組織全体や個人的にモチベーションを保つ為に意識的に取り組んでいる方が多くいます。また、女性はモチベーションよりテンションで仕事をするので上司としてどう接したらいいのか困るとおっしゃる方もいらっしゃいます。確かに、女性は男性に比べると感情的になりやすい性質ですので、理解し難い面があるかもしれません。ただ、その悩みも部下がいい状態で仕事ができるようにという上司の想いからくるものです。男女年齢関係なく職場のスタッフがいい状態で仕事ができる環境が整っていることが理想的です。
自ら率先して業務に取り組み個々の能力を発揮し互いに協力し合うような、スタッフの「自立(自律)」「チームワーク」が求められているのではないかと感じます。
自立(自律)は自分との約束を守り続けること。自分の使命や在り方が明確であればできますが、そうでなければ簡単に出来るものではありません。でも、人は誰かの為に驚くほど必死に頑張ることができたり、信頼できる大切な人との約束を守ることができます。
以前、ある医院を訪問しました。朝は7時に出勤して掃除をし、勤務後も他のスタッフの為に資料を作り、医院をもっと良くするためにミーティングをしています。それは医院の方針ではありますが、強制ではなく皆さんが自発的に取り組んでいるそうです。何故そんなにがんばれるのか?不思議に思うぐらい率先して取り組んでいるスタッフの皆様に訊いてみました。
ある方が「今までの職場とは全く違う」とおっしゃいました。仕事が長続きせず職を転々としていたそうで、今回も自分のスキルのなさに悩み、仕事が合っていないと感じて退職を申し出ました。上司から「あなたが一生懸命に医院の役に立とうとしている姿に助けられている、ありがとう。」という言葉が返ってきたそうです。そして、「確かに業務を覚えるのは遅いかもしれないけれど、それは一緒に考えながら取り組んでいけることだから、私がサポートします。」と。これまで退職を申し出ると快諾か説得のどちらかだったので、自分がこの職場にいることを認めてもらえていること、そして自分ことをを信じて応援してくれている人がいることに感動したそうです。自分を応援してくれている医院に対して、自分は何ができるだろうって考えて取り組みたくなったそうです。
スタッフの皆様のエピソードは様々ですが、想いは共通していました。こちらの医院は、約3年かけて今の環境が整ってきたとのことでした。
上司がスタッフを支援すること。支援とは相手を思いやる純粋な気持ちを具体的に表現することです。支援の目的は相手をやる気にさせることであり、そのために相手に尽くすことです。「尽くす」という言葉を聞くと少し構えてしまいますが、話を聴く・一緒に考える・自分の意見を伝える・想いを語る・励ます・認める・感謝する・委任する・促す・導く・出番をつくる・・・色んな形があります。相手の状況や環境によって支援は様々ですので一人ずつ思い巡らせて関わる必要がありますが、この根源には「心」があります。故に手法よりも、どのような姿勢で支援しようとしているのかということが大切です。
相手に自立型の姿勢を求めるのであれば、こちらもそれを支援する姿勢を持っていることが重要です。時間が掛かるかもしれませんが、スタッフが自立していくプロセスには支援者だからこそ得られる感動や、やりがいという報酬があります。そして、「支援」の影響の輪が広がりモチベーションを保つ環境が整っていくのです。
次回は、その影響の輪について触れていきたいと思います。
やまとなでしこ塾主宰。
短期大学卒業後、大手百貨店に就職、人材コンサルティング営業、国際線客室乗務員、美容系サロンマネージャーなど、さまざまな角度から人と接する現場経験を積む。
「マナーは方法ではなく心を伝えること」を念頭に、現場経験を活かした実践事例に基づいた講演は、幅広い年齢層の女性からの共感・支持を得ている。
やまとなでしこ塾他、企業や公的機関、医療機関でのマナー講座、接遇サービス研修などを実施している。
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