても頼りにしていました。だから、 まさかAさんが悩んでいるとは思ってもみなかったようです。
そこで、皆がどれだけAさんのおかげで助かっているのかを上司がAさんに伝えました。それを聞いてAさんは自分の居場所(活躍の場)がある事に安心と喜びを感じ自信が持てるようになりました。もっと皆の役に立つためにできることを考えて取り組むようになり、営業アシスタントとしてサポート役に徹することに喜びとやりがいを感じるようになりました。
Aさんは上司が大規模プロジェクトのリーダーになる為のプレゼン大会にエントリーした事を知り、立候補してそのサポートに徹しました。Aさんが自ら人のために尽くす姿に一人、二人と彼女を手伝う人が増えていき、気付けば他部署も巻き込みそれぞれの得意分野を活かし合うチームが出来上がっていました。そして、最高のプレゼンが完成し大きな仕事へと繋がりました。ここには「自立」「チームワーク」があり、そのプロセスと結果に「やりがい」「達成感」があります。
きっかけは、上司との対話です。対話をすること、日頃の感謝を言葉にして伝えること、信頼し合い必要以上にコントロールしないこと、どれも日常の当り前のことを大切にする姿勢(意識と具体的な行動)です。人は、与えられたことを返したくなる返報性のルールを無意識に実践しています。お互いに影響を与え合って関係を築いていることを少し意識するだけでも心の持ち方がかわり、与え合う影響も変化し始めます。小さなことを一つずつ具体的に実践すること。全ては自分の一歩から始まります。
やまとなでしこ塾主宰。
短期大学卒業後、大手百貨店に就職、人材コンサルティング営業、国際線客室乗務員、美容系サロンマネージャーなど、さまざまな角度から人と接する現場経験を積む。
「マナーは方法ではなく心を伝えること」を念頭に、現場経験を活かした実践事例に基づいた講演は、幅広い年齢層の女性からの共感・支持を得ている。
やまとなでしこ塾他、企業や公的機関、医療機関でのマナー講座、接遇サービス研修などを実施している。
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